岳行ノート
御在所岳10 1212m/三重県菰野町

2016年10月30日(日)


上水晶谷の秋


 御在所岳は、鈴鹿の盟主にふさわしい登山の楽しさを備えた名山です。多くのルートがあり、いつかはすべてを歩いてみたいと思いました。

 三重県側では、北から@裏道、A藤内谷(バリ)、B中道、C本谷、D一ノ谷新道、E表道、F(武平)峠道と多彩です。

 滋賀県側では、北から@上水晶谷、A国見峠道<未>B地獄谷、C北西尾根(バリ)、D郡界尾根、E神社南尾根<未>と2ルートが未踏。


 以上が私の知る限りのルートです。いよいよ全ルート踏破を目指し、未踏ルートを入れた滋賀県側からの周回コースを組んでみます。

 野良人さんをお誘いし、秋晴れの日曜日に武平峠へ走りました。教科書は、西内正弘著・中日新聞社刊「鈴鹿の山 万能ガイド」です。
<駐車場>
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大きい地図



武平峠西駐車場

雨乞岳分岐

コクイ谷出合

上水晶谷出合

国見峠50m西分岐

▲御在所岳奥

望湖台

御嶽神社

武平峠西駐車場


※赤線はGPS軌跡
●は主な分岐点

■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前6時25分   晴れ/9℃
駐車場:午前8時05分   晴れ/14℃
標高差:462m (750m→1212m)
往:4時間30分(山頂まで、小休止含)
還:1時間15分(ランチタイム除く)
所要時間:5時間45分

 日曜日、鈴鹿スカイライン沿いの駐車場はどこも満車。武平トンネルを抜け、滋賀県側の駐車場でギリ。50m西へ降ります。(8:10)

 鈴鹿スカイライン北側に「雨乞岳→」登山口。4人の若者達が入山しました。先頭の男子がすぐ道をミスして女子3人に照れ笑いしています。


 10分で石に赤テープで×印。崩壊地を迂回します。後続の若者達は、崩壊地へ進み慌てて戻る。大丈夫かな‥

 パーティは郡界尾根から雨乞岳へ行きました。やがてクラ谷・沢谷分岐「ここはC番です」の看板。標識「雨乞岳→」に従いクラ谷へ。
(9:00)

 谷道が山腹道に変わり、降っていくと幹に「武平峠|雨乞岳」の私標。そこから北のクラ沢へ降ります。そして流れを追いました。
(9:15)


 鈴鹿らしい谷歩き。右岸か左岸か高巻くか。一人だと心細いけど野良人さんと『どっちがいいか』と話しながら行く。

 20分沢歩きすると足場のない厳しい場所に出ました。沢を離れ、右岸の崖を登ります。この沢谷の滝上に出ました。

 3年前歩いた御在所岳8の6コマ目です。ここからはその時辿ったルートです。写真右へ渡渉して谷へ降りれば‥
(9:40)

コクイ谷に合流。沢沿いの道は、右岸か左岸のどちらかに歩ける所が必ずあります。
ひたすら流れを追い右へ左へと渡渉を繰り返しました。そうこうする内に‥

 右岸が平坦地になり、待望のコクイ谷出合です。左下、杉峠への沢に新品の木橋が架かかります。流されないでね。
(10:35)

 私達は右へ行きます。10分で御在所岳8の11コマ目、北西尾根取付を過ぎる。3年前この尾根を登りました。


 ほどなく上水晶谷出合。ここまでは流れを追いましたが、これからは、右岸へ渡渉し沢沿いの道を遡ります。
(10:55)


 登山道は快適で、時々の紅葉に心が弾む。早かったようで、紅葉くじは、大当たりでなく3等賞くらいです。

 沢に二筋の滝。こんな感じは、夫婦滝と名付けられそうです。ここで空腹を治めるため半ランチしました。
(11:10)〜(11:20)

 地獄谷の私標→を見たら(11:45)、国見峠へ。

 やがて稜線が見え、国見峠手前で大岩にぶち当たりました。左は峠へ向かうので右を回り込むと‥

 笹分けの石ごろ道が斜面を登っています。『これこれ』 初めての道は、ワクワクです。 (12:20)

地形図では県境近くに破線があり、登山道はあると思っていました。
ザレ地に岩が敷き詰められ意外と歩き易い。北の国見岳が秋の装いに変わろうとしています。
西内氏は、3冊の鈴鹿ガイドブックでこのルートをなぜか紹介していません。
国見峠から御在所岳山頂への最短ルートなんですが‥謎です。

 道がどこに出るのか楽しみにしていたらスキー場の北端でした。向こうの山上公園から太鼓の音が聞こえてきます。

 日曜のイベントでしょう。雪のないゲレンデは、鹿糞コロコロ。シートを敷いた行楽客、登山者がくつろぎます。
(12:30)

 急登すると、スキーリフト終点駅に着きました。階段を登れば、目の前が御在所岳1209m一等三角点、観光用山頂。
(12:40)

