岳行ノート
飯盛山 1074m/長野県大桑村

2021年9月20日(月・祝)


野尻宿から突き上げる飯盛山


 長野県大桑村を国道19号線で南下すると野尻辺りで右に特徴的なピークが見えます。気になって調べると飯盛山1074mでした。

 山の北谷は阿寺渓谷、南谷は柿其渓谷(カキゾレ)です。いずれも澄んだ流れに滝や淵がいくつも続き、その渓谷美に感動します。

 そんな渓谷を作る里山があることは知りませんでした。柿其渓谷を散策後、登山しましょう。国道19号線から木曽川柿其橋を渡ります。


 村道を3.7km走り、きこりの家から柿其川へ下ると‥ 教科書は、信毎書籍出版センター刊、「新版・信州の山/南部」です。
<駐車場>
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大きい地図



町道駐車地

恋路橋

牛ヶ滝

町道駐車地
(車)

恋路峠P

飯盛山

岩場

恋路峠P

※赤線はGPS軌跡 ●は主な分岐点


■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江南発:午前7時00分     曇り/℃
駐車地:午前時分     晴れ/℃
標高差:(680m→1074m)394m
往:1時間50分(山頂まで、小休止含む)
還:1時間40分(ランチタイム除く)
所要時間:3時間30分

 終点に駐車場。恋路橋への遊歩道が落石で通行止。迂回路の案内でPへ走ります。車を置き歩いて10分、吊橋の恋路橋。良く揺れますが、澄んだ流れで心を洗い、駐車地に戻りました。


 滝への山道を降ると東屋が建ちます。木の階段で更に降りると観瀑台です。
柿其渓谷木曽谷の隠里ともいわれます。
木曽川支流の柿其川が、花崗岩の谷をJ字状に浸食して渓谷ができました。

渓谷で最下流に懸かる直瀑牛ヶ滝。落差18mあり、轟音が力強く轟きわたります。
  エメラルドグリーンの滝壺が印象的です。そして車に乗り、400mほど進めば‥

 恋路峠。24畳休憩処、夫婦道祖神、巨大石碑、清潔水洗トイレ、駐車場とあれこれ完備。奥の展望台左へ。

童謡 ♪さんぽ  あるこうあるこう


 少し雲が多い展望です。帰りに期待します。尾根道を数分登ると見事なイワカガミ(多分)の花道。


 ♪登ろう、登ろう、登山道。北西尾根が北尾根にり、左端に黄色の保安林標識が立ちます。
(11:20)


 次にピークを左に迂回します。歩こう、歩こう、山腹道。イワカガミのお花畑があります。尾根に戻り‥


 進むと露岩の壁。直登は危険です。ピンクテープが、左迂回を指示。右端のピンクは、「営林局610見出標」
(11:45)


 巨岩を回り込めば、長いロープが道案内します。すると赤ペンキの「612岩」、つまり岩の見出標ですね。
(11:55)
やがてヒノキ(多分)の兄弟。写っていませんが、上で枝がニョキニョキ出ています。

尾根道は、大桑村南木曽町の境界を通っています。
しかし、ここまで道標は一切ありません。この先もないでしょう。
(12:05)


 ♪歩くの大好きドンドン行こう。枯れ木に薬用ツリガネタケ(多分)。デカイ!右の下のは、45cmあります。 


 
 この露岩ゴロゴロの急登をわっしょい。一旦鞍部に降り、急登、平坦、そして急登すれば、右への曲折点です。


 細長い山頂部は、ワイルド。♪歩くの大好き ドンドン行こう 狐も狸も出ておいで 探検しよう林の奥まで

すると狭い石門の通り抜け身体検査場です。
無事抜けると巨岩と樹林のカオスになり、程なく‥


 飯盛山1074m山頂三等三角点です。樹林が囲み、少し先を探検しましたが展望所はありません。
(12:50)


 山頂は大桑村で狭い。時代物の石碑に「奉納大●●曲」 後ろ上に金板の山名標、マニアックな人はいます。

 ランチ場を探しながら下山。樹間から西に展望がありました。中央奥の稜線やや左のに2基の反射板。どこ?

