岳行ノート
千種街道イブネ編/滋賀県市東近江市  標高1167m

<前編>

2006.5.4(木)江南5時25分発 
     曇り後晴れ   14℃ 
登り:計4時間00分(小休止含)
降り:計3時間35分(小休止含)

 滋賀県甲津畑から「杉峠」「根の平峠」を経由して三重県菰野町千種までの山道は「千種街道」と呼ばれています。旧跡や鉱山跡が点在する歴史街道であり、素晴らしい風景とともに蛭様街道としても鈴鹿登山者には有名です。

 また鈴鹿の山を登るにつれ奥深い「イブネ」は、私には究極的な憧れの地でもあります。「千種街道」から「イブネ」は、往復6時間半に及ぶロングコース。このような長丁場は、初体験であり大冒険です。

 先週私のチョンボで行けなかったこともあり、前夜、事前準備を入念にしました。ひよこさんに地図を見せながらことの重大性を話し、当日は仏滅なので心して挑むことを確認したのです。

 教科書は、中日新聞社 西内正弘著「鈴鹿の山ハイキング」、山と渓谷社「新・滋賀県の山」です。掲示板で昨年「なかがわさん」にコースを教えていただきました。


イブネ山頂で逢ったハルリンドウ

駐車場周辺図





杉峠

イブネ

杉峠

鉱山跡

かくれ岩




※色線は実測ではありません。
■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」

 


 朝早くコンビニに寄り食料を買いました。高速ICに乗る直前ひよこさんが『あっ!』と大声を出す。『どうしたの?』『お茶とポカリ忘れた‥』私の先週かかった健忘症が、伝染したようです。Uターンしてコンビニに戻ります。このぐらい私たちには日常茶飯事。
 さて車は、甲津畑から林道を走ります。渋川に架かる鳴野橋の手前に着きました。もう5台停まっています。
 天気予報では、気温が20度になる予測です。ヒルは、25度から活発になりますが、予防するに越したことはありません。前夜ひよこさんに頼みました。

@登山靴にヒルファイターをスプレー
A2枚重ねの外側用靴下を塩水漬け
B塩水スプレーを2人分
Cサロンパス・スプレー
D筋肉補助タイツ


 かかって来れるならかかっていらっしゃい体勢です。でも今日は、出ないでください。
 ビビリーヒルの二人(tekuさん風写真で)
 駐車地から来た道を少し戻ります。[林道岩ケ谷線]の標識からスタートです。そこに<普通車以上の通行はできません>と注意書がありました。
(7:45)
 フジキリ谷のこの林道は、確かに道幅が狭く、路肩が崩れて怖い箇所もあります。峠まで標高差は、600mです。

 途中「杉谷善住坊のかくれ岩」の標識を見ましたが、帰り元気だったら寄りましょう。
 林道終点近くに「桜地蔵尊」が祀られています。
(8:35)

◆かってこの横に大きな桜の木がありました。大正期には、鉱山隆盛を願い「あかがね地蔵」と呼ばれたこともあります。
 欄干無しの鉄橋を渡れば林道終点です。軽自動車とバイクが止まっていました。

 やがて沢から高く離れ、崖の山腹道を行きます。
 30分ほどで密度の薄い丸木橋です。高さが無いので大丈夫。
 「蓮如上人御旧跡」と彫られた自然石の碑がありました。手前は古井戸です。ここで休憩します。サロンパスを足にスプレーし、ストレッチもしました。

◆浄土真宗中興の祖、蓮如上人が天台宗比叡山衆徒に追われる。そのとき、この辺りの炭竈にお隠れになり難を逃れた。

ニリンソウの群落があちこちにありますが、花はまだのようです。
日が照ったり隠れたりするので気温が上がらずいい具合。

1、2分歩くと‥














でっか〜い!

大シデ(古木)のコバです。後ろの石碑は、鉱山王の記念碑のようです。
(山しじみさん風写真で
 ひよこさんは「こわこわ」念仏を唱え、美しい渓谷も眼に入りません。この丸木橋は、密度がありしっかりしています。 
 苔石が転がり歩きにくいけど、大きな古木並木は楽しい。
 


 次第に沢が、細く急になると峠は近い。

 分かりにくい箇所には、テープが着いてます。道標もしっかりあり、携帯の感度まで表示してありました。
 ロープが、弧を描いて張り付く崩壊地です。ひよこさんのへっぴり腰は、天性の歩行技術だ。
 と待ち望んでいた峠が‥。もうすぐだ。
 着きました。
「雨乞岳」と「イブネ」を南北に上げ、コクイ谷とフジキリ谷を東西に落としています。これぞ峠、「杉峠」です。

 なんと霊仙の「経塚山」1040mより高く1042mです。登山口より3時間、まさに「杉峠山」だ。

 するとコクイ谷からソロの方が、フジキリ谷からは青年二人が到着です。すぐ南の「雨乞岳」の斜面に進まれました。

 そして静かな峠にサロンパスをスプレーする音が‥。
(10:40)
  この杉は、どのくらい風雪に耐えたのでしょう。迫力の姿形は感動します。江南市には、このような杉はない。
 峠からコクイ谷を覗き込みます。「根の平峠」につながるこちら側の「千種街道」も未踏です。
(クリック)
<後編>に続く