 人がいなくなる奇跡の瞬間を待つ。どうも今日は無理なようで、西へ行くと‥

地理院が測定した最高点は、望湖台1212m。ここもファミリーが多く、登山者は異邦人です。
 左奥:雨乞岳1238m、中央:杉峠頭1121m、その右が平坦なイブネ1160m。
手前の尾根は、昨年11月辿った御嶽神社からの南西尾根です。
(12:45)


 さあ下山、あの1180mピークに建つ御嶽神社へ向かいます。その途中、東屋でランチしました。
(12:55)〜(13:40)

 神社にある「がん封じ」の祈念のドラを力一杯鳴らし、裏へ廻ります。笹分けの道から、すぐアセビ樹林に入りました。
(13:55)

 踏み跡を辿り、テープを追えば10分で赤2本青1本のテープに出合います。右曲折なら斜面へ降る昨年の郡界尾根ルート。今日は左折して‥
(14:05)


 テープを追えば、すぐに南へ降る尾根に乗ります。写真中央の野良人さんが、尾根芯の踏み跡を辿っています。


 鎌が岳1161mが正面に構える。左にお隣の尾根、峠道を降りる登山者がこちらを見ています。『YAHOO!』

 雑木林に入り、程なく植林です。林床はどこでも歩けますが、南へ一直線。この標識に奥から降り立ちました。
 (14:25)

 ここから朝歩いた道で10分足らずで登山口です。パンパンだった駐車場は、空き空きになっていました。
(14:40)

 
東海岳行
  “安納芋(あんのういも) 

 先月、10月にひよこさんと鹿児島県種子島・屋久島の丸投げツアーに参加しました。飛行機が種子島に着いた日・帰る日は、半日づつ種子島観光です。宇宙センター鉄砲館などを観光バスでめぐりました。同じガイドさんが案内をしてくれたのですが、安納芋のことが良く話に出てきました。

 その名は聞いたことがありますが、詳しいことは知りません。何でも太平洋戦争後、戦地のインドネシアから一人の兵隊さんが、サツマイモをひとつ種子島へ持ち帰りました。故郷の安納地区で栽培を試み、3年後にようやく成功。現在は安納芋と名付けられ、島を代表する特産品となりました。

 収穫期は、9〜11月。車中から畑で農家の皆さんが作業されているのが見えます。ガイドさんが『とても美味しいですよ』と何度も自慢しましたが、見たこと食べたことないのでピンときません。



 種子島に着いた日、土産物屋に入ると安納芋のコーナーがあり、和菓子・洋菓子・焼酎などこれでもかの陳列。せっかくなので道中小腹が空いたとき用にカルビー「おさつほっこり」チップスを850円で購入。鹿児島工場製造で鹿児島県の限定販売です。カルビーの鹿児島工場は知らなかった。

 結論から言えば旅の間、箱を開けませんでした。さて屋久島観光で道路の土砂崩れのためコース変更発生。最終日、種子島に戻ると旅行社が、そのお詫びのしるしに収穫したての生の安納芋を用意しました。一人2個です。

 荷物になるのでひよこさんと『いらんな』と話します。観光バスが市場に寄ったので安納芋の価格を見ると1個50円。バスに戻ると、入口に段ボールに入った芋があります。バスガイドさんが『一人一袋どうぞ』と言うので仕方なく2袋取りました。『座席の網ポケットに置いていけばいいや』



 するとバスガイドさんがマイクで『皆さん、お願いですからバスに残しておかないで下さい。悲しいので』と見透かしたように訴えます。ところが乗客分38袋用意したけど5袋余りました。バスガイドさんが尋ねても誰も名乗り出ません。

 じゃんけん大会が始まり、勝者に手渡されました。私たちは不参加。帰宅した翌日、『4個の芋どうしよう』『そうだ、ふかしイモにしようか』とひよこさん。『今日のランチは芋に決まり』 口にほおばると‥『何これ、メチャメチャうまい』『甘い!』 二人ともその味に大感動。

 今まで食べたサツマイモで一番の味。しっとりした肉質は黄金色、自然の甘さですが、糖度が高くまるで天然のスイーツ。他のサツマイモに比べ、ショ糖が多く含まれ甘みが強く、糖度は20度から40度にもなるそうです。



 じゃんけん大会に参加すればよかったと悔やむ。翌日、「カルビーおさつほっこり」をおやつに食べてみます。安納芋だけを使用し、植物油で揚げた素材の味を活かしたチップスです。ポテチより厚さが3倍くらいあり、優しい噛み心地。味は‥昨日食べたふかしイモと同じ。『これもうまい』

 こんなに美味しいものならお土産にもっと買ってくればよかった。『不覚!』 すぐスーパーに行って探すと限定販売品は、当然陳列されていません。しかし生の安納芋を見つけました。4個400円で倍の価格です。

 袋に鹿児島種子島産「安納芋 蜜芋」との表示があり間違いない。早速ふかして食べてみました。結論、これを食べてまずいと思う人はいないでしょう。しかし甘みはあるけどもらったモノの1/4くらいにしか感じられません。安納芋は、いくつか品種があるのでしょうか。



 もしも魔が差してもう一度種子島に行こうと思うなら安納芋の収穫期の秋にしましょう。そしてバスガイドさんが一番おいしい食べ方と言っていた安納芋の焼き芋を食べてみたい。

2016.11.07(月)00:45