55  “幻の滝

 愛知県新城市にある宇連(ウレ)ダムは、宇連川に55年前の1958年に設置されました。ダム湖は鳳来湖と命名され、干ばつの多い東三河の水がめです。ところがダムは、しばしば干上がります。そこで現在、設楽ダム建設が計画されていますが、建設の是非が問われています。

 さて今年の8月は暑かった。雨の降らない日が何日も続きました。8月下旬、渇水で鳳来湖は、貯水率が数%まで落ち、涸れっ涸れになりました。ダム湖が干上がると湖底には、昔の川の細々とした流れ。8月23日の新聞が、湖底のその川に普段は見えない穴滝という秘瀑が現れたと伝えていました。

 そんな時、岳魚さんから書き込み頂き、幻の滝「穴滝」を見てこられたというのです。新聞記事では広大な鳳来湖のどこに滝があるのかわかりません。しかし、場所を知っておられる方がいるなら行ってみたくなります。岳魚さんが案内しますよと言われたので早速、出かけました。



※蒲郡市HPより(2段目に探訪した9月6日(金)は、貯水率10.2%と表記されています)


 駐車地
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大きい地図


 前日、川歩き用に30%OFFセール中のクロックスのサンダルを購入し、水着・タオル・替着などを用意しました。いつもの山歩きとは様子が違います。

 国道151号線を愛知県新城市のJR三河河合駅辺りで県道424号線へ移ります。宇連川の右岸→左岸を走るとやがて宇連ダム(下左写真)です。



 ダム湖(下右)を覗くと先日、台風が九州に上陸し秋雨前線と合体したため、この辺りも雨が振ったようで水位が上がっています。

 幻の滝は貯水率が30%になると消えてしまいまが、今日はまだ10.2%なので岳魚さんは『大丈夫でしょう』と言われました。





 ダムから右岸を走り、橋を一つ渡ると随分水量が減りました。(下左) 写真右上の岩塊は女郎岩と呼ばれ、岩の下にある洞穴に女郎が隠れ住んだという伝説があるそうです。さらに遡ると本流の宇連川(下右)の流れは少なく、昔の川をしのばせます。

 ダム湖が貯水率100%なら樹木の下まで水が満たされているのでいかに渇水がひどいかわかります。



 二つ目の八石橋を渡って左折しました。そこから2km、道路左に「この付近は鳥獣保護区内です。愛知県」と小さな丸看板が立っています。ガードレールが切れたスペースに車を駐車。『穴滝をまず上から見ましょう』 ガードレールの端に川へ降る道がありました。親切ロープがあり、急勾配を降ります。(下右)



 坂の下でロープがなくなりますが、急勾配は続くので立ち止まって、下にいる岳魚さんを撮りました。(左下)右手にカメラを持ったまま一歩足を踏みだすとズルッと右足が滑り、体勢が崩れ転ぶ。右手の二の腕で受け身をして身体を支えたのですが、少しすりむきました。長袖でよかった。カメラは無事です。

 今日は、いつもの登山靴ではなく低山用のローカットを半年ぶりに履いています。2年前、お店で安売りしていたので購入したのですが、寸法が5mm大きいものしかなくソールを2枚引いて調整しました。履き心地に違和感があるわけです。慎重に歩きましょう。まず右下の地図で(P)から左方に歩き滝上に出ます。



 すると川を堰き止めた岩脈にV字の切れ込みを入れたような渓谷が現れました。(下写真) 滝音が聞こえ岳魚さんは、ダム湖に沈む前の旧道を歩き、写真中央にある草地へ向かいます。私はその後を追いました。

 


 草地について上から覗くと落差1mほどの小滝が見えます。(下写真) 滝壺の左には、ポットホールのようなピーナッツ型の穴。そこからも流れが細い筋で落下しています。『これが穴滝?』 本流は、中央手前の岩の下を左に流れ‥

 


 6mの高さから深い滝壺へ落下。(下写真) 滝は周囲を岩壁にガードされ、まさに秘瀑です。水の流れが永い年月をかけ、このような穴を作ったのでしょう。この個性的な滝が、渇水時しか見られないのは残念です。調べると1988年、2002年そして2013年と鳳来湖が干上がりましたので10数年のローテーションです。

 


 草地から下流へ振り返りました。(下左) 流れは、澄んでとても綺麗です。下に降りて川に入り滝壺を覗いてみることにしました。左岸の旧道を100mほど辿り、降り口を探します。(下右)



 穴滝の前に来ました。(下) 中央の岩の割れ目に滝はありません。滝は、左の岩脈の後ろに隠れて見えません。そこで川へ入り岩脈の端から覗くことにしました。クロックスのサンダルは車の中なので取りに行くのは面倒です。川底は荒れていなく裸足でズボンをまくり入水すればいいこと。

 


 すると川下から旧道を歩きながら干上がった湖底を辿る地元の団体さんが来られました。面白い遊びをされていますね。ところで鳳来湖には三つの滝が湖底にあり、穴滝のほか八石橋の真下に幻の滝(落差4m・幅12m、右岸の橋の袂から行けるそうです)、もう一つが蝉ヶ滝(落差5m)です。

 ところがこの滝は、流入した土砂で湖底が埋まり、残念ながら姿はありません。さて私たちは川岸に降り、岳魚さんが早速入水。ひんやり冷たくて気持ち良さそうです。(下左) 先回、岳魚さんが川へ入ったとき、何だか足がこそばゆくなり見ると魚が群らがり足をつっついていました。(下右)

 おそらく人間に出逢うことなく育ったウブなカジカです。そんなドクターフィッシュに私も問診して欲しい。しかし岳魚さんが探しても、先日の降雨で川下へ流されたのかカジカは1匹しかいませんでした。私も左下の写真を撮り、岳魚さんに続いて入水しました。


 カメラを左手も持ち、身体を横向きにしてソロソロと左足、右足、左足、右足、、、その右足が小さなヌル石の上に乗りバランスを崩したので本能的にドボンを防ごうと右手を川底につく。一瞬固まる、、、なぜなら右手にはミラーレス・デジカメ。。。カンゼンスイボツ、ナンマイダブツ、、、これにて滝の探訪終了。

 寂しげな私に岳魚さんはお寿司を御馳走してくれました、優しい。。。

2013.09.09(月)21:05