岳行ノート

八甲田山 1584m/青森市
奥入瀬渓流/十和田市


2008年6月12日(木)

睡蓮沼の水鏡が北八甲田を映す
沼:標高980m 左:八甲田大岳1584m、中:小岳1478m、右:高田大岳1552m


 梅雨らしい梅雨はトレッカーの足休み。先週の続きで無料航空券マイレージの旅・青森ツアーの第二弾です。

 八甲田山では、明治35年の雪中行軍で199名という最大の山岳遭難犠牲者を出しました。私もその知識とイメージしかなかったのです。

 しかし、ブナの樹海、青森トドマツの原生林、高層湿原やお花畑も楽しめる百名山。それは行かねばなりません。

 また奥入瀬(オイラセ)渓流は、滝・岩・瀬を新緑が覆う表情豊かな清流です。ここも行かねばなりません。この日も「元は取るぞ欲張りツアー」となりました。



 教科書は、JTBパブリッシング社刊「るるぶ 青森’08〜’09」です。
駐車場周辺図
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のコースで周回

山頂公園駅

湿原展望台

毛無岱展望所

田茂展望所

アオモリトドマツ林

山頂公園駅


2008年6月12日(木)弘前発  7時50分
              晴れ   15℃
周回:1時間15分(小休止含)

 弘前市から見える岩木山1625mは百名山。山頂には残雪が見えます。「山」の漢字は、この形からできたのかと思えるほど。

 ホテル近くの弘前公園は、白亜のお城と桜で超有名スポット。今は桜の葉でお城が隠れるため、赤い橋を入れたお決まりの構図は撮れません。



 八甲田山まで気持のいいドライブ。9時の始発ロープウェイに乗りました。(往復1800円)眼下は、広大なブナの樹海です。

 突然、止まって『下に見えますのが、シラネアオイの群落と紫ヤシオツツジです』の放送が入りました。親切だ。
 



 標高差650mを10分で運んでくれます。山頂公演駅は、標高1320mで始めて見る青森市街と陸奥湾の眺望が嬉しい。
(9:15)
 


 高層湿原を巡るゴードライン遊歩道に入ります。(ゴード:ひょうたん)緯度が高く標高1300m以上の風景が展開します。

 小さな花が、次々と顔を見せて私を撮影に誘う。

@ミヤマスミレ       Aウスバスミレ    Bショウジョウバカマ  Cミツバオウレン:黄色がオシベ

木道を歩いていくとまだ少し残雪があります。そして一面ヒナザグラのお花畑『素晴らしい』 
湿原の殆どは火山灰層の窪地です。枯れた植物が、低温では分解されにくく泥炭となります。
そんな養分が乏しい過酷な条件でも5月中旬〜8月下旬まで可憐な花が咲くのです。

@イワナシ         Aフキノトウ         Bオオカメノキ       Cミネザクラ


 湿原展望台で一休み。この田茂ヤチ湿原の空気感はとても安らげます。この景色を見ながら小休止。
(9:35)

 左端は赤倉岳1541m、右に井戸岳1550m、中ほど大岳1585m(主峰)の北八甲田連峰と南八甲田連峰の総称が八甲田山です。

ぐるっとカーブすると先ほどの田茂ヤチ湿原を反対側から見下ろすことができます。
中央の白い展望台が、ポカリを飲んだ所。

 


 樹木はアオモリトドマツで別名オオシラビソといい、分布の北限がこの地です。モミの仲間なので葉はチクチクしません。

 積雪が多いので小柄です。冬には樹氷の元になります。英語では「スノーモンスター」
 
 




 毛無岱(タイ)の展望所にきました。遠方で上下二段になっている湿原です。中央に小さな沼が見えます。


 東海地方は梅雨模様ですが、この地はまだ入梅していません。爽やかな青空で満点の高原ウォークでした。
(10:30)

 帰りのゴンドラを待つ間、掲示された写真を見たらここの紅葉はただ事ではありません。ひよこさんが『秋も来たい』と、私も来たい。
 八甲田山からは南へ国道103号線を走りました。途中、トップ写真の睡蓮沼
に寄り、水仙と景観を思い出に変え、さらに樹海ドライブを続けます。そして出発
して1時間ほどで奥入瀬渓流の道に入り、源流の十和田湖へ向かいました。

周辺地図   奥入瀬渓流マップ
 


 この渓流は全長14.3kmもあります。石ケ戸休憩所に駐車し、十和田湖まで8.9km歩き、JRバスで戻ってくる予定でした。

 しかしツアー3日目の今日は、さすがに疲労が溜まり3時間ウォークの予定を変します。
(12:20)



