岳行ノート
         へこさん            
部子山 1464m/福井県池田町

2018年6月26日(金)


足羽川渓谷のかずら橋

全長44m、幅1.8m、水面からの高さ12m、足下の板がスッカスカでスリル満点。
向こうの左岸に料金場(300円)。足羽川(アスワ)は綺麗です。



 福井県に部子山という不思議な名の山があります。『ぶこやま?』と私は呼んでたのですが「へこさん」が正解でした。

 昔々、継体天皇妃目子媛(メコヒメ)が、足羽川の源流確認にこの山へ登りました。それで目子ノ岳(メコノダケ)でしたが、なまってへコサンに。

 山には能楽の里牧場(ノウガク)があり、作業舗装道が山頂近くまで延びています。その終点から登山すれば、往復30分足らずで踏破可能です。


 それでは登山としてはもの足りないので、牧場の展望台辺りからスタートします。北陸道武生ICで下り、東進して池田町に向かいました。

 水海川(ミズウミ)沿いに東南へ5km走ると、左に東部農道入口。参考書は、山と渓谷社刊「新・分県登山ガイド/改訂版/福井県の山」です。
<駐車地>

大きい地図


P3.駐車地→P1.神社跡→P0.林道終点→祠(新避難小屋)→▲部子山→展望地→
▲部子山→神社跡→P3.駐車地→牧場展望台→P3.駐車地

※赤線はGPS軌跡  ●は主な分岐点


■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前6時35分   曇り/25℃
駐車場:午前9時45分   曇り/23℃
標高差:(1300m→1464m)164m
往:1時間40分(山頂北の展望地、小休止含)
還:1時間20分(ランチタイム除)
所要時間:3時間

 東部農道の修復工事は、清掃が残るだけ。コーンが開いているので入ります。1km毎にポイント看板があり、終点まで12kmです。

 <P3>看板も能楽の里牧場に置車します。ここから展望は良いのですが、梅雨期で遠くはもやっています。農道を登ると‥ (10:10)


 1km先で<P2>の看板。この辺りから舗装道でなく山道を歩けないかと思い草地に取付きました。
(10:25)

 すぐ理解できない人工物。井戸ではない? 雨量計でしょうか? mmm〜

 尾根の薮に切れ目が見つからない。ヌタ場に出合い、尾根歩きを諦め、農道へ戻ります。


 山腹を切った道脇には、キク科の野草のガードレール。<P2>の看板を過ぎると‥


 子安地蔵が祀られ、そこから草道が山へ延びていました。登っていくと、たちまち‥


 部子神社跡に着き、中央に朽ちゆく小屋。左には鳥居があり、小屋は御神殿か避難小屋か。向こう側へ行くと‥
(10:45)

今日の部子山チャームポイント発見。ニッコウキスゲが二輪。
これだけで来て良かったと思いました。この辺りは、地形図に千本杉と表記されています。
探しながら小屋裏の登山道を降りましたが、結局不明です。

 数分で東部農道終点<P0>で、車はここまで進入可。登山道は、奥へ直進ですが、右に小屋があるので寄ってみましょう。 (11:00)

 新しい避難小屋と思ったのですが、開けると神鏡が祀られた神棚がありました。神様に守られる小さめの避難小屋でしょうか。登山道まで戻り‥


 感じの良い樹林を登れば、やがて‥


 開けた台地に出ました。イブキトラノオが賑やかに風に揺れ、頂上が間近です。

 はい! 部子山1464m二等三角点山頂。石祠の中は、目子媛の石仏?。左下は、昭和10年皇太子誕生記念碑です。

 上天気なら白山・御嶽山・乗鞍岳・日本海まで望めるそうです。右上に‥

 東のお隣さん、5年前登頂した銀杏峰(ゲナンポ)1441mが間近。直線距離で2.3kmなので周回可能です。

 ただ縦走道はなく、積雪期に歩かれます。でも銀杏峰に向かう踏み跡があるので、少し偵察してみましょう。

全速前進ヨーソロ! 灌木はカットされています。
誘導テープは付いていませんが、尾根筋を辿ることは出来ました。
標高を80mほど下げると‥

 ちょっとした展望地に出て大野市や飯降山884mが確認出来ます。ここから先は急降下になるので偵察終了。

 ランチして戻ります。
(11:25)〜(11:50)

 下山時、反射板(右上)が見えました。そのすぐ左下が部子神社跡です。そこで反射板に気付きませんでした。

 更に左に下がった所に青い屋根の新しい避難小屋。左端の禿地がP3駐車地です。

(左)ギンリョウソウ    (中)シモツケソウ      (右)カラマツソウ

 部子山
は、お花の山で時期が合えば、沢山のチャームポイントに出会えるでしょうね。 


 部子神社跡に着き、鳥居を潜ればたちまち農道に降ります。
(12:25)
P3駐車地に帰ったら、西の能楽の里牧場へ行きましょう。牛さんはモウいないよう。
シンボリックなガラスの展望台、鍵がかかっています。日本海が見えそうで見えません。
あれこれ撮影をして10分ほどで車に戻りました。
(13:05)

