岳行ノート
水木沢天然林/長野県木祖村
2006.7.15(土)江南6時00分発 
           曇り  28℃ 
展望台まで:2時間10分(小休止含)
  帰 り  :2時間20分(小休止含)

 不安定な天気のうえ、気温も上昇してきました。
“山頂は目的ではなく目標”シリーズ第三弾です。(単に山に行かない言い訳)

 木祖村の一度も伐採されてない天然の森‥そう聞くだけでときめきがスッぱく持ち上がる。ちょっと遠いけど二人なら車中の時間つぶしもできます。

 ある訪問者の方から『岳行ノートは、連載小説です。』と感想メールをいただきました。ならばとある考えを思いつきます。それは最後のコマで‥。

 参考書は、「木祖村観光協会」のHPにお世話になりました。(詳細な地図付)
駐車場周辺図


森の命を深呼吸



軌道敷跡
↓゙
管理棟

(原始の森)
展望台

(太古の森)
大ヒノキ

管理棟

P

※色線は実測ではありません。
■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」

 



 「夜叉ケ池」の岳行ノート<道草>で映画館の「夫婦50割引」が6月末で終了と書きました。夫婦どちらか一人が50歳以上なら二人で2000円で映画が見えるサービスです。ところが、このサービスがさらに1年間延長されました。『ラッキーじゃん!』

 テレビの「学校へ行こう」トム・クルーズが、英語のできる高校生の質問や一発芸をとても喜んでいました。最後に女子高生が『トム、あなたに恋をした!』と打ち明け大笑い。私も彼が好きになり、まんまと「M:i:3」を見に行ったのです。痛快な2時間をひよこさんと2000円で楽しむことができました。
             
 さて天然林周遊(1時間半)だけでは物足りません。「やぶはら高原里山歩き」も組み込みました。笹川の橋を渡り、この分岐点で置車します。
(9:50)











 道は、森林軌道敷跡で歩きやすい。野の花も多く、蝶もたくさん飛び回る。

 美しいカラマツ林は、期待が増幅します。でも上写真の熊除鐘が、何箇所も有り不安が増幅する。

左:?  中:蟻の巣で育つヒメシジミ  右:ヤマキマダラヒカゲ(この山域で多く見かけました。)
 リスに出合った後、鉄ゲートの手前で左折するとすぐ舗装道路に出ました。ここも左へ行きます。そして10分も歩けば‥。
 広い駐車場の奥に「水木沢天然林」管理棟です。

 平成3年、この森を伐採する計画がありました。村の反対運動で中止され、平成6年「郷土の森」としてオープンしたのです。
(11:05)
 その入口に“熊が出るおそれがあります 室内の鈴をお持ちください 帰りにはお返し下さい”と張り紙があります。

 借りようと戸を開けると小熊がいて驚く。なるほどちょこちょこ熊が、出るなら鈴や鐘は必要です。
 この小熊は、愛嬌があってかわいい。小熊の近くには、きっと親熊がいる。でも足に止め具のある剥製なら心配御無用。
 管理棟奥に立派なウッディ・トイレがあります。その先の水場から森の周遊道に入りました。
(11:25)

一歩踏み込めば別世界。見上げると鬱蒼と高木が空を占めています。半端じゃない高さです。
 転落防止柵の下は深い谷です。爽やかな空気感も心地良い。標高は1250〜1600mです。
 10分歩いて「原始の森」(周回1q)と「太古の森」(周回1.2q)分岐に到着しました。サワラの大木を見て、左を選び原始人になります。
(11:30)

「熊除のリン」は、10ケ所以上あります。ひよこさんは、几帳面にすべて3回づつ鳴らす。
なんとこの鐘を持ち帰る人がいるようです。家にいるクマは、これぐらいでは逃げませんよ。
 ここの水木沢は、木曽川の源流のひとつです。この水場も大河の誕生地。清流はやがて伊勢湾に流れ込むか、私たちの腹に流れ込むか。

『おお〜これは‥すごい!』樹齢550年の大サワラです。生年月日は室町時代!
ウエスト670cm,直径250cmで四畳半の部屋が埋まる。身長測定不能の大迫力(11:50)

