ずだがひら |
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頭陀ヶ平 1143m/三重県いなべ市 |
2021年3月3日(水) 鉄塔は好展望 (北に右奥:伊吹山1377m、その手前:烏帽子岳865m、左奥:金糞岳1317m、その手前:霊仙山1094m) |
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「ジオンと山歩記」さんからお花見登山のお誘いを頂きました。藤原岳1140mの北西1.8kmに位置する頭陀ヶ平を木和田尾で登ります。 山名の“ずだがひら”は難読です。“ずだ”は、「煩悩を払い仏道を求める」の意味。昔、どこの家にもあったずだ袋、簡易な布袋のこと。 途中、坂本谷に寄り福寿草に会う計画です。その谷では、命がけのエピソードがあり、下段の道草、「藤原岳の危機一髪」をご覧下さい。 その時、坂本谷で出合った福寿草たちに再会するのが楽しみです。名神高速養老SAスマートICで下り、国道365号を南下します。 藤原町の黄金大橋南交差点から600m南で左折‥ 教科書は、西内正弘著・中日新聞社刊「鈴鹿の山万能ガイド」です。 |
<駐車地> ドラッグスクロールで移動 大きい地図 |
鉄塔L202/ランチ→▲頭陀ヶ平→ヌタ場→山口配水池駐車地 ※赤線はGPS軌跡 ●は主な分岐点 ■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」 |
江南発:午前6時15分 晴れ/3℃ 駐車地:午前7時50分 晴れ/4℃ 標高差:(220m→1143m)923m |
往:3時間35分(山頂まで、小休止含) 還:2時間00分(大休止・ランチタイム除く) 時間:5時間35分 |
細い道を道なりに400m走れば山口排水池です。奥のスペースに置車。駐車地から山頂までの標高差は923mです。 (8:20) |
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駐車地前に白瀬峠登山口(山口登山口)。右の冷川林道に別れ、木和田尾道を6人で辿ります。 |
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山腹道からすぐ谷道へ移り、尾根まで250m標高を上げます。公式道標「頭陀ヶ平経由藤原岳→」を見て登り‥ |
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勾配がきつくなると尾根は近い。横に穴だらけの幹、左端の木も穴だらけ。森にはキツツキがいらっしゃるようです。 |
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尾根に乗り、小さな春を探しながら歩きます。 (左)セツブンソウ 旧暦の節分の頃(3/中)咲く (中)セリバオウレン 小さな春見つけた。 (右)これはデカイ! 10cmの穴を開けたのは、どこのキツツキだ。 労力に値するカロリーは、摂取できましたか? |
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道標「5合目620m」を過ぎ(9:30)、尾根の鉄塔R202(9:45)を横目に谷を登ります。鉄塔分岐で左折‥ |
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鉄塔R201は大展望。鉄塔は、こうでなくっちゃ。北方面、伊吹山・能郷白山、右の里は鈴養湖。西の尾根へ‥ (10:15) |
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次の鉄塔R200。南の急斜面を‥(10:30) |
木の間を縫って60m降りれば、坂本谷です。 |
『いたいた』 苔岩にお花畑となればフクジュソウ。少し早かったか、殆どが蕾の群落です。 しかし、私が17年前、坂本谷で65歳の登山者に案内されたのは、ど~んと大群落でした。 ただ坂本谷登山道は、土砂崩れで廃道です。大群落は、どこだったのか? 近くに‥ |
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咲き始めのマルミノウルシ(丸実野漆)、葉は紅蓮の炎。時期が少し早く右端だけ中の花が覗く。皆さん花探し中。 |
