岳行ノート

    ふんようじ
汾陽寺山〜権現山 520m・516m/岐阜県関市

2010年4月8日(木)



春うらら汾陽寺山登山道


 初めて満開の寺尾ケ原千本桜を見た感動は忘れません。車で曲がりくねった道を注意して上ると突然前方が開け、山に挟まれた谷のような地形に出ます。

 道路は川が中央分離帯になり、高速のように上下線が分離。桜の下に路駐の車が延々と並び、あちこちで敷物を広げた御家族、御一族が宴もたけなわ。

 数年後、道路西側の汾陽寺山を冬に登りました。お寺から登り寺尾ケ原千本桜の県道に降り立つコースです。権現山とのW登山はまだ力不足でできません。


 いつか二山を周回しようと、帰りに登山口と登山道を確認しました。その道が今も歩けられるか?ですが、桜の見頃に周回しようと計画をたてます。

 毎日、開花情報をチェックしていたら、とうとう寺尾ケ原千本桜印。行かねばなりません。 
<駐車地>
[-]広域図、[+]詳細図、ドラッグスクロールで移動
 教科書は、風媒社刊「こんなに楽しい岐阜の山旅100コース美濃・下」です。参考書は、沢山のHPにお世話になりました。


駐車地

川を渡る

登山口

▲汾陽寺山

寺尾ケ原千本桜
下山口

鉄塔106
(ランチ)

▲権現山

鉄塔449

分岐

坂の峠を下降

駐車地


 ※赤線はGPS軌跡

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」



江  南:午前7時30分発  7℃
駐車地:午前8時50分着 晴れ
往:3時間40分(権現山まで以下、小休止含)
復:1時間30分 
◆所要時間:5時間10分

 武儀川から県道59号線で2kmほど北上。汾陽寺前バス停から左へ下ります。森を行くと突き当たりが汾陽寺です。

 地元では「ふんにょうじ」と呼ばれ、決して「糞尿時」ではありません。 

 創建が1441年と由緒があります。寺名が中国山西省の汾陽市と関係あるか?尋ねたいけど犬に吠えら諦めました。

 来た道を戻り、森に駐車します。
(9:15) 
(左写真)お寺の方向へ歩き、川沿いの参道に移動。川幅が狭くなった箇所で向こう岸へ渡ります。(木橋までは行きません)

(右写真)川から離れると少し先に大木が2本。その左側から左カーブの谷部を進みます。谷の終わり辺りで右斜面をちょいと登ると上に道がありました。車の音が聞こえる方へ進むと‥

 尾根端の登山口です。参道から10分もあれば着く距離です。さあ、山頂を目指しましょう。
(9:35)

※この下がり尾コースは「可児からの山歩き」さんのレポで知りました。

最初は若木が道を邪魔しますが、登るにつれ歩きやすくなります。
傾斜は次第に上がりました。シダの道を過ぎ、ミツバツツジが現れると春に包まれます。
途中、東に展望が開け2山目の権現山『待ってるぞ』


 岩道の急勾配で息を切らし反射板跡に出ます。正面に三等三角点汾陽寺山520m。展望はなく右道へ降ります。
(10:40)


 10分も行けば関西電力の鉄塔165。ここはいい景色!北を中心に180度以上開け‥あの雪山は白山でしょう。
(10:50)


 そこから鉄塔巡視路を降ります。この分岐で鋭角に右折するとやがて鉄塔166に着き、さらに降れば‥
(11:10)





枝の間から下に淡いピンクが望め
ジグザグを刻むと



花の川が谷を流れています。
車の行き交う音は、ゴーゴーと川の瀬音のようです。
やがて観光客が見ることの無い鳥瞰絵が眼に飛び込み、思わず‥



『ばんざ〜い!』寺尾ケ原千本桜満開満開大満開
人が魚のように花の川を泳いでいます。テンション高め、血圧高め、ガソリン高値。
今年、何回「サクラ」という言葉を口にしたでしょう。サクラは、春の待ち遠しさの最上級です。
(11:35)

昭和26年この地にバス路線が開通し、翌年喜んだ住民が総出でを植えました。
標高200mに2000本の並木は2kmに延び、開花中はライトアップも行われるようです。
汾陽寺山の右回り周回がお勧めで、下山時に素晴らしい花の川と劇的に出合えます。


 私も春爛漫の流れを泳いでみました。盛り上がる宴会を横目に2千本桜と分かれます。ふれあい橋の南から岸へ進み‥
(11:45)


 植林を抜け鉄橋を渡れば尾根道です。そこにショウジョウバカマが道を彩っているので、つい歩みが遅くなります。


 30分ほど登って尾根から山腹道へ。垂直から水平への転換は足が喜びます。沢を越えれば登りとなり‥
(12:20)

 鉄塔106まで出れば、北〜西の大展望です。歩行が3時間を越えたのでランチにします。

 中央左のピークが高賀山1224m、右の一番高いピークは瓢ケ岳1163m。後ろで声がしましたが通り過ぎました。
(12:35)〜(13:05)
食事後、鉄塔107に寄ると浜松からお越しいただいた50名様のメンズとレディース。
遠方から来て上天気・桜満開の一番クジを当てるなんて生涯でめったにないこと。

浜松の方と10分くらいお喋りしたら、西へ歩いて権現山516m。
植林で展望はありません。△点もありません。でも山名からわかるように立派な祠があります。
(13:35)

