岳行ノート
             おりだいら
天狗岩~折平山・高根山 628m・605m
愛知県豊田市
 

2021年5月31日(月)


三天狗の一つ、烏天狗様


 愛知の猿投山629mは、人気のある山です。その尾根伝い北東3kmに折平山があります。教科書を見るまで存在も名前も知りませんでした。

 信仰の山らしく解説には、、「天狗岩に小さな天狗様がちょこんと乗り~」、「もう一つの天狗様~」の文章が載ります。

 俄然興味が湧きました。レポを確認するともう一つ、「烏天狗様」が祀られていますが、案内標がなく知る人ぞ知る天狗様のようです。


 三天狗様に会うことを第1目標、更に北西の高根山を加えて、周回ルートも探索してみます。猿投山の登山起点雲興時前の県道33号線で東進。

 戸越峠を越えて県道353号線に移り、1.6km北上し八柱神社へ‥ 教科書は、東三河山ぽ会編「三河・北遠ふるさとの山」です。
<駐車場>
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大きい地図

八柱神社前駐車場→林道登山口→天狗岩→▲折平山→キャンプ場展望台→
高根山→林道出合→林道降口→八柱神社前駐車場

※赤線はGPS軌跡 ●は主な分岐点


■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江南発:午前7時55分   晴れ/21℃
駐車地:午前9時45分   晴れ/22℃
標高差:(270m→628m)358m
往:2時間30分(折平山まで、小休止含む)
還:1時間40分(ランチタイム除く)
所要時間:4時間10分

 八柱神社前に駐車。明るい水色の屋根で新築の堂宇です。右カーブして橋を渡り右折。林道天狗岩線を進むと‥   (10:05)

 分岐です。直進は、下山時に戻る予定の道。左折すると右斜面上に平成4年建立の御嶽神社、壇上に「天狗岩」と掲げられていました。


 林道の舗装は切れ、緩い勾配を登ると別の林道に出合います。左は通行止ゲート。渡った所が天狗岩登山口です。
(10:30)


 沢沿いの急勾配を階段道で辿ると‥


 十字分岐。まず左の不動滝へ行きます。直進は折平山へ行く鉄塔巡視路です。
(10:45)

左折すると、すぐ細い不動滝(落差5mほど。 右端は、浮き彫りの滝不動です。
十字分岐に戻り、道標の指示に従い「展望台→」へ向かいます。
※不動滝から折平山山頂分岐までのルート詳細は、下段「道草」を参照ください。


 大きな石碑や行者の籠堂を過ぎると1996年建造された天狗岩展望台の下に出ました。回り込んで登ると‥


 豊田市街の展望。南をセンターに180度以上のパノラマ、アングルに入り切りません。そして本日の核心イベントへ。
(11:10)
 展望台から鉄塔横を登ると斜面に高さ3mの大岩。そこに南西の猿投山629mを向く天狗様1がおられました。高さ50cmの石像です。『ゲッツ!』           (12:10)

 明治時代、信者の寄進で大天狗、小天狗、烏天狗の偶像がご神体として祀られました。ところが60年前の伊勢湾台風で姿を消します。1995年、天狗像2体が奉納されました。 (11:15)


 天狗岩から南西に40m降ると烏天狗様を祀る巨岩。(TOP写真) 探すのに一苦労しましたが、しめ縄が決め手です。
(11:35)

西へ山腹をトラバースすると岩の拝殿にしめ縄とシデ、そして天狗岩天狗様2
巨岩を登るテクニックを私は持っていません。北へ登山道を登ると‥
(11:45)


 正規の登山道に合流。「折平山→」へ進み、次の「折平山山頂→」で南下します。ここに「天狗様2→」の指標あり。
(11:55)


 さすれば折平山628m三等三角点山頂です。眺望はありません。来た道を戻り、主尾根を北へ辿ります。
(12:05)


 尾根は豊田・瀬戸市境で左の瀬戸側は東大演習林です。入山禁止区域の注意看板が立ちます。何研究してる?

