岳行ノート
         やばしら
八柱山 2115m/長野県佐久穂町

2018年8月26日(日)


雨池の北端より

(中央ピークは、中山2496m)


 北八ヶ岳麦草峠400m北に地獄谷というすり鉢状の窪地があります。大昔の火口で気になっていました。大きさは、直径75m・深さ35m。

 5月中旬頃、雪解け水が底に小さな池を作ります。池径15m・深さ3.7mの大きさ。火口底に広く氷塊が残存し、水を溜めると考えらます。

 気温が上がると氷塊が融け、一晩で池は消失します。今年は猛暑でしたので‥どうでしょう。麦草峠北2.5kmには、大きな雨池があります。


 その近くの八柱山とそれらを巡ってみましょう。このコースで面白いのは、最高地点が八柱山2115mでなく麦草峠2120mなんです。

 いきなり下山して登り返す、変わりトレッキング。 
<駐車場>

大きい地図
 教科書は、ヤマケイオンライン「雨池〜八柱山」です。中央自動車道諏訪ICで下り、国道152号線〜299号線で東へ30km走ります。




麦草峠公共駐車場

茶水の森

地獄谷

雨池周回

八柱山

林道出合

麦草峠公共駐車場


※赤線はGPS軌跡
●は主な分岐点




■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前6時35分  晴れ時々 曇り/27℃
駐車場:午前10時00分  曇り時々晴れ/21℃
標高差:(2050m→2120m)70m
往:3時間05分(山頂まで、小休止含)
還:2時間00分(ランチタイム除)
所要時間:5時間05分

 麦草峠手前右にトイレ完備の公共駐車場に置車。それでは、東へ国道299号線を100m歩きます。   (10:00)

 諏訪市・佐久穂町の境界から北へ入ると登山道です。この麦草峠が、本日最高点の2120m。歩くことほんの50mで‥

茶臼山八柱山の分岐です。この辺りは、茶水の森(チャスイ)と呼ばれ、とても雰囲気がいい。
代表する苔はホソバミズゴケです。茶水の池の木道を渡り森へ向かいます。


 立ち並ぶカラマツとビッシリの苔石。間を縫う木道のお陰ででスイスイ歩けます。無かったら大変でした。

 笹道に変わると登山道になり、注意して進むと赤布を発見。標識はありませんが、ここが地獄谷分岐のようです。左折して‥   (10:25)

 100mほど西へ進めば金網に出会いました。注意書きを読むと‥獣害防止柵を開閉すれば、中に入ることが可能です。誘導ロープに沿って降下。
地獄谷は、すり鉢状のくぼみで直径75m・深さ35m。
数分で火口底に着地すると 半端ないひんやり感。温度差10℃くらい? もや〜と霧が漂う。


← 春、雪解け水で底に池が出現、水深は3mほど。
7月中旬まで池はありましたが‥猛暑で消えました。
ヒカリ苔があるようですが、発見できません。
(10:35)

 一番底を撮影。写真中央です。訪れた人が必ず踏むのでカチカチで平たい。周囲は苔の見本市。

 麦草峠・白駒池周辺の森を歩く苔観察ツアー(3千円)を麦草ヒュッテ・青苔荘で受付ています。


 這い上がって先に進みましょう。地獄谷分岐に戻り左折して、起伏の少ない登山道を北進すれば、35分で‥

 林道出合です。(左の笹道から出ました) ここは標高2050mで本日最低地点。「雨池・八柱山→」の道標を見て北進します。
(11:25)

 林道が左カーブし始める手前を右に折れます。道標は「双子池・大河原峠迂回路→」となっていますが、雨池への道です。
(11:45)


 笹道の木道を行くと、木道が二股に分かれます。左を取れば雨池を時計回りに周回出来ます。まず直進して…
雨池に出会いました。北八ヶ岳白駒池に次ぐ大きさで 、湖畔に立つ名札ぎりぎりの満水。
東西230m・南北450m、水深は浅く、干上がることもあり、そうなれば広いグランドです。
冬は一面雪原になり、スノーシューで遊べます。

 麦草峠南の白駒池は、深さ86mあり神秘的な雰囲気ですが、雨池は対照的に開放的で明るい。
さて池周回は時計回りになら、上コマの分岐へ一旦戻るのが正解です。
横着して池沿いに歩いて行ったら、増水で道がなくなり藪コギしました。
(11:55)


