岳行ノート

那須ヶ原山800m・三つ頭山774m・唐木岳730m
〜溝干山770m・長石山600m・紅皿山600m
滋賀県甲賀市
 

2014年1月16日(木)


長石尾根より中央が唐木岳、その左が唐木キレット

(山腹の雪道は不老谷林道)


 いつも山行をご一緒する野良人さんが『南鈴鹿は殆ど登っていない』と言われるので今回の周回を企画しました。

 昨年12月甲賀市の那須ヶ原山・三つ頭山・唐木岳を辿った時、不老谷林道を挟んだ向こうの尾根が気になりました。帰って調べると尾根道があります。

 その長石尾根溝干山・長石山・紅皿山の3山が連なる。そこで那須ヶ原山三つ頭山唐木岳も含め、一気に南鈴鹿を6山踏破する周回にしました。


 前半は県境稜線を那須ヶ原山から歩きだし、後半に溝干山から紅皿山へ向かいます。前半は1ヶ月前に歩いているので楽勝ですが、後半は予想以上に‥


 今回はカメラのモードを調で撮ります。教科書は、西内正弘著・中日新聞社刊「地図で歩く鈴鹿の山」「鈴鹿の山 万能ガイド」です。
<駐車地>
[+]詳細図、[-]広域図、ドラッグスクロールで移動

大きい地図


駐車地→登山口→黒部滝→▲那須ヶ原山→▲三つ頭山→▲唐木岳→坂下峠→
溝干山→▲長石山→▲紅皿山→544mピーク→下山口→駐車地

※赤線はGPS軌跡  ●は主な分岐点

■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前6時30分発  晴れ/0℃
駐車地:午前8時05分着  晴れ/0℃
往:3時間20分(溝干山まで、小休止含)
還:2時間20分(ランチタイム除く)
◆所要時間:5時間40分



 新名神高速道路の甲賀土山インターで下り、南東3kmの大原貯水池を目指します。ダム池から林道をさらに南下。

 参道橋を過ぎ、建設会社のプレハブ事務所手前のスペースに駐車しました。当然のように気温0℃、西へ歩きます。
(8:20)



 参道橋を渡り、荒れた林道を南下。この先の詳細は、’14年12月の「那須ヶ原山〜唐木岳」の岳行ノートをご覧ください。

 登山口を過ぎ、黒部滝に出合うと滝水は寒さに耐え氷結していません。
(8:40)




 伐採地の展望を楽しめば、やがて1山目の那須ヶ原山山頂。右の祠の扉を開けて祈念し、裏の三角点をタッチして進みます。
(9:25)

 2山目の三つ頭山山頂。先回とは違ったアングルにしたかったのですが、結局は同じになりました。
(10:10)

 そして3山目の唐木岳。左の唐木キレットは危険ロープがあるので右の巻き道へ行き慎重に降ります。
(10:40)

間もなく展望の岩場に出て、これから歩く長石尾根を視認。
ここから坂下峠へ降り、右上のピーク溝干山へ登り返します。
そして尾根を左へ降り、地肌の採掘跡の上が長石山です。
(10:55)



 坂下峠に着きました。若干空腹ですが、きつい登りが終わる溝干山でランチします。左の笹中にある道標から突入しました。
(11:10)

 10数分登ると「直進注意ガレ場×、巻道→」の案内表示があり従います。

 5分ほど巻くと展望が開けました。
南西に左ピーク唐木岳、中央小さな三つの突起が三つ頭山
 その右に那須ヶ原山と歩いてきた県境尾根が望めます。



 峠から150m高度を上げ、4山目の溝干山山頂。この東側の笹斜面で展望ランチです。
(11:30)〜(12:35)

 エネルギーを充填したら山頂から10m北へ行くと左に「鈴鹿国定公園」のコンクリート杭。そこから長石尾根を降ります。

 登山道は平坦な細尾根にしっかりあり、やがて急降となり標高を50m、100mと下げていきました。

 ミスしやすいY字分岐に出たら右へテープを追い、傾斜を降ると痩せ尾根です。(12:55)