 やがて快適な尾根道に分岐標。(旧)めぐみの森/キャンプ場→」へ左折します。
(12:25)

 笹道を分けると追憶のキャンプ場の展望台。老朽化して立入禁止です。ここに上らなくても‥
(12:30)


 北に展望あり。アンテナが建つ三国山701mの右肩に、運が良いと御嶽山が覗きます。来た道を戻り‥

高根山605m眺望なし。里は石畳町、町名由来の重なり岩が山中にあるそうです。ランチ。何と山頂東に道標!
(12:45)~(13:20)


 やった、周回できます。「林道戸越西市野々線→」の私標から整備された登山道を降りました。

 15分で林道出合です。右折して林道降口を探しながら歩きます。
(13:35)

 谷・尾根で3ヶ所くらい候補がありました。ここが一番らしい所で林道を離れます。
(13:50)


 この尾根はシダが多いけど、踏み跡があり大丈夫。平行に張られた赤テープが、意味不明です。
やがて尾根道は、未舗装の荒れた林道に合流。地形図の破線です。
駐車場着(14:20)

車を走らせ振り返ると‥左:折平山、中:天狗岩、右:高根山
各務原市の八木三山に似ているような似てないような。


東海岳行

  “天狗様を探す” 

 日本の妖怪で誰もが知るのは、鬼・天狗・河童でしょうか。想像力の霊物天狗は善か、悪か。強面なので後者だと思っていました。ところが、比叡山の僧侶に撃退されたかと思えば、牛若丸に剣術を教えています。山に棲む妖怪として平安時代に誕生。

 鎌倉時代は、烏の頭・羽を持つ烏天狗が登場しました。室町時代に赤ら顔・長い鼻・一つ歯の高下駄・葉ウチワのスタイルが確立。江戸時代には、誘拐・家出・遭難など失踪事件は天狗の仕業とされ天狗隠しと呼ばれました。

   

 不動滝分岐から道標「展望岩→」に従い道を辿る。
(上左) 石碑・自然石に「覚明霊神」、「天狗岩○」などの刻字。巨石を巡る行場の如き天狗信仰御嶽信仰の地。お籠堂(上右)に出合い、回り込むと大きな石碑(裏に大正六年)が並ぶ。

   

 中電のプラ階段を登って降れば展望台、次に鉄塔上のピークへ。
(上左) そこに3m高の巨岩に天狗様1(上右) 降りると道標「折平山約30分→」(下左)、直進せず2m先で左の踏み跡へ突入。40m高度を下げると巨岩左の山腹道に降り立つ。

 

 左は不動滝、右に道を外し巨岩を回り込む。そこにしめ縄の天狗岩
(上右) 倒木に足をかけ手を伸ばすとTOP写真。烏天狗様の色に注目。先ほどの山腹道に戻り右手へ程なく天狗様2天狗岩。(下左) 天狗様2の両手に注目。 これで天狗像3体コンプリート。

 天狗様2から北へ登れば折平山分岐
「鎌倉時代、三人の行者が天下太平・災厄除去を願い修行の旅を続けていた。天狗が、彼らの前に現れる。天狗の教えを守り、大岩に祀るとこの地の疫病や伝染病が激減した」と伝えられ、それがこの山の天狗岩です。

   

 コロナ退散に効いて欲しい。「天狗様は、山ぶどうまたたびを食し天狗岩を棲み家にした。羽団扇を翼に大空を自由に飛び、天狗風を巻き起こし、峰々を回り、時には夜空を染める天狗火を焚いた」 今も信者の方たちは、信仰の場を守っておられます。

 不動滝から始まった「天狗岩ゾーン」は、滞在約1時間。面白い体験ができました。お世話される皆様に感謝
です。

2021.06.13(日)12:00