岳行ノート
               かみなりくら 
雷倉 1169m/岐阜県本巣市 

2021年4月20日(火)


露岩帯のハルリンドウ


 本巣市の「本巣七低山巡り」能郷白山・大白木山・岩岳・倉見山・大茂山文珠山の6山は、登頂しました。残るは雷倉です。

 教科書にしたパンフには、「体力・技術とも能郷白山能郷谷ルートに劣らず難度が高く、登山道も一部は藪っぽいところがあります」

 登山レポを確認すると、鉄橋から尾根に取付くまで難渋されています。雷倉は揖斐側で「らいくら」ともいい、江戸時代は雷冥岳でした。


 「冥」は露岩。山友の野野良人さん・爺愛譲さんとの3人パーティです。岐阜の国道157号線で本巣市内を走り、薄墨ザクラを左に5km北上。

 長嶺バス停から左折、西へ800mの黒田建設前八谷バス停に広い駐車場。教科書は、本巣観光協会発行のパンフ、「本巣の山」絵地図です。
<駐車場>
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大きい地図


黒田建設前駐車場→登山口→林道登山口→雷岩屋→▲雷倉→鉄橋→黒田建設前駐車場

※赤線はGPS軌跡 ●は主な分岐点


■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江南発:午前6時20分   晴/9℃
駐車地:午前8時05分   晴
標高差:
(210m→1169m)959m
往:3時間55分(まで、小休止含)
還:2時間20分(ランチタイム除く)
時間:6時間15分


 「雷倉登山者駐車場」に置車。登山道維持活動に感謝し、清掃協力金を箱に寄付します。左山は雷倉にあらず。
(8:20)

 西の八谷(ヤタニ)集落へ行くとこの八谷橋右手前に距離標[33/33]。右山は雷倉にあらず。

 集落の終わりが登山口。ここにも寄付箱がありました。いざ雷倉物語の1ページ目を開きます。


 植林の登山道では、「登山口→」「15m先右折」「水路に沿って→」の私設プレートに従います。


 コンクリ蓋の水路の道は、右崖の転落注意。10分ほどで左に大堰堤が見え、木札「雷倉へ下る/キケン」から降ると‥


 急流の沢です。架かる鉄橋は老朽化が進み、手すりは破損しています。バランスをとって渡り、登れば‥
(8:30)
距離標[27/33]。頂上を[0]として降り、200歩毎に数字を増やしています。
2017年、距離標・標識・山頂標が設置されました。 なお[26~32]のプレートは未設置です。

登山道では、このプレートが実質最初の距離標になります。
ここを登って左折すればトラバースの道。ロープ場を過ぎ、右折すれ待望の尾根道です。
(8:45)


 やがて植林帯の急登。自然林で緩くなり、20分程気分良く登れます。すると尾根に大ブナ。この後、再び魔坂。
(9:35)


 なるほどパンフ通り体力勝負です。お達者倶楽部3人組は登る。明日は筋肉痛の足土産を間違いない。

突然、760m辺りで尾根を覆う露岩の壁。規模に圧倒され、とりあえず給水休憩。
そういえば、旧山名雷冥岳「冥」は露岩のことでした。
(10:10)


 傾斜は厳しいけど、テープでルートは確保されています。急斜面の距離標は、[14~13]です。


 岩場の隙間にヒトリシズカ。野の花で癒やされます。標高差100mの露岩帯を頑張って20分で登りました。
(10:35)


 すると山頂が望め、勇気づけられます。道脇に木材運搬用索道の4本柱と作業小屋の残骸を見ました。その先で‥


 廃林道に出会い、伐採作業拠点の広場で一息つきます。荒れた林道は、徒歩通行も困難です。尾根取付きを登れば‥
(10:45)

すぐ上が展望地。北の能郷白山1617mは、「本巣七低山」の最高峰です。
ギリギリの冠雪に乾杯。


 距離標[5/33]に来ると雪の重みでしなる幹たち。以前はこの辺りは藪でしたが、今は大丈夫。残雪もありました。
(11:50)