 尾根左は、大きく掘削された谷。5コマ前で長石尾根を視認した時、掘削跡が見えましたが、その裏側の掘削地です。

 掘削地は深い谷状で降りる地点を注意して探します。すると大きな松の先、左下にテープがあり誘導してくれました。
(13:05)



 谷に降り、左折して少し登ります。すぐ峠のような所(写真上部)です。そこは長石尾根が、掘削で切断された個所。

 今、歩いているルートは、切断された尾根を迂回して長石尾根へ戻るためのものです。 



 峠のような所から右折して斜面の踏み跡を登りました。緩く左カーブすると上に数本の松があるピークが見えます。(写真中央上)

 そこから長石尾根へ戻られそうです。行ってみましょう。

するとそこは、ガッツリ削られた急斜面。もろい地質が怖い。
先に登った野良人さんが、プレートを見つけて読んでいます。
これでは、ここが長石山山頂かどうかわかりません。

松の木ピーク右側に張られたロープを辿り、上に出てみました。
そこは予想通り長石尾根
でもこのピークは山頂ではないようで、もう少し尾根を西へ進むと‥

 岩場に私製山名標が付けられた5山目の長石山山頂に出合います。迷路で出口を探すようで中々面白かった。
(13:30)

 このまま尾根を西に進めばいいのですが、私がリュックを松の木ピーク下にデポしてきたのでに戻ります。

※因みに長石は、陶磁器の原料で粘土・珪石と調合されます。



 リュックを回収し、松の木ピークの右谷を登って長石尾根(写真斜面上)に出ました。長石山を右から回り込む形です。

 長石尾根はザレていて雪が薄く積もっています。滑りやすく降りでは足を踏んばらなければいけません。



 小ピークを登ると長石山にあった私製山名標と同じもので「紅皿山600m」 教科書では、山頂はまだ先のはずです。

 一応抑えで写真を撮りました。さらに尾根を進むと‥
(13:55)



 岩尾根になり、岩を越え、幹を頼りに降ったり意外にハードです。岩壁を右へ巻き、北の支尾根出たら迷い込まないよう左折。

 その急斜面を南へ登り、松葉の細尾根に出ます。先に岩コブがあり、そこに‥ 

字の消えかけた山名標 「紅皿山600m」をようやく見つけました。
これで6山目。長石山・紅皿山の登頂でこれほど難儀するとは‥
岩塊の上におっかなびっくり立たてば琵琶湖方面に好展望です。
(14:20)

紅皿は、化粧用の紅を塗りつけ指先で溶いて使う小皿です。



 この尾根降りのルートで山頂を探すのはGPSナビが無かったら何か所かで迷ったでしょう。アキレス腱がパンパンです。

 544mピークは、表示があったので助かりました。ここから左、左、左と分岐を選んで植林の尾根を南下します。
(14:40)




 下に不老谷林道が見えたら尻もちをついて急降下。右折すると白い建設会社のプレハブ事務所です。駐車地はその先‥
(15:00)


 那須ヶ原山山頂にて‥ いつもランチ後、「命の水」ウィスキーを戴きコーヒーに入れて飲みます。これが楽しみです。山行を終えると野良人さんから漢文のようなメールが来ます。これも楽しみです。今回は「毎回鮮度濃厚道程企画感謝」でした。


東海岳行
  “道草セレクション:眠るな!” 

