41 “安曇野の情景

 学生時代の旧友たちとGW明けに安曇野市で会うことになりました。彼の地は登山の往き帰りに通ったことはありますが、市内を巡ったことはありません。そこで集合前に名所旧跡へ寄ることにします。何か所かは、以前から興味があって知っている所もありました。

 安曇野市は長野県の中信に位置し松本市の北にあります。「安曇野」(あづみの)漢字は雰囲気があり、その響きも美しい。でも「あ」は分かるけど「づみ」「雲」なのは???名前の由来は、北九州筑紫の「海人津見」(アマツミ)族がこの地に来て定住し、読み方が「アヅミ」に転じたとされています。


 さて長野自動車道豊科インターで下り犀川を渡りました。すぐ長峰山(ナガミネヤマ)933mへ向かいます。ここはJR明科駅近くの林道で山頂まで車で上がれます。実は今春、南隣の光城山(ヒカルジョウヤマ)912mから歩く予定でしたが、タイミングが合わず実現しませんでした。山頂にはパラグライダーの基地があります。

 風向きが良くないようで3人の方が飛ぶのを諦めました。でも目の前には春爛漫の安曇野の里、北アルプスの大パノラマ。40年前、山頂に立った川端康成が「残したい静けさ、美しさ」と絶賛した風景です。立派な展望台があり4月、私が毎日桜の開花状況をチェックしていたライブカメラを最上部で見つけ嬉しくなりました。


 次は廃線跡です。旧国鉄篠ノ井線は(長野市)篠ノ井駅〜塩尻駅を結び明治35年に開通しました。86年後の昭和63年9月新線に役目を譲ります。JR明科駅から行くその跡地「あかしな廃線敷」は全長4kmで国道403号線と潮沢川沿いの山腹に延びています。その間にあるけやきの森(左下)は3万本の新緑が爽やか。

 また漆久保(ウルシャクボ)トンネル(右下)は総レンガ造りで全長53mが、09年4月1日より通行可能になったばかりです。歩道はバラストも少なく歩きやすくなっています。ウォ-キングコースとして観光バスツアーにも組み入れられました。先月の4月29日に歩いた愛岐トンネル・ウォークを思い出しますね。



 安曇野は道祖神の宝庫。500体を越え、いたる所で見守っていて「道祖神巡り」ツアーが組まれるほどです。珍しいラブラブ接吻道祖神(左下)に逢うため、廃線敷から国道を外れ林道を北上しました。山斜面の祠に仲むつまじい姿で安置されています。高さ55cm、元禄時代の作なので300年間のロングキッスです。

 5月上旬では、ちと早いかもしれませんが満願寺つつじ公園(右下)へ行ってみることにしました。安曇野市の西、常念岳2857mの麓にあり標高900m近い場所。まだこれっぽっちもツツジは咲いていません。変わりにしだれ桜が満開でした。それではとこの近くにある名所に走ります。



 田園風景の中に土塀で囲まれた大きなお屋敷‥何坪?。この立派な大庄屋山口家(左下)は、江戸初期の建造で内部の庭園・書院が400円で見学できます。明治27年ウォルター・ウエストンは、ここに宿泊し外国人として初めて常念岳(百名山)登山をしました。次は国営という冠に魅かれ‥

 近くの国営アルプスあづみの公園(右下)。公園は安曇野市(平成16年第一期開園)と松川村(整備中)の2ケ所に分かれています。広大な用地で10%程度の部分開園、その時点で驚愕の450億円‥が投じられました。しかし入場料は400円。自然を人工的に造り安曇野の風景の中で異質に感じます。




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 さて翌日は、友人たちと安曇野で一番の観光スポット大王わさび農場へ行きました。農場に入る前に有名な水車小屋(下)。これは映画のセットで巨匠黒沢監督の「夢」が、平成元年5月に撮影されました。この左側に駐車場があり、観光客や歩道をカットすればアングル・マジックで素晴らしい風景画になります。

 水草揺れる清澄の湧水、蓼川(タテカワ)で透明底のボート乗船料は15分900円(30分2000円)です。アジアから来たお客さんも記念写真で忙しそう。友人は誰も乗らないので残念。農場はとても広いのですが、小径が整備され大王神社や祠、展望台、橋など変化があって気分の良い所です。何より入場無料なのが感じいい。


 レストランに行くとわさびジュース、わさびビール、わさびコロッケ、わさびスパゲティ、わさび、わさび。。。そこで「わさびアイス」を食べてみました。ちょいピリでお寿司屋のデザートにいいけど子供はダメか。ここで使ったお金は、そのアイスの200円だけ‥しぶちん観光客です。日本一広いわさび農場(左下)とのことですが‥

 ふと、鈴鹿の三国岳で歩いた阿蘇谷の小規模なわさび田を思い出しました。ここは憂鬱なヒルがいません‥再び車を走らせます。道沿いの果樹園(下右)では、リンゴの花が咲いています。4月下旬から5月上旬が開花時期なのでいいタイミング。はじめて見ました。(右下)



 名水百選の安曇野わさび田涌水群(左下)へ行きます。北アルプスの雪解け水が一旦地下に潜り、半年かかって犀川近くで湧き出て、プールに水を入れるほどの水量で溢れていました。先ほどの大王わさび農場の蓼川もその湧水群の一つです。その水温が年を通し、9度〜13度で平均13度になりわさび栽培にピッタリ。

 もうひとつ私がネットでチェックしていたことがあります。安曇野に飛来する白鳥です。犀川のダム湖白鳥湖御宝田遊水池(右下)では、1月〜2月にシベリアから来日した白鳥で大賑わい。その頃来たかったのですが、やはりタイミングが合いませんでした。




 白鳥はダム湖の方が多いのですが、雪の北アルプスを背景にした池の方が絵になります。でも電線が写りこまないアングルを探さなくてはなりません。初飛来は昭和59年の56羽で、最多飛来は05年の2000羽です。昨年は10月26日に飛来が確認され、今年4月16日(金)に最後の24羽が飛び立ちました。

 今はカモが浮かび、白鳥と見物客の賑わいはありません。m〜楽しかった‥さあ友と別れ我が家に飛び立ちましょう。しかし先回の野麦峠、今回の長峰山白鳥湖‥とボツ山、ボツ湖。「行きたい引き出し」には、待機中の地図や資料が増えるばかり。それらを消化する前に新しい所を見つけるからです。整理整頓。

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2010.05.24(月)19.:35