 ランチタイム!
(13:40)~(13:50)

 ♪坂道・トンネル・草っ原 一本橋にデコボコ砂利道 蜘蛛の巣くぐって降り道(童謡:さんぽ/歌:ののちゃん)

出発地の展望台に着きました。雲は取れません。北東 右:糸瀬山1867m。
登山口が、色々と一番整のっています。登山道を楽しむヤマでした。
(14:40)


 阿寺橋から帰ろうと木曽川右岸を走ると右にかっこいい山姿。ナビに大桑村城山.。8/26にダニと戦った山だ。


東海岳行

  “まぼろしの道” 

 紀伊半島大峰山は、南北50kmに連なる山々の総称です。山域を貫く縦走路は大峰奥駆道と呼ばれ、修検道の修行の場として1300年前に開かれました。険しく厳しい山道をひたすら歩くことで心を鍛え、俗世で汚れた自分を生まれ変わらせます。

 田中さんは、奥駆道を何度も歩いた修検行者です。19歳で初めて修行に参加して40年、今は、修検者達の先頭に立ち奥駆修行を引率しています。
『神仏に皆さんの思いを伝え、人のことを思い生きる楽しさ喜びを伝えることが仕事です』

   

 30年前、修行する友人10人を連れ山に入った時、不可解な体験をしました。
吉野山を出発し青峰ヶ峰を越えるとすぐに
四寸岩山(シスンイワヤマ)1236mがあります。

 そこは凄く急な山道を登りますが、体重100kgを超える人がいました。
体調が悪かったのか、急峻な坂を登るとヘトヘトになったんです。

 
歩き始めて3時間、午前9時頃に登頂しましたが、意識朦朧で気絶寸前。元気な人は先に進み、15分程
足摺宿1180mの広場で待つように頼みました。



 同行者の回復を待ち、仲間の待つ広場に降り始めます。『足摺宿(アシズリジュク)へは、一本道で坂道を降るだけです。普通に歩いて15分、ゆっくりでも20分で着けます。それが‥いくら歩いても着かない。

 おかしいなと思いながら歩いてると、「この木さっきもありました」と言われた。えっ! その木を見ると確かにこのは景色さっき見ていた』 
どうやら足摺宿手前100m付近をぐるぐる回っているようです。

 『不思議です。ずっと昔から何度も歩いているので道に迷うことはないですし‥ すると突然周りが、昭和の初めの写真のような雰囲気になったんです。セピア色の世界に自分がいる。すると何か出てきた。目の前に岩が。

   

 そこで現実世界に戻ったのですが、1時間かけやっと合流地点に着きました。「田中さん、遅いやん」って言われ、着いてほっとしました。ああ助かった』 何年か後で同行者の方に聞くと、『あの時、歩く道だけが一本スーッと見えていた。

 
そこをずっと歩いているんですが、何か肩をぐっと押さえられているようで、パッと顔を上げると周りは古い写真のようなセピア色。これは普通ではないと思ったけど、それを田中さんに話すのは怖かった。

 二人ともおかしいと言い出したら帰ってこられない気がしたから。
ひょっとしたらあの時、そのまま死んでいたかと思うこともあります。白い道は、あの世に続く道で、だんだん色が無くなっていったのかなって‥』 

   

 修検行者の田中さん、
『奥駆道は、1300年前から歩かせてもらっている道です。途中できつくなり、亡くなった方もいるでしょう。普通では考えられないことが起こる場所のような気がします』

 この現象は、登山ではリング・ワンダりング(Ring Wandering/輪形彷徨)と言われ、道迷いの原因になります。人は意味のわからないことは怖いので、それに名付けすれば少しは腑に落ち、この現象を他の人と共有できるでしょう。

 しかし、現象を誇大解釈はせず、合理的にも裁かず、不思議は不思議でそのまま置いておくことでもいいのではないでしょうか。

                       ーNHKBS「異界百名山」より抜粋

2021.09.26(日)22:15