大79 “苔と花” |
昨年、旅行社のツアーパンフで知らない観光地を見ました。。それはチャツボミゴケ公園、
聞いたことがありません。しかし載っていた一枚の写真は、衝撃的で初めて見る光景です。
早速、調べると群馬県中之条町の山奥にある秘境でした。『遠いなあ』と記憶の中だけに留めます。
その後、山友の野良人さんから『ツアーでチャツボミゴケ公園に行った』と話され私も行きたくなりました。
5月中旬、「森羅万象☆トレッキン」さんから野反湖でシラネアオイが見頃との情報を頂きました。
長野の野尻湖と勘違いしましたが、調べると野反湖は群馬県にありチャツボミゴケ公園の近くです。
ならば二つのスポットを巡るツアーをしましょう。ということでひよこさんと早速出かけました。
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上信越道上田菅平ICで下り、国道144号線で
北東の草津温泉へ走ります。江南市から休憩を取りつつ、5時間半335kmのロングドライブ。 |
公園駐車場に車を置き、受付事務所で 入園料500円を払います。本年の開園期間は4/27〜11/14、受付9h〜15hです。 |
事務所前から1km先の穴地獄停留所まで2台のシャトルバスが巡回しています。(往復100円) |
2015年、チャツボミゴケ公園はラムサール条約に登録されました。
「チャツボミゴケ」とは、火山性酸性水域に生息する苔です。
2017年には、国の天然記念物に昨年2月指定されました。なるほどそれでツアーが出来たのですね。
全世界の苔、18,000種の中で最強の耐酸性を持ち、酸性水域で生育します。
この公園の群生は、国内で最大規模です。
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シャトルバスを降り、砂利の遊歩道を300m歩きます。硫黄臭のする温泉水の川沿いを行くと‥ |
すぐ右上に露頭の褐鉄鉱。辺りには鉄鉱床があり、群馬鉄山(日本鋼管)が、S19〜S41、露天掘りで採鉱しました。
平安・鎌倉時代には、塗料「ベンガラ」の材料として京に運ばれています。 |
緑の苔に寄り添うのは、レンゲツツジ。川では現在も鉄鉱石の生成が行われています。遊歩道を10分歩けば‥ |
核心の「穴地獄」。圧巻の群生、大量に湧出する鉱泉がその中を流れています。
温度は20℃程、動物が落ちると出られず死んでしまうことから穴地獄の名がつきました。
ここは、白根山の爆発で出来たすり鉢状の窪みです。
聞きしに勝る光景ですねえ、、、ゆっくり穴地獄の縁を木道(写真上)で歩けば、一周20分。
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硫化水素を含む強酸性水は、澱みで赤茶けた鉄沈着を起こしています。 |
帰路は穴地獄停留所からバス道とは別の登山道を降りました。15分ほどで公園駐車場です。50分間の滞在でした。 |
折角の草津ですから温泉街の中心にある湯畑に寄ります。もう来ることはないと思っていましたが、3回目です。 |
宿は、中心地の温泉宿を避け、外れのお値打ちペンションです。夕食に出たカボチャスープが最高でした。 |
草津から国道405号線を北に45分走り、野反湖(ノゾリコ)南端の駐車場に到着。
昭和31年に完成した東電の発電用ダム湖で、ダムは写真奥です。左下に残雪が見えます。
群馬・長野・新潟の県境に位置し、湖面標高1513m・水深25m・南北3km。
以前は、湿原で高山植物の群落がありましたが、ダム湖に沈みました。
湖岸には、ノゾリキスゲ・レンゲツツジ・ヤナギラン・コマクサなど高山植物300種類以上が彩ります。
湖畔周回コースが有り、3時間のコースタイムです。右の国道に‥
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八間山1935mの登山口。山頂迄の標高差は374mです。開花期なので「シラネアオイの群生地→」の案内板が立ちます。
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3分登ると山頂と群生地への分岐です。左に折れ、山腹道を辿ります。 |
笹原を進むと4分で群生地に到着。斜面の上と下に広がっているので上から周回します。 |
早速、見事に大きな花が咲かすシラネアオイ。見頃は5月下〜6月上ですが、今年は少し早いようです。 |
日光の白根山で発見されました。葉がフユアオイに少し似ています。
それでシラネアオイの名。寒さには強いけど夏の高温乾燥と過湿には弱い。
地元の六合中学校が、平成5年からダム湖に沈んだシラネアオイの復元活動をしています。
本白根山のコマクサの植栽に取組んだ山口氏の指導を受け、25年掛け8万株を植えました。
植栽は毎年9月中旬、晴雨にかかわらず実施されます。寒く厳しい作業です。
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しかし活動の主役、六合中学校の生徒数は年々減少し、昨年は全校で27名。維持するのも大変です。 |
花は、直径5〜10cmあります。1属1種で日本が世界に誇る種です。のんびり撮影しながらの周回は30分。 |
群生地から5分ほどで下山。駐車場の休憩舎では、シラネアオイがひと株800円で販売されています。
さあ、我が家まで厳しい5時間半のドライブ。 |