 少し登るとこの森で唯一眺望の開ける展望台に着きました。正面は「木曽駒ケ岳」ですが、雲が覆っています。

 右上の山腹は「やぶはら高原スキー場」のゲレンデです。

 ちょっとシャリバテ気味になっていましたので早速ランチ。ヤマキマダラヒカゲが、たくさん飛び、遠慮もなく体に止るのでひよこさんが『ピーピコ』騒ぐ。
(12:00)〜(12:30) 
 食事を早めに終え森へ戻ります。尾根道をゆるりと山たまごが降る。
 道脇のあちこちにツルアリドウシ(蔓蟻通し)の小さな花が密生しています。赤い果実も付いていました。巨木に挟まれた尾根道を急降下します。
 木段を降り切るとせせらぎ架かる苔木橋。ここが分岐点で「太古の森」コースへの登り道に切替ります。こちらは混交林です。
(13:05)

苔付く大きなブナおばさん。

ヒノキの兄弟も荒々しくしのぎあう。

 道は広い軌道敷跡です。往時は、この森のもうひとつ南の山を伐採し、その木材を運搬していました。昭和8年〜30年代のことです。
 こちらのコースでメインの巨大ヒノキ。
ここの天然林は、98%樹齢200年以上の木で占められています。
 この清流を渡れば「原始の森」「太古の森」の合流点に到着です。これで森を時計回りに一周しました。
(13:40)

 管理棟に戻り休憩します。バスが着き20名ほどジャージ姿の年配の方たちが降り立ちました。賑やかに森に入られます。

 明日は、麓で「第20回やぶはら高原ハーフマラソン大会」です。前泊の選手の方たちでしょう。
(13:50)
 いつもの山行に比べれば…と高をくくっていました。帰りの軌道敷跡歩きが余分です。ふくろはぎが、乳酸で満たされ重い。

 いつか紅葉期に来るときは、管理棟まで車で行くことにします。

左:新旧の野アザミ    中:ウツボ草    右:オカトラノオ
 カラマツ並木を過ぎれば、あと20分。

 駐車地に着き、車中を見るとヤマキマダラヒカゲがいる。『いつどこから入ったの?』
 運転席のドアを開けようと‥『あらま』窓が半分開いていました。
(14:50)


 車を出すと突然のスコールです。『セーフ』
さあ、前説で書いたある考えを実行しましょう。
 1時間野麦街道を運転し、1ケ月前感動に浸った「野麦峠」に寄りました。

 すぐ「野麦峠の館」の館長さんにお逢いし、あのときのお礼を言います。そして館長のお話を載せた岳行ページ野麦峠編をお渡ししました。

 私のことを良く覚えていられたので嬉しかった。その後、ひよこさんと峠を一回りしていたら土砂降りの雨です。

 これから4時間ドライブ、帰宅は8時過ぎかな。
  
  なんで勉強するの?
 

 会社の女性が私に話しかけてきました。何でも子供が小学二年生になり、言うことを聞かない。『勉強しなさい!』『宿題済んでから遊びに行きなさい!』としかる。『なんで勉強するの?』『なんで宿題するの?』と口答えして困るそうです。

私『実は私も子供のとき、親からなぜ勉強するのか教えて欲しかった。円の面積は、一生縁が無い。関数計算だって使うことないと思う。絵は下手でも大人になっても困らない。音楽だって歌はヘタだけどそれほど困らない。宿題もいやでしょうがなかった。』

私『社会人になってやっと勉強をする意味がわかった。数学は、ものの考え方を鍛えるための教科だ。何か問題が起きた時、方程式を解いた能筋が役に立つ。ヒントを集め問題点を整理して解決策を導く。例えば掃除機が壊れたとき、家出するかしないかを決めるとき‥』

私『絵や音楽は、感性の能筋を鍛える教科だ。美しいものを見たり素敵な出来事に出合ったとき、心に感じた喜びや悲しみを素直に出せるようになる。無表情な人よりいいでしょ。』

私『また学校は規則の塊。宿題をやること、遅刻しないこと、仲良くすること一杯先生との約束がある。それは大人になったとき約束を守れるいいやつになるためだ。』

私『困っったことに立ち向かっていく人、小さなことでも感動できる人、約束をきちんと守れる人になるために勉強しよう。と親が言ってくれたら私ももっと勉強することが好きになったと思う。』


  『ふ〜ん、今度子供にそう言ってみる。ところで自分の子供さんには、それを話したのでしょ?』
私『うん、話したよ』
   『で、どう?』
私『あくまでも今の話は理想のことで‥まあ結果は、五分五分かな』
   『???』