登山後は、部子山周辺の名所見物に走ります。
最初は、部子山西南西7km、足羽川に架かる「かずら橋」(TOP写真)です。
徳島県のかずら橋は知っていましたが、池田町のは知りませんでした。次は‥

 部子山の西8.5km、池田町中心部に堀口家住宅。江戸初期の農家で国の重要文化財です。そして‥

 部子山北西4.5km、稗田川(ヒエタ)のオウ穴群。砂を含んだ永年の川水が、硬い岩を削り取りました。

最後は、オウ穴群から稗田川を上流へ数百m遡った龍双ヶ滝
駐車場から少し辿れば、滝つぼ広場です。落差60m、「日本の滝百選」指定。
落水は薄い布のようで涼感があり、この季節には絶好ですね。


東海岳行
  “郷土富士” 

 6月に奈良県の額井岳(ヌクイ)を登りました。大和随一の山容で「大和富士」と称されます。古から愛される富士山。国各地には富士の名を冠して、「郷土富士」「おらが富士」、「ふるさと富士」が存在します。殆どは、富士山型で裾野を広げた三角錐です。

 富士信仰が盛んになると故郷の美しい山に「富士」を名付け、心のより所にしたのでしょうか。私が生まれ育った愛知県は、郷土富士が11座です。何しろ私の初登山は、小学生の遠足で登った尾張富士でした。麓には、創建729年の大宮浅間神社浅間神社は富士信仰の神社ですね。

 多くの「富士」の付く山は、山頂に社や鳥居が建てられ、山そのものがご神体です。最高峰は言うまでもありませんが、本家富士山標高3776m、最も低い富士山は‥嬉しいことに愛知県にあります。三河湾佐久島富士山31mです。では愛知県の富士山を並べてみましょう。



1.尾張富士(小富士/犬山市)277m
2.尾張大富士(本宮山/犬山市))293m
3
.三河富士(三河富士/岡崎市)314m
4.三河富士(村積山/豊田市)257m
5.三河富士(明神山/新城市・東栄町)1016m

6.三河富士
(宮路山/豊川市)362m
7.三河富士(本宮山/豊川市・岡崎市・新城市)789m
8.三河富士(砥神山/蒲郡市)252m
9.
富士ヶ根(富士ヶ根/長久手市)86m
10.富士ヶ峰(富士ヶ峰/南知多町)125m
11.富士山(富士山/西尾市佐久島)31m




 愛知県登山部の各々方、登頂はされましたか? 何を隠そう私は、全山登っていると思いこんでましたが、
3.三河富士8.富士ヶ根が未踏でした。いや〜これは登りに行かねばなりません。各地の郷土富士ですが、山容がそれほど似てない山もありますが、そこは寛容な心でみてあげましょう。

 富士山に似るためには、富士山の傾斜角約28度に近い山が有利です。最も似ているといわれるのは、北海道の「蝦夷富士」(左)こと羊蹄山1898m。この山の傾斜角は、27度でニアニア。

 また独立峰で火口も有り、冠雪すればそっくりになります。他に鹿児島県の「薩摩富士」(下右)こと開聞岳924mも似ています。傾斜角は30度で良い感じです。実際に見たことがあります。



 どこから見ても美しい円錐形で存在感抜群でした。ただ標高は低く、火口もありません。多分、鹿児島では雪は積もらないでしょうね。登山道は珍しい螺旋形です。

 登りやすく老若男女に親しまれています。また山裾が海に3/4ほど面しているのが、圧倒的な特徴ですね。さて外国のそっくり富士山ですが‥テレビで紹介されたとき、『え? 富士山でしょ』と思ったくらい似ています。

 南米チリオルソノ山(下左)は、標高2660mと高く、火口も有り、冠雪するのでバッチリです。登りたくてもも登られない遙かな山。日本人にとって富士山は、信仰の山・世界遺産・観光地? やっぱり誇りですね。チリではオルソノ山は、どんな感じで人々の心にあるのでしょうか‥



※追記 ミスター富士山こと實川欣伸氏(74才/ジツカワヨシノブ)が、とうとう2018年6月23日(土)暴風雨の中、2000回目の富士登山を達成されました。おめでとうございます。

 富士山初登頂は42才と遅かく、32年かかりました。退職した64才の年は、1日に2回登頂するなどして回数を稼ぎ、年間248回登頂しました。
2000回挑戦は、6/22(金)小田原市幸ヶ浜(海抜0m)を8hにスタートし、金時山1213mを17hに経由。

 更に歩き続け、御殿場登山口1440mから富士山山頂を目指します。そして翌日23日(土)13hに登頂されました。これからは、ふじさんの語呂合わせで「2230回」を目指すそうです。


2018.07.09(月)00:35