岳行ノート
          かさい
加西アルプス 436m/兵庫県加西市

2022年1月29日(土)


豪快な岩稜歩き、底抜けの展望

(ピークが笠松山、その下に青色の吊り橋)



 8年前、登山ガイドツアーのCLUB岳さんが、加西アルプスをレポートされました。兵庫県の魅力的な低山の一つです。

 そこを「全山岩山の面白いコース」と評価をされています。しかし、遠くて伸ばし伸ばし。今年こそと思い、山友のジオンさんに話しました。

 『私もCLUB岳で見ていきたいと思ってた』 話が早い。白影さん、クボちゃんもお誘いし、4人で交通費の軽減と感動の共有を計ります。


 参考書は、ヤマケイオンライン「低山でも楽しめる加西アルプス」です。山陽自動車道加西北ICで下り、県道で北上。皿池近くの善防公民館へ。
<駐車場>
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大きい地図

皿池公園駐車場→▲善防山(坊はミズ)→吊橋→▲笠松山
古法華寺→馬の背→下山口→皿池公園駐車場

※赤線はGPS軌跡 ●は主な分岐点


■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江南発:午前6時10分      曇り/2℃
駐車地:午前9時45分      曇り/3℃
標高差:(50m→251m)201m
往:1時間30分(笠松山山頂まで、小休止含)
還:1時間45分(ランチタイム含まず)
所要時間:3時15分
 「加西市善防公民館→」の看板から皿池公園駐車場に入ります。トイレ完備。ここから‥
(9:55)

 県道を横断すれば大手門登山口です。登山道には、善防師城遺構の石積みが多数見られると、案内板にあります。


 いよいよエンターテイメントの始まり。ワクワクします。岩道・ロープ場・展望地を過ぎて、高度が200m上がり‥


 善坊山251m。広い山頂は賑わっています。善坊師城は1346年、ここに築城されました。
(10:20)~(10:30)

四囲に展望看板が立ちますが、悲しいかなどの山も馴染みがありません。
北方向、中央の右下が皿池でその右に公民館の屋根が見えます。


 第1山から西へ快適な尾根道を降りました。下山口分岐を分け、道標「吊り橋・笠松山→」へ降ります。


 吊り橋入口で記念写真。少し揺れて少しスリル、橋の下は、古法華寺へ行く車道です。
(10::50)


 渡りきると巨岩のコブ。用心に鎖を持ちます。滑りにくい岩質には、所々足置き。振り返らずに登ります。


 上に着くと北北西、主稜線すぐ下にだるま大師磨崖仏(2014年)。ザコシ師匠ではありません。

山頂直下は、急傾斜の岩稜帯です。ヤバイ箇所を避けたルートがあります。
しかし、ここまで登山道に黒く焦げた岩がたびたび見られました。『?


 まもなく狭い笠松山山頂244mに到着。三等三角点は、展望台下です。南東方向に善防山を見ると‥
(11:25)

 下山の稜線ルートが望めます。右に馬の背、手前左の茶色の斜面は、昨年11/7昼頃に発生した山火事跡。

※2008年8/24、加西アルプスで火災発生。全体が燃え、原因は工事作業員の煙草の不始末でした。


 笠松山から南へ急降して登り返すと東屋です。ランチタイム。
(11:40)~(12:10)

大柳ダム湖に向かって降ります。一枚岩の急坂には小石が乗っているので危ない。
と思ったら転びました。手に持ったカメラがゴチン。鏡筒がグニャ、力技で戻しました。


 大柳ダム湖の東端に降り、左折して舗装道を古法華寺(フルボッケジ)へ歩きます。約600mでお寺入口の‥
(12:20)


 石彫の森に到着。隣の石彫アトリエ館で個人が彫りました。300体の石仏が奉納されています。(2万円/1体)
(12:30)~(12:45)


 
国重要文化財本尊石仏は、日本最古1300年前奈良時代の作で収蔵庫に保管されています。石彫アトリエ館古法華石仏実物大の複製壁掛けが無料で見られます。 火災の厄で欠失部が多い。


 大柳ダム湖の東端へ戻り、南側の登山口から下山するため登ります。
(12:55)

尾根道で100m高度を上げると馬の背
幅は広く、斜度が優いので油断しなければ大丈夫です。
(13:05)


 やがて往きに歩いた主稜線に合流し、指標「下山道→」から北へ降ります。
(13:25)

 善防池を見ながら10分、舗装道に出会いました。右折して駐車場へ歩きます。

 本日のふるさとアルプスは、豪快な岩稜歩き、底抜けの展望、そして見所多数のご満足コースでした。
駐車場(13:40)


東海岳行

  “日本三奇・石の宝殿”

 加西アルプス登山を終え、南の石の宝殿へ走ります。それは日本三奇の一つです。(他は、天之逆鉾/宮崎・四口の神竈/宮城) 高砂市の総合運動公園西の生石神社(おうしこ)に30分で到着。神社南にある広い無料駐車場に置車します。

 昨年3月、播磨アルプスの登山後にビジターセンターに寄った際、石の宝殿のパンフを見て驚きました。次に来るときは絶対行こううと決心。というわけで駐車場の鳥居(下左)から坂を登り、生石神社で拝観料100円を払います。(下右) 

   

 ジャ~ン! 竜山石(タツヤマイシ)の岩盤を彫り込み、削り出した国史跡超ど級巨石遺構は、高さ5.5m・幅6.5m・奥行5.6mの直方体重さ約500t。スパッとカットされた切り口は見事です。浮石とも呼ばれ確かに浮いているよう見えます。

 それは底面に幅1.6m・深さ30~140cmの水をたたえた溝が巡っているからです。この水は涸れることはありません。ところで日本には石の宝殿のような構造物はなく、歴史上では12世紀の書物に「生石大神」と記述されたのが初めてです。 


(近すぎて手持ちカメラでは全景が移りません。資料より)

 いつどのようにして作られたか・なぜ作られたか、全ては謎。圧倒され、迷宮に吸い込まれます。1826年シーボルトも驚き、1832年刊行の「日本」にスケッチを載せました。(左下) 1周すると、後面に奥行1.8mの不思議な突起物。

 巨岩を左に倒せば屋根だという説がありますが、始めっからそう作ればいいのではないか。むしろブラウン管テレビを暗示しているのでは‥まさか。松本清張氏の謎解きでは、「巨石を大和に運ぶ」 当時500トンを移動する方法があったのか?

   

 
今は、棺を入れる外箱を制作した跡という説が有力です。宝殿の左手に山上公園の登口があり、岩斜面に刻まれた階段を上ります。宝殿生石神社が上から見え(左下)、一枚岩の山を削って宝殿が作られたことがわかります。

 宝殿の上に木々が茂り、時の長さを感じました。山上は広く大正天皇行幸記念碑、ベンチ、休憩所が設置されています。展望は雄大で360度、右奥は播磨アルプス高御位山。(下右) 今まで宝殿を知らず、私の何コレ珍百景に登録。

 

2022.02.06(日)23:35