 すると[3/33]「雷岩屋」の木札。左に少し離れた場所に巨岩の岩屋があり、臨時の雨宿りができます。
(11:55)


 3時間40分かけて稜線に乗り左折。高低差なしのラクチン道を行けば‥
(12:00)

  達成感と筋肉疲労の雷倉山頂1169m2等三角点です。展望ランチします。
(12:15)~(13:00)

南西に右:花房山1190m、その左肩で覗くのが小津権現山1158m
左端奥薄く:伊吹山1377m、右端奥薄く:金糞岳1317m

強烈な露岩帯を降り振り返る。この不思議な地形は、どのように造られたのでしょう。(14:00)
これで「本巣七低山巡り」コンプリート! 完全に揃いました。駐車場着(15:20)
就寝前、最上無二のバンテリンを足筋にたっぷり塗布しました。

翌日、野良人さん・爺愛譲さんからメールが届きます。「階段の上り下りにも苦労してる」
私は対策のお陰でそれほどでもないのですが、痛みのかけらは残っています。
指先で触れて感じる痛みは、いつか懐かしく思える時になるでしょう。


東海岳行
  “人類の謎” 

 「四角いのに三角点とは、これいかに」 富士山の標高は、3776m。山頂の剣が峰では、記念撮影する人が標柱に群がります。(下左写真左側) そこに「3776米」の彫字。その根元に2等三角点が設置されています。(左写真左隅)、地理院の成果情報は、標高3775.51mです。3776mには、49cm不足。

 下右の地形図では、標高が3つも表記されています。右下の「3775.5」は、青の2等三角点。左写真中央右の黒い尖った溶岩が三角点より50cmほど高く見え、そこが日本の最高点「3776」でしょうか。左の「3774.9」は、写真中央奥のピンクの電子基準点の標高。(拍手ボタンのご教示感謝)

   

 基準点成果情報を見ると、の標高は3777.41m。柱の高さ分(2.51m)下駄を履いています。さて三角点は規定では地上より21cm頭を出して埋られます。測定場所は三角点の頭だとすれば、全国の標高はその分下駄を履いているのでしょうか? 謎です。わかっているつもりでもまだ知らないことがあります。

 地理院「富士山電子基準点等関係図」(下左)と電子基準点(下右)を見つけました。下左図の三角点の頭までが「3775.6m」、最高地点は「3776m」、電子基準点の測定点までが「3777.5m」です。

   


 歩行する人類の骨盤は立った状態です。出産のとき、その形でも赤ちゃんが産めるように大きくなりました。雄雌で骨盤が形が異なるのは人類だけです。受精卵が子宮に着床する率は、チンパンジーで40%ですが、人は20%しかありません。子宮が、産道を通るのに適した卵子かを選別しているといわれています。

 赤ちゃんは産道を通過するため頭を尖らせますが、その可否を確認しているのでしょうか。そして陣痛の痛みは大変で女性は大声を出して耐えます。陣痛はチンパンジーなら平均4時間、人は平均10時間です。人類が出産の時の叫び声や赤ちゃんのありったけの産声は、大昔はいかがなものだったでしょう。

   

 肉食動物にここにいますよと教えているようなものです。女性も赤ちゃんも抵抗できません。テレビで四足動物の出産シーンを見ると、親は鳴き声を出さず出産し、赤ちゃんも産声は出さず、すぐ立ち上がり歩く。また動物は、すぐ日常生活に戻りますが、人は出産のダメージが相当残ります。

 肉食動物に襲われるリスクがあるので急ぐのですね。  人の赤ちゃんは、育つのに時間が必要です。大きな謎は、そんな危険な状態になるにもかかわらず人類が母子とも大声をあげる必然性は何でしょう。周囲が、これはただ事ではないと感じ、母子を助ける気持ちを起こさせるためでしょうか。この謎は解けていません。

2021.05.10(月)00:20