岳行ノート

戸倉山 1681m/駒ヶ根市
2008年9月27日(土)


山は秋の大収穫祭



 ひよこさんも山に行くと言うので、比較的登りやすく展望もよい戸倉山を選びました。私の持って入るガイドブックでは、すべてキャンプ場コースのピストンです。

 そこで上ノ森コースから登って見処スポットを抑え、滝や巨木もある沢コースで降る周回に決めました。教科書の絵地図はあるのですが、それだけでは心細い。

 地形図には、林道がきちんと書かれていますが、登山道が載っていません。前夜、ガーミンにポイントをしっかり入れました。天気予報は、抜群の秋晴れマークです。期待で寝付けません。



 教科書は「信州山歩き地図」さんのHPより☆南信州の山/戸倉山(伊那富士)です。
駐車場周辺図
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P

入口

登山道

展望ベンチ

西峰

戸倉山

西峰
(ランチ)

猿の松分岐



林道終点




※青線は林道
※色線は実測ではありません。

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)


江南:6時40分発 15℃/晴れのち曇り、時々キノコ 往路:2時間10分(西峰まで/小休止含)
復路:2時間30分



 駒ヶ根インターを降り、東へ走ると戸倉山が目に入ってきます。別名伊那富士ですが、横長で富士山には見えません。

 帰りに名前通りの伊那市から見ましょう。左端が西峰山頂のようです。右後ろに仙丈ケ岳が覗いています。いい天気。



 下田バス停前のY字路を右に上って集落を走ります。小鳥居を右に見て行けば、松本ナンバーが先着する路肩に駐車。

 前がグランドでトイレもあります。さあ用意ができたら秋を探しに入山⇒
(9:50)



 鳥居を左に折れると登山道入口です。右は帰路の林道で、左の地道林道に進みます。50mも歩くと猪、鹿除けネット。

 『ドキッ』でも大丈夫、紐と針金を開け閉めして中に入られます。



 わだちを踏んで行くと20分で「1合目」の標識です。以後1合目ごとにあるので9合目まで標識探しの旅になります。

 林道終点で右に折れると道幅が狭くなり、斜度を一気に上げた登山道です。
(10:05)



 野性ツツジ群生地を過ぎ、更にジグザグ登り3合目の先で尾根に出ます。着いた2段尾根は、平坦で快適な広葉樹林。

 そこに御湯立場跡の説明書きがあり昔、修験者と村人がここで祭りを行ったそうです。
(10:40) 
人声が聞こえました。松本ナンバー車のご夫婦でしょう。
挨拶をして手に提げたスーパー袋を見せていただくとキノコと栗が一杯です。
登山道には、斜面のクリノキからこれでもかとイガが転がっています。

負けてはならじと私たちも秋の大収穫祭を繰り広げました。
山栗は小さいので食べ方を尋ねたところ、フライパンで炒って
焦げ目が付き皮が割れたらいいとのことです。『家でやってみよ』



 必死の栗拾いを終え登山に戻ります。戸倉キャンプ場からの道と合流し、6合目を過ぎれば展望休憩地です。

 ベンチに座り、中央アルプスと駒ヶ根市内の見晴らしをしばらく楽しみました。
(11:20) 


 沢コース分岐の先に「猿の松」(標識:報恩の伝説)「天狗伝説の岩」(標識:岩と化したと伝えられる)のミニ・スポットがあります。

 7合目を過ぎ、東屋に出ると突然、前で何羽もの小鳥が飛び立ちました。そこが小さな水場金明水です。
(11:40)

 登山道脇には、秋の花が多く見られ癒されます。左より@ヤマトリカブト:ご存じ全草、特に根には猛毒  Aサラシナショウマ:試験管ブラシ?  Bニガリタケorクリタケ:???  Cセンブリ:苦い胃腸薬

待望の9合目を過ぎればたちどころに西峰に着き、あっぱれな展望に歓声が出ます。
とりあえず切り開きのいい場所にリュックをデポしました。
(12:00)       ランチ(12:25)〜(13:20)

展望は正面の中央アルプスから乗鞍岳槍が岳まで見ごたえがあります。
全天、曇ってきてボヤっとしてますが、高い雲なので眺望はOK。
ランチは、5分ほど先の東峰へピストンしてからにしましょう。


 東へスケボーコース(ランプ)のように降登すると途中に避難小屋もあり、ダケカンバ、ブナ、リョウブ、モミジと樹木も豊富です。

 『惜しかった紅葉パラダイス』

 東峰は一等三角点に薬師如来像が安置され、両峰とも標高1680.7mの表示。団体さんがランチ中なので撮影後西峰へ。
(12:15)

 こちらの視野には南アルプス連峰が勢ぞろい。一番大きな仙丈ケ岳、右に北岳(さらに写ってませんが間ノ岳〜)と3000m級がずらり。左端鋸岳、その右甲斐駒ケ岳‥トホホの未踏峰ばかり。

 下山のルートは、右トチノキ林、左アカマツ林に挟まれてます。沢コース分岐目印の「猿の松」まで戻り、下降しました。『松茸あるかな』
(13:40)

 降り口に「滝に行かれる方へ 登山道手入れ前は充分にご注意ください」との注意書き。すかさず急勾配となり、ロープがしばらく続きます。

 途中に驚きの「差鴨居(サシカモイ)のミズナラの木」を見上げます。
幹周は6.5mで、幹が二つに分かれ上部で不思議に枝がつながっています。
右の写真が、上を見上げてその箇所を撮りました。
(14:00)

