岳行ノート
                   ろくろ
三十三間山2~轆轤山 842m・662m
福井
県若狭町

2022年11月3日(木)


すすき原から羊の群れる轆轤山へ



 三十三間山は、12年前福井県若狭町より、北の大日岳と併せて周回しました。今回は、南に辿る轆轤山との周回です。

 轆轤山山頂では、草木が丸く整う不思議な植生が見られます。それが一番楽しみで、ちょうど紅葉もいい感じになりました。

 充実した山行が期待できます。帰路の長い林道で、たたみ君2号の出番と思いましたが、登山前に確認すると未舗装道で砂利が多く断念。


 舞鶴若狭自動車道若狭三方ICで下り、国道27号線で南下。倉見集落の佛行寺南の登山者用第一駐車場に置車しました。

 参考書は、山と渓谷社刊「新・分県登山ガイド/福井県」です。参考書に多くのサイトのお世話になりました。
駐車場
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大きい地図


登山者駐車場→風神の滝→▲三十三間山→▲轆轤山→国道出合→登山者駐車場

※赤線はGPS軌跡 ●は主な分岐点

■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江南発:午前6時30分 曇り/11℃
駐車地:午前8時45分 曇り後晴れ/15℃
高低差:752m(90m→842m)
往:2時間30分(33間山まで、小休止含)
還:3時間10分(ランチ除く)
所要時間:5時間40分

 広い第一駐車場にログハウスの水洗トイレが素晴らしい。写真右、登山ポストのある第二駐車場を抜け…  (9:05)

 賑やかな三十三間山登山口です。林道倉見線の起点でもあります。防獣扉を開閉し、川沿いの未舗装道を辿ると…


 林道分岐です。「三十三間山登山道/山頂まで3kmから右折します。


 支流の沢に落差6m風神の滝。滝を右から回り込み、左岸の林道を登ります。
(9:25)


 林道の石畳から簡易橋で右岸へ。案内板「最後の水場」から沢を離れ、斜面を登ります。

 10分で尾根に出合い、松の多い道を行きます。
(9:50)

 夫婦松展望台490m。松は枯れ、1本は切り倒されました。樹間から少し三方湖。(10:25)
1164年京都の三十三間堂が創建された際、棟木をこの山中から切り出したといわれます。
そこで三十三間山と呼ばれるようになりました。

高度が上がるとブナミズナラの紅葉に囲まれます。山が綺麗だ。
 「風神」の標識。昔疫病がはやり、行脚の僧のお告げで石塔(1832年建立)を立てると治まった。南20mにありますが、見逃しました。
 すぐに県境稜線に乗り、ろくろ山分岐740mです。四囲に展望が開けます。東へ歩くと…
(11:10)
 
 北西に若狭町、右奥に三方湖若狭湾、左奥は小浜市の久須夜ヶ岳619mです。 

 尾根は風衝草原ですが、右の山頂はボーボー。草原は強風で樹木が育ちません。左に風況観測塔が立ちます。

※塔は風力発電の準備。県境の大日岳~三十三間山~轆轤山に計画があります。原発の代わりですね。


 三十三間山山頂842m三等三角点。樹林に囲まれ、展望は利きません。でも周囲の紅葉は、絶好調。降ると…
(11:35)


 南に左前:高島市・武奈ヶ岳865m、左奥:釈迦岳1060m、奥中:大津市・武奈ヶ岳1214m。W武奈ヶ岳だ!

草原に出ると辿る南の尾根がZ形になっています。
左先ピークが轆轤山です。尾根には樹林が殆どありません。


 往きに出合ったろくろ山分岐を越えると(11:55)、貴重な樹林帯です。しかも紅葉盛り。樹林を抜けると…
ススキ原に出て辿る尾根を見ると…ん? 羊の群れ。違いました。
あそこではススキが、なぜか丸形で集っています。なぜススキ原にならないのか?

轆轤山山頂周辺で植物が丸く整う不思議現象の始まりです。(道草参照)


 ひと登りすれば、轆轤山662m四等三角点。地肌むき出しの禿山状態なので、眺望は四囲に開けています。
(12:35)~(13:05)


 山頂を振り返ると 西斜面と手前北斜面で芝を木枠・金網でガッチリ養生中。シカの食害の裸地を復元しています。


 丸く整う轆轤山の不思議植生は面白い。天増川分岐(アマス)から西の倉見へ。芦生杉・紅葉樹・反射板と降り…
(13:25)


 「倉見峠→」指標から進むと、この道標です。ここは右折。万一止木を跨ぎ、左へ直進すると困難が待っています。
(13:45)


 杉林の急斜面を蛇行すれば林道出合。約4kmの長い林道歩きの始まり。下りに苔生す地道で少しは楽です。
(13:55)

 3km歩くと「大岩を抱く木」(道草)・「落ちない巨岩」 絶妙のバランスです。(14:35)~(14:50)

 林道から国道27号線に出て、舗装道を1km歩けば駐車場です。展望もあり不思議に出会い、お得な山行でした。
(15:15) 


東海岳行

  “丸く整う”

 轆轤山へ向かう途中見た羊の群れは、ススキが丸く整ったものでした。(左下) この形で集まるススキ群は、始めてです。小さなコブを超えて山頂へ近づくと、円盤状に整う苔。(右下) 地面なら風の影響は少なく、丸くなる必然は何でしょう。


 山頂の南斜面には、葉を拳骨に丸めた変わった灌木群。(左下) そのアップ。(右下) 骨付きチキンの手羽元を想像します。この低木のイヌツゲは、繰り返し受けたシカの植圧の影響で盆栽状の樹形となりました。


 メチャメチャ多い。(下左) でも小石交じりの土壌、鹿に食べられ生育環境は厳しい。数年後にはどんな姿になるか気になります。心配して行くと次のコブに紅葉した円盤群。(下右) 上方に緑の円盤もあり、いずれも丸く整っています。


 地を這う木の剥かれた樹皮。(下) そこを葉で覆い守っているようです。よほどのことがあっても生きようとする不思議な光景です。(森林野生動物研究会誌/2014のレポートを参考にさせていただきました)


 長い林道の途中、「落ちない巨岩」「大岩を抱く木」の名所スポット。(下左) 2020年12月に整備、近くに駐車地があり、ここまで車で来られます。ベンチがあり、林道出合から40分、丁度休みたかったので休憩しました。

 囲いの中は、「黒龍大明神番衆大神」で、願い事を唱え、時計回りに周回します。ご利益は、良縁・子宝安産・病気平癒です。裏側に回ると根がガッチリと大岩を捕えていました。(下右) 解説板よりこの木は、「巳の神大聖番衆の神」と思われます。


2022.11.13(日)22:35