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私は,昔見た坂本谷左岸の大群落地が気になるので、谷を遡りながらを探してみましょう。 陽のあたる坂道を歩くのは楽しい。日が当らないと残雪、日当たり良好なら苔岩。 10分ほど歩き、方向性が変だと思いGPSを確認。坂本谷とは全然違う場所を歩いていました。 『何やってんだ』 集合場所の白瀬峠へ方向修正します。 |
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花見が済み、全員揃ってここ白瀬峠分岐865mでランチ‥かと思ったら、『展望の良い鉄塔まで行きましょう』 (11:15)~(11:40) |
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大展望の鉄塔L203(TOP写真)を過ぎ、標高1000mには登山道に残雪。でもチェーン・スパイクは履かない。 |
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そして道標「曲り角1070m/L202」でランチ。食後、皆は下山の気分でしたが、一人が‥(12:15)~(12:50) |
『山頂に行きますわ』と出掛けます。私は願ったり叶ったり。リュックをデポし、70m上の鉄塔R198へ向かいます。残雪を避け、10分直登‥ |
頭陀ヶ平1143m二等三角点。鉄塔下は、つららが落ちてきて危ない。右下に三角点、奥は御池岳1247m。 (13:00) |
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大快晴、大パンラマの大展望。 北東の展望をズーム。 左:北アルプス(左端:槍ヶ岳3180m)、中央:乗鞍岳3026m、右:御嶽山3067m。 他に中央・南アルプスも遠望できました。南アルプスの右に富士山がいるような、いないような。 お隣、南東の藤原岳山頂部、樹林が白い、樹氷だ。 |
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そして頭陀ヶ平山頂周辺の樹氷は、日差しを浴び溶け出しています。 透明の氷になって『これは美しい』 いいものを見られました。さあ下山しましょう。 (13:15) |
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白瀬峠分岐(13:45) 大展望の鉄塔R201から往路と異なる尾根道へ。すると期間限定の雪解けヌタ場に出合いました。 (14:05) |
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小向井山647m分岐を左折。往きのルートに合流しました。(14:10) 駐車地着(15:00) 坂本谷大群落地は、白瀬峠分岐から確か20分程度降った所。今日よりも下流でした。福寿草が咲く事を願います。 |
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東海岳行 |
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“藤原岳の危機一発” (2015年12月25日の大道草2を.再掲載) | |
1.出発 何年か前、春先に藤原岳へ福寿草の下見に単独で出かけました。聖宝寺に置車し山頂から白瀬峠経由で木和田尾根を戻る予定です。隣の坂本谷は、土石流で通行止とガイド本に書いてありました。登山道は、ぬかるみも少なく順調に藤原山荘に着くと、周囲には福寿草が輝いています。展望丘に進み大展望を楽しんだ後、山荘に戻りランチ。そして初の天狗岩へ向かいます。 2.出会い 30分ほど快適に歩き天狗岩に着きました。回り込むと一等席には、年配の方が単独でランチをされています。挨拶をして写真を撮っていると 『藤原へは良く来られるのですか?』と尋ねられました。 『いえ2度目です』と初心者丸出しで答えます。 『そうかね。私は65歳だけど登山は7年前から始めた。ここも何度か登ってます』 それから鈴鹿からアルプスまで彼の登山話を10分以上聞くことになりました。初心者の私から見れば山も人生もベテランです。 『どちらから帰られるのか?』