27  “岬のさき

 紅葉パラダイス真っ盛りの時、週末は素晴らしいお天気でした。しかしどうしても山行の時間がとれません。それでいつか記さなければと思っていた定年岬(大道草25/名駅コール)、その岬の先のことを今回の大道草に取り上げました。興味をお持ちの方は、読んでいただければ幸いです。



 いつも掲示板に来られる岳魚さんから8月に定年の話題の書き込みをいただきました。そして最後に『山たまごさんは60歳で定年ですか。定年後の計画は、おありでしょうか』と尋ねられたのです。

 私の答は『「定年岬」に上陸し「やることない平原」を「煙突から煙の建物」に向かわねばなりません。第二の人生は、今までとは別世界です。

 個人の通帳残高には差があるでしょうが、時間は平等です。「時間」これが第二の人生のポイントになりそうです。私の会社も60歳定年で国民年金が受給されるまで65歳まで希望すれば働けます。幸か不幸か選択しなければなりません。さあどうする??? 』
といったものでした。



1.
選択


 現在、団塊の世代が定年を迎える時期にあります。企業は、支払う退職金で倒産しないため事前に考えました。彼らが55歳になると役職定年にし、給与を下げ昇給昇格をストップ。60歳で定年になると低くなった給与で退職金を算定します。会社がつぶれては、元も子もないので仕方ありません。

 そして公的年金が支給される(〜65歳)までは、低い給与で再雇用します。このような仕組みが、サラリーマン諸氏の環境です。団塊の世代が片付けば、いずれ役職定年を延長したり、定年そのものを65歳にして退職金を大幅カットするかもしれません。

 いずれにしろ少子化や不況に向かう状況で今よりも条件が良くなることは期待できません。さて、サラリーマンが、60歳定年を迎えると選択肢は二つです。
       
              @働くことをやめる。
              A引き続き働く。
                               これはクイズではないので正解はありません。


2.支出

 @働くことをやめるには、確固たる生活資金が必要です。そこである所から資料を送ってもらいました。退職後の生活のアドバイスが分かりやすく載っています。

夫婦二人の必要最低生活費:23万円/月年間276万円(食料費・住居費・光熱費・通信費など)
ゆとりのための追加資金: +15万円/月年間180万円(趣味費用・交際費・旅行費用・子供へなど)

 年金23万円/月をいただいた上でゆとりある生活をするには、追加資金を自分で用意し合計年間456万円が必要ということです。60歳男性の平均余命は20年以上ですが、ゆとりをいつまで求めるかで追加資金が変わります。自分の身内を見た限り、70歳以降は次第に欲がなくなるようです。

 しかし私は、何とか75歳までは元気でやりたいと願っています。それは神のみぞ知る。追加資金の合計は、(60〜75)歳×15万円×12ケ月=2,880万円にもなります。欲張らず70歳にすれば1,980万円です。


●退職後は「国民健康保険」の加入が必要です。地域とか年収で異なりますが、月2万〜??
●同様に配偶者の「国民年金」14,420円/月を60歳まで支払わなければなりません。
●「住民税」は、前年の収入で計算されるので退職した年は厳しいものになります。

 それに加え住宅ローンの有無、すねかじりの子供がいるかいないかでも追加資金は、随分と違います。家のリフォームや自動車の買い替え、冠婚葬祭、記念旅行などイベントもあるでしょう。一度「我が家の資金繰り表」を作るとその流れが分かります。


3.収入

 さて前項の平均年金は、アバウトです。それではと、もう少し詳しい他の資料を探し、収入の部を一例として抜粋しました。

退職金:このサラーマン最後の夢は、個人差があると思います。退職金は、超大企業だと3,600万円。厚労省の統計調査では、大卒平均2,475万円とのこと。『ハハハ』笑うしかありません。しかし他で調べるとその数字は2002年の統計でした。5年後の2007年では、2,075万円に大幅減です。

 過去10年間では、5年ごとに400万円づつ減少。これは役職定年制度の効果ですね。この流れですと次の5年後の2012年では、さらに400万円減少するか?なお退職金の所得税は、控除が大きいので勤続年数が20年以上で2,000万円以下なら殆ど払うことはないか、びっくりするような税額ではありません。

失業給付金:サラリーマンが60歳で退職して、無職なら雇用保険(失業保険)から最高で20万円×5ケ月いただけます。100万円ですね。それが終了して始めて、次の年金の受取が始まります。


年金:近頃何かと胡散臭い話題を提供してくれる年金ですが、最重要の収入源です。(金額は例より)

@報酬比例部分:60歳から死ぬまで130万円/いただけますが、個人で金額は異なります。
A厚生年金基金:これのある会社は、例えば5年分割なら60歳から40万円/年ほどです。個人で金額は異なります。
B加給年金:60歳から配偶者が65歳になるまで39万円/年いただけます。
C定額部分:64歳もしくは65歳から79万円/年死ぬまでいただけます。これも個人で金額が異なります。

