岳行ノート

愛宕山 924m/京都府京都市

2017年8月31日(木)


黒門を抜ける表参道


 京都市の東西に、東は比叡山・西は愛宕山が信仰の山として対峙しています。愛宕山山頂の愛宕神社は、火伏せの神として知られています。

 全国に900社ある愛宕神社の総本宮です。戦前の昭和期にはケーブルカーも存在しましたが、今は参拝者も里から登山しています。

 四季を通じて親しまれ人気の山です。私は1ヶ月振りのリハビリ登山で、山頂の涼しさを期待します。名神高速道路京都南ICで下ります。


 、北上して桂川を遡り、トロッコ嵯峨駅からさらに北へ走ります。信号付き一車線清滝トンネルを抜けると400m先に‥

 教科書は、山と渓谷社刊「関西周辺の山250/改訂版」です。参考書として多くのブログのお世話になりました。
<駐車場>
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大きい地図


青木駐車場→3合目休憩所→水尾分岐→▲愛宕山/愛宕神社→月輪寺青木駐車場


※赤線はGPS軌跡  ●は主な分岐点  月輪寺境内[●」]間は、午後5時〜午前9時が通行禁止

■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前6時00分   晴/23℃
駐車地:午前8時30分   晴/23℃
標高差:(75m→924m)849m
往:3時間00分(山頂まで、小休止含)
還:2時間30分(ランチタイム除く)
所要時間:5時間30分


 金鈴橋右にある500円の青木駐車場入口近くに車を置きました。写真中央の金鈴橋を渡り、突き当たりを左折します。
(8:50)


 すぐ二ノ鳥居が見え、ここから4.2kmの愛宕神社参詣表登山道が始まります。舗装道の急坂をひと登りすると‥


 地道になり、石段を行きました。祠左に空き地があり、明治〜大正に小学校の分教場があったそうです。


 汗が噴き出て3合目休憩所で1回目の給水タイム。明治初め参道各所に、19軒の茶屋が続き、石垣はその名残です。
(9:40)
丸太階段の広い道を緩く登ればウラジロカシの大木に並ぶ五合目休憩所です。
ここにも茶屋がありましたが、昭和4年、麓から山頂へケーブルカーが引かれ麓へ移転しました。

ところがケーブルカーは昭和19年廃止され、所々のコンクリート構造物で当時を忍ぶだけです。
一方、東の比叡山は、ケーブルカーにドライブウェイも開通。愛宕山とは対照的に発展しました。
(10:05)


 休憩所より少し先にスギの大木を祀った大杉大神。ここで南側が開け、涼しい風が当たるようになりました。
(10:15)

山腹道が少し崩壊している所がいい展望地になっています。南東に京都市街の眺望です。
中央に弧を描く桂川。右ピークは嵐山382mで左の山裾に渡月橋が架かります。


 山腹道は、の大木が並ぶ緑陰、勾配がが殆ど無いのでまるで遊歩道。参詣道に階段が続いていると想像してました。

 やがて水尾わかれ休憩所水尾は西へ標高を450m下げた所にある集落です。ここを北へ曲折して山頂を目指します。
(10:50)

 ハナ売場の建屋が閉じていました。近年まで水尾から上げた火伏せの神花シキミを売っていた店です。

 緩い傾斜に階段と杉並木、まさしく参道ですね。江戸時代、愛宕山白雲寺が実権を握っていました。

 しかし、150年前の神仏分離令で寺は破却。この黒門はその名残の一つです。
(10:20)

 石段と踊り場が繰り返され、広い平坦地に出ました。この辺りは、茶屋や宿坊が並んでいた雰囲気があります。

 山上には遊園地やホテル、スキー場まで存在したそうです。社務所の自販機は、ポカリ200円。そして…
(11:30)


 本殿目前の関門、239段の石段で汗をかきます。すれ違った信者、登山者は5:5くらい? 上方に2歳児とパパ。
(11:45)
神門を潜ると5000回・3000回参拝登山の記念標石、長い階段を僅か5分で登り終えご本殿です。
温度計は爽やか19度。参拝後、左に回り若宮社・奥宮も詣ります。神社が愛宕山の山頂です。

地形を見ると若宮社が最高地点のよう。授与所で「火の用心」の火伏せ札を購入します。
霊験は、防火なので帰宅したら台所に貼りましょう。400円で一生モノです。参道に戻り‥
(11:50)

 社務所前の園地でランチ。写真右に2歳児とパパ。残念ながら展望は樹林で殆どありません。
(12:05)〜(12:35)

 突然、参道に四駆が。どこから来たの?