と聞かれたので 『白瀬峠から木和田尾根を降り聖宝寺に帰ります』 『それは大回りだ。私は坂本谷から戻ります』 『あそこは進入禁止では?』 『大丈夫、大丈夫。前に通りましたから』 『そうですか、お気をつけて。ではお先に‥』 別れてすぐの天狗岩から白瀬峠へ行く分岐がわからず、雪面の中を5分ほどウロウロします。分岐を見つけほっとしました。 白瀬峠に着くと案内板に<坂本谷立入禁止>の文字。『やっぱりね』 そこから細い山腹道の雪に緊張し坂本谷分岐に出ました。 3.再会 坂本谷方面を覗くと荒れた様子も水流もなく静かなものです。しかし単独なので安全パイの尾根で戻る気持ちは変わりません。 倒木に腰掛け一息つくと、ザッザッという音が聞こえてきました。見るとあの天狗岩で別れた人が、2本のスキーストックで雪の急斜面を降りてきます。 私を見つけ、こちらに向かってくる。 『やあやあ、天狗岩から白瀬峠への分岐を見つけられなく、適当に降りて来たよ』 『すごい、よく来られましたね。私もあそこで迷いました』 『どうです一緒に坂本谷を降りませんか?近道ですよ』 誘いに一瞬迷いましたが、せっかく誘われて断るのも悪いし、そこが近道になのに魅かれ『じゃあ、お供しますのでよろしく』と応えました。意志が弱い。 後ろからついて歩きだすとすぐおかしな方向に進んでいかれます。 『あのー、ここは右に曲がって降りるのでは‥』 『おう、そうだそうだ』 大丈夫かな。 しばらく谷の左岸の踏み跡をたどっていくと斜面に忽然と福寿草の大群生が現れました。 『綺麗綺麗!』撮影する間待っていてもらい、終ったら再び左岸を辿ります。 4.危機 そのうち時々あったテープが消え、踏み跡もなくなりました。 『う~ん、おかしいな?前はこの斜面に道があったのだが‥ その時は、ここの道を登ってきたんだが、降るときは様子が違うものだ』 『え?』 だんだん左岸は急斜面になり立木も少なくなった。足元の土はボロボロと崩れ、歩くたび小石がカラカラ落ちていく。危険な場所を避けながら歩くと、いつか斜面の上部を歩いており、谷までの高さは数mだったのが、今や30m近くある。危険な状況に内心『しまった。やっぱり木和田尾根を行けばよかった』 後悔してももう遅い。 10mほど前を行く彼が、さらに斜面の高みへ上がろうとする。踏ん張った右足の土が、右の谷にザザーッと崩れた。山側に左肩からどっと倒れ同時に滑り落ち出す。慌てて踏ん張るが、周りの土石を巻き込み一気に加速がつく。そのとき体に当たった枯木の切り株を必死でつかんだ。土石だけが跳ねるように落ちていき、遠い谷底で音を立てる。 彼は急斜面に両手で切り株を抱かえ、腹ばいでぶら下がっている。足をあげ踏ん張って登ろうとする。歯を食いしばり必死の形相。しかし斜面の土はもろくガラガラ崩れ、足は空振りするだけ。やがてあきらめてぶら下がっている。 私はもがき終わったのを見て、ストックとザックを下ろす。腰を落とし尻をつき慎重に彼の所へ。その体制のまま、切り株に足を当てる。彼が落とした2本のストックを束ね、つかむように言う。少し上に来た彼の襟をつかみ声をかけ、1、2の3で引き上げた。 『ありがとう、ありがとう』 『ここは高すぎる。谷へ降りましょう。私が道を探します』 『降りられるかな?』 立ち木の安定感を確かめ、頼りながらジグザグに降り、何とか谷に着きました。そして枯れ谷の大岩を乗り越しながら降っていきます。 5.別れ 谷の最後は、ダムの大堰堤。垂直に長いアルミ梯子が、立てかけてあり助かりました。再会した分岐からなんと2時間過ぎています。やっと緊張感から開放されカラカラの喉にお茶をグビグビと流し込みます。二人で舗装道を歩くと、彼は谷を振り返り呟きました。 『ここで失礼する。山は綺麗だが怖いトコだ‥』 お互い名前も知らないまま別れました。私はこの命がけの経験がショックで、家でしこたま反省文を書きました。 翌週、ひよこさんと木和田尾根を登り、あの再会した分岐から坂本谷へ進み、福寿草のお花畑を見せてやりました。当然、この谷を降りて帰るつもりはなく、元の道へ戻ろうとします。すると下から谷をどんどん登山者が上がって来ます。 『通行禁止じゃないのですか?』と聞くと 『いや、工事の人が気をつけてと言って通してくれました』とのこと。 土日はいいのかな? でも安全第一、坂本谷を遡り、分岐から来た道で下山しました。 あの人は、きっと今も元気に登っているのでしょう。もしあの時、あの出会いがなかったら‥。 |