D配偶者年金:例では、専業主婦で夫と4歳下と仮定されていますが、ごちゃごちゃになりますので詳細は省略して次の表で@〜Dを加えてますのでイメージを働かせて下さい。


            (本人:昭和22年4月2日以降生まれ失業保険受給、80歳で死亡)
夫の年齢 60 61〜63 64 65〜66 67〜68 69〜79 80〜(死亡)
年金合計 215万円 170万円 297万円 257万円 270万円 290万円 遺族年金169万円
 
※58歳になれば社会保険庁が、個人宛に年金額を郵送で知らせてくれます。50歳以上の人なら社会保険庁のHPで詳細を調べられます。


 定年後働かないと、60〜63歳の4年間の収入の少なさのカバー、60〜70歳までのゆとり資金の手当てが必要です。[2.支出]のアバウト計算で不足分は1,980万円でしたが、こちらの資料で計算すると不足分は2,360万円でした。それでは退職金を2,075万円もらったとしても285万円足りません。

 となるとサラリーマンの特典、利子に税金がかからない「財形年金」は必須です。預貯金も含め一生懸命積み立てましょう。71歳以後も少しは楽しみ代としてあと1,000万円くらいはほしい。結局、お葬式代も含め1,500万円の貯蓄を60歳までにしなくてはなりません。

 総務省の最新統計資料を見ると定年を迎える50代の平均貯蓄と退職金の合計は3,700万円だそうです。それならなんとかなるでしょうが、皆さんどうやっていつ貯めたの?でも+15万円/月は、あくまで一例です。趣味が海外旅行とジョギングでは、必要金額は全然違います。

 私自身のものを算出しなければなりません。


4.平原を行く

 収入を確保したとして毎日の時間が残ります。多くの退職された方に聞きました。

『ボランティアをやったらというけどまた組織に入ってあーせ、こ−せ言われるのはどうも‥』
『会社では動いているのでそれなりの運動になっているが、辞めると運動不足になって太った』
『会社の若い子や取引先と会話していたが、今では妻以外話す人がいないのでボケる』


 対人関係に疲れた方は、土いじりをされたり、釣りをしたり静寂を楽しんでられます。逢ってお話しすると私は殆ど趣味話しの聞き手です。毎回同じような内容ですが、実に楽しそうに話しをされます。何かに夢中になることは、年齢に関係ないようです。

 以前セカンドライフ・セミナーで定年前に「一人ですること」「夫婦ですること」「家ですること」「外ですること」「何かに挑戦すること」を準備しましょうと教えてもらいました。そこで私は「定年岬」上陸前に夫婦と共通趣味で山登りを見つけ、新たなものに挑戦ということでHPを立ち上げたわけです。

 他の命題も準備は出来るけど、あとは行動力と持続力とゆとり資金があるかどうか、それが問題となります。


5.働く

 『働かなくても食べていけるだけの金はあるが、何かしら充実感がない。会社勤めの時、休みを待ってジムに行ったり山に行ったりしてた。あの時の幸福感が欲しい。だからアルバイトでもいいので勤めだした』という人がいる。

 『金はそこそこあるので稼ぐ必要はない。でも辞めてもやることがないから働く。君は?』
 『一応やることは準備したけど。でも君が、やがて64歳になったら完全退職だ。やることないというけど、その時なら辞めてもやることあるの?』
 『‥う〜ん、わからないなあ』

 生活資金が足りないため働く人が多いと思っていたけど、こんな理由もあるのですね。私もお金が足らなかったり、精神的に不安になれば即刻、勤めに出ます。

 他にも勤めていた会社に誘われたが、今までの部下から使われることにプライドが耐えられず、他の会社に再就職した知人がいました。3ケ月で辞めました。今までの会社なら仕事もわかるし、知った人ばかりで気兼ねはない。でも他社だと一から仕事を覚え、きっといじめもある。気の弱い私も勤められないでしょう。

 さて現在、私には大好きな仕事があります。この「山たまごの東海岳行」です。山に行ってレポをアップする。この繰り返しですが、内容を少し変化させたり工夫したりすることが楽しく私の性格に合っていたようです。今年は、自分に課したチャレンジで毎週必ず仕事をしてきました。

 あ〜「定年岬」上陸の日をどれだけ待ったでしょう。当日は嬉しくて、部署を去る時『あばよ!』と大声で叫び、仕事仲間に最後の笑いを残しました。家族が全員集まり、お祝いの食事会をしてくれました。

 さあ!気持ち一新して広い平原に足を踏み出そう。 ということですが「山たまごの東海岳行」には、今後も変わらず皆さんのご訪問を心よりお待ちしています。ではでは‥
 

■参考サイト:定年手帳
 

歳を重ねることによって老いがくるのではなく

夢・理想を失ったとき初めて老いが来る

  
「青春」サムエル・ウルマン   
※先輩に教えてもらいました。


2008.10.21(火)19:45 定年岬上陸日