菰野富士 369m/三重県菰野町 |
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2017年12月12日(火) 菰野富士より迫力の御在所岳 (右より:国見岳、御在所岳、左:鎌ヶ岳,、中央:建設中の湯の山大橋) |
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17年前発行の「鈴鹿の山ハイキング」は、私の大切な鈴鹿の教科書ですが、中でも感心したことは、低山を丁寧に紹介していることです。 例えば菰野富士を半日遊べられるよう観音山自然遊歩道、蒼滝などの見所をつなげた周回コースがあります。著者の鈴鹿への愛を感じました。 HP開設前、ひよこさんとそのコース通り辿っています。現在、豪雨による道の流失、道路工事の通行止で歩けないようです。 山友の野良人さんと確かめに歩いてみます。旧鈴鹿スカイライン(国道477号線)を武平峠方向へ走ります。 教科書は、西内正弘著・中日新聞社刊「鈴鹿の山ハイキング」です。 |
<駐車場> ドラッグスクロールで移動 大きい地図 |
大石公園(ランチ)→蒼滝→R477(旧鈴鹿スカイライン)→鳥居道駐車場 ※赤線はGPS軌跡 ●は主な分岐点 緑線はR477(鈴鹿スカイライン) ■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」 |
江 南:午前8時00分 晴/2℃ 駐車場:午前9時25分 晴のち曇り/3℃ 標高差:(285m→480m)195m |
往2時間55分(大石公園まで、小休止含) 還:1時間15分(ランチタイム除く) 所要時間:4時間10分 |
スカイラインの希望荘近くにある無料の鳥居道駐車場に停めました。スタートは、車道を西へ‥ (9:40) |
200m歩き、食事処「北の幸」を左折。突き当たりに東海自然歩道「菰野富士展望台→」の道標があります。ここを左折して三滝川右岸を辿り‥ |
一つ目のY字分岐、二つ目の交差点も「菰野富士展望台→」の指示がありました。 (9:50) |
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よく整備された尾根通しの登山道で緩く高度を上げれば‥ |
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切り開いかれた広い菰野富士山頂369m。東西に展望が開いています。 これは東の展望、右に新名神高速道路が、2018年度の開通を目指し工事中です。 菰野ICが右端にある松葉越しに見えます。西への展望は、TOP写真です。 (10:05) |
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下山は、北の登山道を辿ります。踏み跡は西へ向きを変え、この小沢を渡りました。広い平坦地から西方へ歩くと‥ |
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スカイラインが下に見え、降りられそうな所から道路に出ます。そこは鳥居戸川に架かる市之瀬橋の手前ですぐ先が鳥居道駐車場です。 (10:20) |
駐車場手前の道を南進。東海自然歩道のうぐいす橋を渡ると、すぐ2コマ目の交差点。今度は「大石公園→」へ足を向けます。 (10:30) |
歩くのは植林の尾根を切り開いた東海自然歩道です。傾斜部にはお馴染みの丸木階段があり、歩きやすい。 |
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自然歩道が、スカイラインと接する場所に出ました。進むと立て看↑があり、工事通行止と迂回路の案内がされています。『あらら‥』 野良人さんは『バリ道を行こう』決断。「通行止」前で斜面を降ります。数分で湯の山の車道に出会いました。 (11:00) |
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舗装道を西に進み、工事中の高架橋を潜ります。橋は長さ269m・高さ55m。新名神だと勘違いしていましたが‥ 新名神高速の菰野ICから〜スカイライン〜高架橋〜湯の山温泉にとつながる道で2018年度完成予定です。 |
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車道を西進すると蒼滝へ東海自然歩道で向かうのですが、堰堤手前で通行止(↓地図の現在地)。 ひよこさんとはその道で蒼滝に行きました。舗装道を東へ戻り、Uターンしましょう。 平成20年9月の豪雨で菰野町の東海自然歩道は、強烈なダメージを受けました。 湯の山地区も一時孤立状態となり、高架橋の道は迂回路の目的もあるようです。 (11:35) |
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車道を歩き、湯の山ロッジを右に回り込みます。Uターンしてバス道を1kmほど行き、寿亭手前の石段を登ります。道標は「三嶽寺200m→」 |
5分で三岳寺に着き、観音山遊歩道案内図を確認。江戸時代に開創された西国三十三観音石仏巡りに遊歩道に入ります。(12:10) |
ところが遊歩道は最初だけで結構な山道です。左下に石仏。斜面が荒れた箇所もあり、ちょっとスリリング。 |
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入口から50mほど高度を上げるとやぐらの展望台です。西の御在所岳1212mに好展望。 山頂付近の雪は融けちゃったんですね。道標「三岳寺→」を見て下山します。 20分間の周回でした。お寺から舗装道を西へ行くと川に出て大石橋を渡れば‥ |
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川沿いの大石公園です。日向ぼっこランチ。食後、絵地図看板で蒼滝への道を確認して東海自然歩道を歩きます。 (12:35)〜(13:15) |