 社会人になりたての頃、スキーが流行していました。休日前、同年代の3人が、仕事を終え私の実家に集まります。そこから毎週、スキー場通いをしていました。4人とも初心者なので傾斜が緩やかでコブの無い船山のスキー場が好きです。夜中まで話すのでいつも睡眠時間が足りない。

 朝5時に起き真っ暗な中、A君のカローラに乗り名古屋の南区を出発しました。走行距離130キロ、チェーン装着時間込みで4時間近くかかります。順番でチーフを決めました。チーフは色々な決定権を持っていますが、帰りの運転をしなくてはなりません。その日は、私がチーフでした。

 9時頃スキー場に着き、リフト一日券を買います。さあ、滑ろう滑ろう。ゲレンデから見下ろすアルプスの雄大な景色は感動もの。昼食は、いつも家から持ってきたお握りを食堂で食べるだけ。余分なお金は使いません。毎週スキーのため仕方ない。3時前になると早めの昼食で腹をすかせ3人が懇願します。



 『チーフ、ぜんざいを食べたいのじゃが?』『許可しよう』喜色満面、お椀を舐めまわすまで食べます。その後、帰り支度をして車に乗りました。当然、私がドライバー。彼らの役目は、私に居眠りをさせない見張り番です。

 最初、車中ではスキーの話で盛り上がります。チェーン外しもするので2時間は何事も無く過ぎました。だが冬の日没は早く、暗闇に視界が単調になる。暖房の効いた車内は心地よい。潜んでいた眠りの天使が、まぶたに舞い降りる。3人の意識は落ちる。

 私は、何度も何度も天使を払いのけがんばる。しかしもうゲ・ン・カ・イ・これ以上は〜。ゆっくり車を広い路肩に寄せ、車が止まる寸前、急ブレーキをかける。シートベルトの無かった頃で、みんな身体を前にぶつけ眼を覚ます。



『なんだ!』
『どうした?』
『事故か?』と全員、私と周囲を交互に見る。私が、みんなに向かってわざと大声で叫ぶ。

『いかん!眠って運転してた!』
『ほんとかあ?』『ああ、どこをどう走っていたか記憶が無い』
『おいおい冗談じゃない』でも運転を変わろうというやつはいない。

 再び走り出す。夕食代など持っていなく、家の夕食時間までに帰らないといけない。しばらくは、みんなで私に気を使い話しかける。しかし睡眠不足、単調な振動、心地よい暖気‥あっさり天使の誘惑に負け彼らは寝息をたてる。私は再び気合を入れる、太ももをつねる。しかしだんだん落ちていく。あ〜だ・め・だ。。。



 車を広い路肩に寄せ、静かに止まる。ジャケットを着て手袋をはめ、そーっと外に出る。ドアは開けたまま‥。残りの3つのドアもそーーーーーっと開ける。車の中は、幸せの楽園から一気に冷酷な環境に変貌する。

 しかし彼らの若い眠りは、頑強で眼は覚めない。私は、車を見ながら眠気覚ましにラジオ体操を始める。やがて冷えは、彼らの体の芯まで侵食する。と、たいしたもので生への執着スイッチが入る。死からの生還。

『寒い!死にそうだ。 ガタガタガタ‥』
『なんでドアが開いとる? ガタガタガタ‥』
『どうした、事故か? ガタガタガタ‥』




 彼らは、おかれた状況を理解するまで数秒かかる。ドアを開けたまま、ラジオ体操をする私を見つける。わかったようだ。そして叫ぶ。
『こら殺す気か!!!』

 私が『諸君、お目覚めですか。ではおうちへ帰りましょう』と言って運転席に座る。
『たのむ、暖房を入れてくれ』『拒否! 俺が眠ったらみんな、とわの眠りにつくんだぞ』チーフの決定には逆らえない。急いで彼らは、ジャケットを着込む。芯まで冷えると中々体温は、回復しないもの。

 可哀想なので暖房スイッチを入れる。『ありがたい』『恩に着る』『生き返る』こうしてなんだかんだと私たちは、無事夕食前には帰宅したものです。今では、カフェイン入りの飲料、ガム、菓子があり眠気防止には困りません。しかし、昔の若者はこんな風に眠気と戦っていたのです。


 おしまい

2014.01.27(月)00:20