 ランチを終えたら、239段の石段と休息所の間から下山します。ここが月輪寺経由ルートの入口です。

 数分で分岐に、右の月輪寺・清滝へ降ります。左の道に轍があり、四駆はこの道で来たようです。

 登山道を行くとすぐ展望広地があり、ソロの女子が丸太ベンチでランチ中。知っていたら私もここでランチしたのに‥

 ただ景色は7コマ目とさほど変わりません。ここから右折し東の尾根へ。大岩の間の階段を降ります。
よい尾根道を歩いていくと、やがて細い山腹道。
そして境内の夜間通行止(午後5時〜午前9時)看板に出合います。

その先が月輪寺(ツキノワデラ)、781年開基と由緒があります。本殿前には親鸞像。
道はお寺を抜ける一本道です。もう一つの夜間通行止看板を見て、整備された参道を降ります。
(13:25)


 道は小石が引かれ歩きにくい。道脇に霊水奇跡之跡身助地蔵
(13:55)


 尾根は急勾配でつづら折りが斜度を緩めています。ショートカット道に行きたくなりますが危険です。 

 川音が聞こえ降れば、程なく登山道は終了。石橋を左に渡り、約2km、舗装林道で下山します。
(14:20)

 途中で東海自然歩道と合流し、清滝川右岸道となれば駐車場は間近。1ヶ月振りの登山、明日は筋肉痛でしょうね。
(14:50)

 
東海岳行
  “じいちゃんのかいと” 

 初夏、山友の野良人さんはご夫婦で東北旅行をされ、お話しをお聞きしました。『観光バスの車窓から田園風景を見てると遠くで大きなワシが飛んでいた』 オオワシなら翼幅2m以上あります。『ところが様子が変なんだ。ツバメのようなスピードで飛び、地面すれすれでも凄い早さ』

 
しかも同じエリアを飛び回ってるだけ。バスが休憩地に着いたとき、ガイドさんに尋ねると『あ〜、あれは鳥追いのカイトで、この辺のホームセンターで売っていますよ』 好奇心の強い野良人さんは、それが欲しくなり、明日までに買ってきてくれないかとガイドさん依頼しました。

 翌朝、友人のお土産用と併せ、3個受け取ることが出来たそうです。『改造して畑で飛ばしている』と言われたので『飛ばすとき見せて下さい』とお願いしました。やがて野良人さんからメール頂き、『明日、15時まで畑仕事していますので‥』 『わかりました。畑へ行きます』と返信。



 畑は、親戚の地主さんが高齢になり、野良人さんがお守りされています。教えていただいた場所に近づくとお〜飛んでる。(左)

 広い畑で独りでよく畝を作ったり、草刈りしたり出来るものだとまず感心しました。車を畑の端に停め、野良人さんにご挨拶。

 この日は風が強く、カイトはめちゃめちゃパワフルに飛んでいます。スピードも凄いけど羽根がブルブルと震え、大きな音を立てているのでこれなら鳥は近づかないでしょう。羽根の骨組を強力にするため、ホームセンターで素材を探し交換したそうです。



 大正解! 多分、買ったときのままなら壊れていると思います。畑に来る前、私はネットで商品レビューを確認しました。

 「強度弱い」「耐久性に欠ける」「強風で骨組みが折れた」と厳しい意見。さらに野良人さんは、4mのポールを延長されました。

 商品名は「鳥追いカイト鷹」 畑でスズメ、ヒヨドリ、カラスなど鳥被害にお困りの方むけで価格は3980円(税・送料込)。道路を走るトラックが、わざわざ停まり『何だろう?』という感じで見上げることがあるそうです。この辺りでは見かけないモノだからでしょう。



 すると野良人の奥様が、軽自動車にお孫さんを乗せて畑に来られました。さっちゃんは4歳で私は2歳の時、一度会っています。

 見知りしない子でしたが、私の所に来て『わたし、せーえんさつもっているよ』『へ〜見せて』 小さな赤い巾着を少し開ける。

 覗くと4,5枚入っています。『さっちゃん、お金持ちだね』『ちがう! これはばあちゃんの』 お迎えが来たので野良人さんは畑仕事を終える支度を始めました。ポールを支柱から抜くと、さっちゃんは『じいちゃんのかいと!!』と叫んで走っていきます。



 野良人さんの身長と比べても翼幅180cmのでっかいカイトです。奥様が畑の野菜を収穫しダンボールに入れて頂きました。『いつも、すみません』  メーカーの動画を右に貼りました。

 クリックするとYouTubeでその勇姿を見られます。私は笑ってしまいました。これを遠くから見たら、そりゃ確かめたくなりますよね。
2017.09.04(月)01:10