中央、右上から左下の太い枝が、その結合部です。
両幹から伸びた枝が交わり、長い年月を経て
一体化した巻き込み現象と呼ばれるものでしょう。


(参考:高知県南国市桑ノ川地主神社の鳥居杉




 そして15分ほど降れば、幹に「戸倉登山道」標識があり、左少し奥にこの滝案内が見つけられます。120mなら近い。
(14:25)



 沢沿いを歩き、丸太橋をいったん渡ります。さらに左岸沿いを進むと左右に離れた二つの滝に出合いました。

 日向滝(写真)と日陰滝です。両方とも滑状の滝型で細い流れがここで合流しています。
(14:30)


 滝見物を終え先ほどの分岐まで戻り、流れに沿って降りました。
(14:55)

 右岸を3分ほどで左岸に渡ります。すぐに渡渉点、向こう岸に山腹道も見える。でも左岸で行けそうでそのまま進みます。



 やがて嬉しや林道終点にひょこっと出ることができました。
(15:10)

 あとは比較的歩きやすい地道を今日の思い出を反芻しながら、ひよこさんと愛車まで戻ります。
(15:50)

伊那インター手前で振り返る。
『お〜富士山の形だ』
納得。




翌日、秋の気持ちを戴きます。
教えてもらったように炒る。
やっぱり栗の味です。

あ〜松茸も収穫したかったなあ。



※10/1漫才夫婦さんから書き込みで戸倉山のトレッキングMAPを教えていただきました。
駒ヶ根市3コースはもちろん、市野瀬(長谷村)コースが載っています。
www.city.ina.nagano.jp/download.rbz?cmd=50&cd=1708&tg=3



東海岳行
  “眼鏡屋さんの達人”
      
 私は、遠近両用のメガネをかけています。最近、新聞の文字は読めるのですが、広告などにある小さな小さな文字がつらい。丁度、大道草19「確率1%」で紹介した眼鏡屋さんからDMがきました。今使用中のものが、作って3年経過したという案内でそろそろ変え時かと出かけたのです。

 検眼をした後で店長は、まだ変えなくても大丈夫と言っています。話しから感じるのは、新聞や雑誌の文字が読めることができれば、矯正は○だということです。でも私は、極小文字が見にくいとわがままを言いいます。そこで店長はレンズの度数は変えず、新技術のレンズにしましょうと説明しだしました。

 遠近両用のレンズは、眼の上の方が厚みのある近視用です。下の方に向かって厚みを次第に薄くし、下方で遠視用になります。今までこの厚さ調整をレンズの外側で行っていたのですが、内側つまり眼側で行える技術が開発されました。このレンズなら遠視用部位で見るとき、歪のより少ない光が目に届きます。

 この最新技術で作られたレンズは、日本だけで世界のどこにもなく2年前から販売されました。日本は、メガネ愛用者にとって幸せな国です。そのレンズを試してみると確かに度数は同じなのに極小文字まで見えます。『決まり』



 さて遠視、いわゆる老眼はいつから始まるのでしょう。近くを見る視力が、40歳で1.0あったとします。その歳から毎年0.1づつ加齢にしたがい下がっていくのです。始めは新聞を手元から放して見たり工夫しますが、近くを見る視力が0.5に達するとにっちもさっちもいかなります。平均すると45歳が分岐点のようです。

。私は47歳でした。近眼があるので平均より遅くなったようです。今は遠近両用メガネで快適に過ごしていますが、最初、勧められたときは若さを失ったようでいやだなあと思いました。店長の話では、私のように近眼の人が、遠視にもなったとき、メガネによる矯正方法は3種類あるそうです。


@遠近両用レンズでメガネを作る。遠くも近くも1.0の視力が戻り、遠くから近くまでよく見えるようになります。
A1m以内だけをしっかり見られるようにする。そのため遠方は、少し見えにくい。
B遠くと手元だけはっきり見える。昔、近眼レンズに丸い別レンズを下方に組み合わせたのがこれです。


 Bの方法が今でもあることに私は驚きました。そのタイプの欠点を直すため@の遠近両用レンズができたわけで、今さらそのメガネを作ることは奇異に感じられます。『その人の目に合わせるためAやBのメガネを作ることもあります。でもそんなことをする眼鏡屋は、日本に殆どいないでしょう』と店長は言います

 『3つの方法があるのは、その人の視力や生活環境、今までのメガネの慣れなどを考慮するためです。メガネをかけても1.0にならない矯正力の弱い人もいます。それらを総合的に判断するのでメガネは、結局オーダーメードでその人だけのオンリーワンです』



 先述の大道草19を作ったとき、訪問者の方からメールをいただき、この眼鏡屋さんを紹介してあげました。新しく作ったメガネが不具合で困っておられ早速、この眼鏡屋さんに行って検眼されたのです。店長は『これとこちらの方ではどちらがいいですか?』と3つの方法をレンズを変えながら尋ねます。私もそうでした。

 『これがいいです』とその方が言われたそうです。どの方法を選ばれたかは、個人情報なので教えてはもらえません。 こうしてお客が一番いい方法を選択しますが、店長は始めから結果は分かっています。『合わないメガネは、1万円でもおしい。自分に合うメガネは百万円出してもいい価値があると思いますよ』

 メガネは朝から晩までかけて、一生お世話になるのでその気持ちには同調できます。でも百万は出したくない。

2008.9.29(月)21:30