 少し戻って幹別れの木が三本ある場所で右へ降りました。しばらくトラバースすると尾根道になります。

 鉄塔448を過ぎると分岐に出合い、449を選べば緩やかな登り道です。
(14:00)


 すると汾陽寺山が、520mの低山とは思えないどっしりとした容姿を見せてくれます。
 
やがて鉄塔449に着き、南側が好展望。眼下の町並みは朝、車で走った武芸川町です。
鉄塔を潜り抜け、5分ほど降ると‥
(14:15)
(左写真)赤いテープが付いたY字分岐です。ガイドブックは左の道で西へ進みます。私は北西へ向かう道を探してました。写真中央がどうやら‥『ダメなら戻ればいい』と思いきって入りました。(14:30)

(右写真)
途中、3か所の小分岐は左へ左へと下降します。15分ほどで坂の峠を走る車が見え大成功。写真から5mほど後ろへ下がり、斜面を降ります。マニアックな人はいるもので踏み跡がありました。(14:45)
(左写真)斜面下には幅広の荒れた道。草むしていますが大丈夫。山側の石碑は「文政」の字が読めるので190年前のものです。ならば、ここは昔の峠越えの道跡でしょう。

(右写真)すぐ右へ鋭角に曲れば穏やかな道になります。轍を踏んで行くと右の看板が立つ県道に出ました。結局、坂の峠から旧道入口まで10数分です。(15:00)

 前回、汾陽寺山を周回したとき、山渓「名古屋周辺の山」の掲載道がわからず登山後、探し廻って発見した旧道です。

 その時は坂の峠から車道を25分歩き、駐車地着でした。今回は20分で到着『あら、思ったよりも短縮しない』
(15:05)


東海岳行

   “かおりと

 学生時代の(数少ない)自慢話は‥自作の曲でテレビ出演した「白い雲の夢2」のお話でした。さらなる自慢話で恐縮ですが、もう一度奇跡の旋律がそれから20年近く経て天から降りてきたのです。ある日、サラリーマンの私に転勤の辞令がでました。車通勤から公共交通機関に切り替え、通勤時間は大幅に延びます。

 バス・電車、そして乗り換えもあり乗車時間は1時間半。半分はぎゅう積めですが、半分は座ることができます。さあ、その貴重な自由時間はどうしましょう。その頃、はまっていた推理小説を読むことにしました。しかし揺れる車内で文字を追っていると1ケ月後には視力がガクンと落ちたのです。

 ただでさえ悪い貴重なコンマ以下の視力を失いたくないので、すぐ読書は中止しました。では何を?そうして10年前に止めていた曲作りをしようと思いついたのです。車内で座り眼をつむってメロディをひねり出そうとしますが、そんなに簡単には生まれません。しかし、筋肉が鍛えられるように脳も使えば蘇るようです。



 やがて曲がそこそこできるようになりました。ある夜、バスから窓の外を見ていてふっとメロディが浮かびます。それは話しかけるような旋律で最初は2小節だけ。頭の中で何回も繰り返すと4小節になりました。忘れてはいけないのでずーっと続けます。そして家に着くやいなやギターを弾いて楽譜に落としました。

 それから数日かけて全メロディをひねり出します。因みにビートルズ♪イエスタデイ[A・A・B・A]というメロディ構成で、たった2種類の旋律パートなんですが名曲です。しかしこの頃は、A・A・B・Cと3つの旋律パートで構成することが主流でした。この曲もその方向で作ります。次はメロディに言葉を乗せる作詞です。

 旋律のイメージから恋に夢中な女の子のストーリーに決め、彼が彼女の名前を呼び掛けながら歌う案を考えました。さて現代的な雰囲気の名前は何だろうと会社の新入社員の名簿を見ます。三文字がメロディに合うので‥「かおり」さんの名前を見つけました。帰りの電車で考え、詞を書き留めます。



1番はドライブした後、彼女が別れを惜しむ場面。2番は彼女が帰宅後、彼に電話をするけど中々切れない場面。完成したら独りで演奏し歌うデモテープを作ります。そして音楽雑誌の作詞作曲コーナーに譜面とデモテープを送りました。優秀曲1曲だけ選ばれ、譜面が掲載され賞品があります。

 それは、そのメロディが演奏されるオルゴールです。また優秀曲以外、佳作が何曲か曲名・作者に簡単な感想が添えられます。それまで3曲ほど佳作になっていましたが、TOPは遠いものでした。2ケ月後、その雑誌が発売される日に本屋さんへ行きます。おそるおそるページを繰ると‥
 
(クリックで全譜面)

 『あ〜』驚きは声になりません。顔が瞬間湯沸かしのように熱くなりました。きっと真っ赤になっていたと思います。1,000円で2冊買いました。保存用と見せびらかすためのものです。帰宅してかみ締めるように何度もそのページを眺めます。賞品のオルゴールは、いつ送ってくるかな?それは家宝。ペラペラめくっていると‥

 最後のページ最下段に「お知らせ:本号をもって休刊します」 『え〜〜!』最終号に優秀曲になって良かったですが‥予想できるように賞品のオルゴールは、いまだに音沙汰なしです。さて、この曲のお陰で20数年後にちょっといい出来事を起きます。それは次の「かおりとカタナ」で‥



2010.04.11(日)21:40