 ここは川に沿った遊歩道が上流まで続き、車道も川沿い道。必見ポイントに立ち寄りながらのドライブにしました。

 最初は石ケ戸、1m厚の一枚岩がカツラの大木に寄りかかっています。

道は、ほぼ川の高さと同じです。水と岩の競演、どこも絵になります。
これだけの距離を川と親しみながら歩いてゆけるのは素敵だ。
と、一人前のことをほざいても私たちは車頼り。
 




 ものすごい水量がダイナミックに落ちる。飛金の流れを女性カメラマンはどう表現するのでしょう。
 


 観光バスも同じでポイントごとに止まり、ガイドが説明してツアー客は車中見物。歩けられる人は時間持ち、体力持ちで得できます。

 ここも紅葉になったら、それはそれはすざましいでしょう。
 



 最後に近づくと気力復活、歩くことにしました。遊歩道には6ケ所の橋があります。ひよこさん楽しそうでしょ?やっぱり歩くことは楽しい。

 最大の景観は銚子大滝です。高さ7m、幅20mの立派な体躯。昔、十和田湖に魚がいなかったのは、この魚止めの滝のためと考えられています。
(13:30)

 子の口水門でウォークは終了。夜、水門は閉じています。観光客のいる時間だけ営業する渓流でした。さて湖畔を南へ走りましょう。

 休屋に着き、駐車します。2時40分なのにランチはまだです。ランチ・クルーズには遅すぎる。とりあえず御前ケ浜を東へ歩くと‥

 十和田湖のシンボル、高村光太郎作「乙女の祈り」が本日のツアー最終地点。乙女は意外と骨太でした。さあ、戻ってヒメマス定食を食べなくては‥


6/21(土)の自慢話
「インディ・ジョーンズ/クリスタル王国」公開初日に行きました。ポップコーン&コーラを買いシネマ・ピクニック。
(ポスター前で記念撮影)

 1/4ほどの入り?ハリソン・フォードのありえない超人的な冒険活劇を無邪気に楽しめました。カレンさんは、さすがに年輪が増えたよう。


東海岳行
  “事件”
      

 『久しぶりに飯でも食べようか』と旧友のビル内装工務店の社長から電話がかかってきました。私の小・中学校の同級生でパチンコ玉で一儲けしようとした“道草”の(「能登ケ峰」08.05.18/道草:P玉の行方)彼です。食事をしながら、ある事件の目撃談を話してくれました。



 休日、彼はいつものように朝から行きつけのパチンコ屋でがんばっていました。一進一退を繰り返しお昼近くになったときです。突然お店のドアが開き、お巡りさん4人と私服警官3人が入ってきました。彼が遊んでいた島のある台を取り囲んだのです。

 周りは騒然となりパチンコどころではありません。彼も遊ぶのを止め、野次馬になりました。ひょろっと背が高く、頬の痩せこけた40歳後半の男が、警官に取り囲まれ立っています。大きく目を見開き瞬きもせず緊張した表情です。そこに店長がすっ飛んできて、お巡りさんと何か話します。

 その後、すぐ背の高い男は連行されたのです。彼の近くに店長が来たので何事か尋ねると、店長が小声で話してくれました。『あの人がトイレの洗面台で腹に注射を打っているのをお客さんが見て警察に通報したようです』『シャブ中か!そりゃいかん』パトカーに連れ込まれるところがガラスドア越しに見えます。



 ところが急にお巡りさん達が、男にペコペコ頭を下げだしました。そして男を残して全員パトカーで走り去ったのです。あの男が、立ってこちらを見ています。ひょろっと揺れ、ゆっくりドアに向かって歩いてきました。店に入り店長に『お騒がせしてすみません。ご迷惑をおかけしました』とペコリと頭を下げたのです。

 店長が『いえいえ、よろしかったですか?』と言うと男は『私がいけなかったのです。私は糖尿病でお店のトイレでインシュリンの注射を打っていました。それを覚せい剤と誤解されたようです』横で聞いてた彼が『それは場所柄、疑われても仕方がないな』とつぶやく。

 『実は‥このところ体が思わしくないので明日入院します。ひょっとしたら好きなパチンコが、二度と出来なくなるかもしれません。それで遊べるのも今日が最後かもしれないと思って来たわけです』そう言うと男は、一礼してお店を出て行きました。



 私が話を聞き終わり『切ない話だなあ』と言うと
彼が『ああ、やるせない気持になってしまって』

 『そうか、戦意を無くしたか』
『あの男の気持は、よくわかる。そこで俺は昼飯も食わず、男の分まで打って打って打ちまくってやったよ』

『え〜? どんなことでもパチンコをする理由になるんだ』
『たくましいだろ』


2008.6.22/22:00