 周回道は、湖畔沿いかと思いきや、意外に池が見えない道です。でも時々展望地があり、欲求不満にはなりません。


 そして雨池北端も素晴らしい展望です。(TOP写真) ここに北の双子池分岐標が立ちます。池巡りは南下します。
(11:20)

 なるべく池の近くを歩きたい本能が働き、すぐ道を失いました。同じような人が多いのか苔岩の踏み跡を辿ります。

 十数分迷って池から離れた場所にある登山道に出会いました。いい道で西岸より、こちらの東岸が歩きやすいです。


 やがて「至 八柱山」の分岐標に出合い池巡りを終えます。ここを左折して‥
(12:40)


 登山道を15分ほど緩く登ると右手奥で池発見。地図にないので大きな水たまりかもしれません。

 息も切らさず八柱山2115m山頂2等三角点に登頂。後ろは、宇宙科学研究所の深宇宙探査用大型アンテナです。 

 ここで炭水化物ランチします。北と東に切開きがあり‥
(13:15)〜(13:40)

 北北東38kmに百名山の浅間山2568m。長野・群馬県境に位置しますが、思ったより近く感じました。懐かしいですね。

 東展望、右ピークが23km先の二百名山御座山2112m。その左奥は44km先、埼玉の百名山両神山1723mです。


 下山します。雨池を経由し(14:10)、往きの木道に戻り南下。林道を歩き、再び登山道に入ります。
(14:40)

 アキアカネなど、トンボが飛びまくる。

 これは?? アキアカネよりも小型で黒い体。

 この茶水の池まで来たら駐車場は5分足らずです。
駐車場着(15:40)


東海岳行
  “カメ止め” 

 世の中には数々のエンターテイメントがあり、楽しませてくれたり元気づけられたりします。例えばスポーツ観戦、音楽、演劇、お笑い、マジック、サーカスなど。私もいくつか楽しみました。2時間のお楽しみ代は、数千円から1万数千円の料金が必要です。

 コスト・パフォーマンスの一番お得なものは何でしょう。それは映画だ思います。上映時間は2時間。とんでもない世界へ瞬間移動。行ったこともない宇宙、観たこともない美しい風景、逢えることもない絶世の美女、起きることのない非日常の出来事など、1100円で気軽に体験できます。

ジョニー・デップ主演「パイレーツ・オブ・カリビア/」は、最高の制作費342億円かけました。その3倍が採算ラインですが、興行収入は1100億円あり黒字です。そんな超大作は年に何本もありません。最近、制作費300万円の映画を観ました。300億円でも300万円でも入場料金は同じ。



 その低予算の映画は「カメラを止めるな!」 昨年11月先行公開後、国内外の映画賞を数々受賞し、本年6月末に東京2館で凱旋公開されました。評判が評判を呼び、現在は全国200館以上で全国公開されています。

 映画の着想を得た舞台関係者と、クレジット表記等を巡り騒動になっています。円満に解決してくださいね。さて私もこの大ヒットを知り、観にいかねばとひよこさんと出かけました。

 ポスターに「最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる」「無名の監督・俳優が作ったウルトラ娯楽作」のキャッチコピーがあります。海外タイトルは{ONE CUT OF THE DEAD」。冒頭のワンカット・シーンは37分。



 ゾンビ物ですが、ワンカットなのでひとつの場所、ある廃屋ビルでストーリーが展開します。ポスターのように手持ちカメラなので画はブレブレでB級感丸出し。それも理由があるのです。

 でもネタバレがあるので内容は中々表せません。ゾンビ物語が終わると、二段構えの物語が始まります。キャッチコピーのように「この映画は二度はじまる」ここからが実に笑えます。

 構成もユニークです。多くのエピソードから伏線をきちんと回収。アイデアが溢れて全96分間楽しめました。立ち上がって拍手したいくらい。外国人にも絶対受けること間違いない。映画「万引き家族」も観ましたが、中国でヒットしたそうでこの「カメ止め」も世界で成功して欲しい。



 蛇足:エンタメの不思議なこと。50人のオーケストラでも数人のバンド演奏会でも、入場料はどちらも1万円ほどです。人件費がかかる方は、一人あたりの配分が少ないのでしょうね。自由経済の社会で理解できないことがエンタメにはあります。

2018.09.12(火)00:35