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整備された山腹道を進むと御在所岳・裏道/蒼滝分岐です。石段を降りていけば‥ |
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数分で右岸に着き、左岸に渡るたきみ橋やるり橋の自然歩道が全流失しています。茶亭せせらぎは風前の灯火状態。 9年前の豪雨で左の斜面が、大きく崩壊したようです。10コマ目の絵地図にある通行止の原因は、ここでした。 (13:30) |
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しかし、蒼滝は今日も豪快に飛瀑を落としています。花崗岩の岩肌、落差50mの名瀑です。 ここを見ると東海自然歩道の復旧は、無理と思われます。分岐まで戻り‥、 |
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「御在所岳・裏道→」へ向かいます。途中崖に設けられたこの鉄橋は感動的です。これが、なかったら命がけの道だ。 |
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やがてスカイラインの橋が上に見えたら橋下を潜ります。テープに導かれ、すぐ斜面を登れば車道に出ました。 (14:00) |
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駐車場までスカイラインを2km降ります。途中、工事中の橋の展望地がありました。湯の山大橋(仮称)だそうです。 開通したら便利になり、湯の山温泉は観光客で溢れ、御在所岳は登山者が列をなすでしょう。楽しみですね。 (14:30) |
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東海岳行 |
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“名勝 猿橋” | |
日本三奇橋(キキョウ)は、山口県・錦帯橋と岐阜県・木曽の桟(カケハシ)、そして猿橋(年代不詳)です。前二つは見たことがありますが、猿橋は知りませんでした。山梨県大月市にあり、「リニア体験試乗」の前に行ってみましょう。中央自動車道大月ICで下り、国道20号線を東へ6km走ります。 新猿橋西交差点を左折、観光用無料駐車場に停めました。北へ100m歩くと猿橋(左岸側)です。右岸にある猿橋中学校の生徒達が、落ち葉を清掃してます。 甲州街道沿い、桂川の切り立った絶壁の上に架かる小さな橋です。全長31m・幅3.3m、高さは水面から31m。昭和7年史跡名勝天然記念物に指定されました。 橋の左から展望地に下りる道があります。構造がよく分かり、まるで崖から飛び出したようです。2列4段の木材が下段から上段に行くに従い徐々に延びています。どうやらこの木組みで橋を支えているようです。橋脚はなく奇妙な構造の橋は、日本でここでしか見られない奇跡の造形です。 木組みの先端に付けられた小さな切妻屋根は、神社仏閣のような趣をかもし出しています。木が腐らないように小屋根をかけ、雨水を防ぐ工夫です。 少しでも長持ちさせたい気持ちは、思わぬ美を作り出しました。屋根が徐々にリズムを持って連続することは、五重塔のような屋根の連続性に重なります。 年代不詳ですが伝説では、1400年目の飛鳥時代、百済から来た造園師志羅呼(シラコ)が、渓谷に橋を架けることを命ぜられました。しかし、断崖の険しさに橋造りは難行。橋造りの達人が悩むほどだったのです。 ある日、猿がつながり合って対岸に渡ったのを見て橋の構造を思いつきました。さて唯一無二の橋は、絵師達も虜にします。橋が作り出す絶景は、日本中に知れ渡り、浮世絵師歌川広重も描きました。 右の甲陽猿橋之図(1842年作)は縦に2枚つなげられ、橋の高さ・渓谷の深さがダイナミックに伝わります。橋下に月があり、自然に視線は橋へ向かう北斎もこの橋を描きました。桂川はここで急に狭くなり、渓谷の間を窮屈そうに流れます。 ←現在、地図を見るとこの断崖には、西から新猿橋、猿橋、?橋、国道20号線高架橋の四つの橋。昔は断崖に架ける橋の橋脚を建てることは不可能でした。 深い渓谷は、吹き抜ける風が強く、吊り橋のように揺れる橋は危険です。そこで生まれたのが猿橋。これなら風の影響も受けず、太く長い橋脚も必要ありません。甲州街道は江戸時代、五街道の一つとして整備されました。 多くの人が往来する猿橋は、保全のため数十年ごとに架け替えが行われます。明治時代になると車を通すため倍の6mに広げられましたが、昭和9年に県道として新猿橋ができる車は走らなくなりました。 昭和59年、最後の架け替え工事に5年費やし、広重や北斎が愛した江戸時代後期の橋の姿に復活。猿橋の「はね橋構造」は、現代でも驚異的な工法です。 「はね」とは、はね上げるの意味。崖に木材を斜めに差し込んでいるため先端が跳ね上がるように突き出しているのです。橋の下に2列4段に組まれた部材を「はね木」と呼びます。1段目の「はね木」は、2/3を崖に差し込み、外に出た1/3は2本の短い柱で支える。 下から上へ行くに従い徐々に長くなり、4段目の「はね木」は9mはね出しています。「はね木」の間に交差する「枕梁」は、強度の補助的な役割です。 腐食しやすい木造の橋は、補修や架け替え工事のたびに大木を調達するのが困難。しかし「はね橋」なら手頃な大きさの木材でも「はね木」を組むことで強さを生みます。過酷な環境、生み出された構造は名勝と呼ばれる美しい橋のある風景となりました。 猿橋近くの駐車場へ行くと?橋が望めました。重要文化材八ツ沢発電所第1号水路橋(1912年)で現役です。ここで40分ほど過ごしました。 猿橋は紅葉の時期が一番美しい景観になるそうです。落葉が進んでいましたが、いい時期に訪れることができました。昔と変わらぬ猿橋の特異な姿。優雅に調べ、しっとりした風情を全体的に漂わせています。先人達が生み出した用の美、日本人の持つ美意識が込められた橋です。 |