2008年11月14(金) |
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西内正弘氏のガイドブックは、周回では往き谷・帰り尾根というコース設定が多いようです。足場の悪い谷道を降るのは、帰路の疲労した足では、リスクが高いからだと思われます。 ところがこの水谷岳は、その逆バージョン‥謎です。しかし氏は「変化に富み、山頂付近の二次林の雰囲気も秀逸」の名コースと評価してられます。 そのため以前より「行きたい山リスト」に入れていました。麓の永源寺の紅葉はまだ色づき始めです。でも山中はもう遅いかもしれませんが、久しぶりの鈴鹿で嬉しい。単独です。 教科書は、中日新聞社刊「地図で歩く鈴鹿の山」「鈴鹿の山万能ガイド」、参考書は「山聲」さんにお世話になりました。 |
駐車場周辺図 [−]:縮小 [+]:拡大 |
P ↓ 若宮八幡神社 ↓ 鉄塔L162 ↓ 鉄塔L161 ↓ 鉄塔R162 ↓ △水谷岳 (ランチ) ↓ △水呑ケ岳 ↓ テープ松 ↓(迷い道) 鉄塔R166 ↓ 鉄塔L166 ↓ 下山口 ↓ P ※色線は実測ではありません。 ※緑線は迷い道 ■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号) |
江南:6時50分発 10℃/快晴、ときどき落ち葉 |
往路:3時間25分(小休止含む) 復路:2時間35分 |
八日市インターで降り、八風街道を走ります。愛知川の紅葉の名所、永源寺はまだ見ごろになっていません。でも青空がご機嫌の登山日和。 |
永源寺ダムを過ぎ、トンネルを2つ抜け300mほどで駐車地です。後ろの日本コバを見て出発します。 (8:45) |
西に歩き、左目集落から一本道の上りです。舗装路の終着に若宮八幡神社。社歴は平安時代初期とあり早速参拝しました。 (8:50) 登山口は、写真右端の白い建物の後ろです。しばらく杉林を歩くと‥ |
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樋の谷の沢に出ます。鉄網の滑り止めが救いの丸木橋で渡渉。以後、下写真の鉄塔表示板にあるNO.L162が道案内です。 (9:10) |
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鈴鹿らしい苔コーティング岩が転がってますが、歩きにくくはありません。 沢の高巻き道も安定していて、随所に現れる鉄塔表示板でL162を確認すれば迷わず進めます。 結局、丸太橋で6回渡渉すると沢道はそろそろ終わりです。 (9:55) |
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左岸で窯跡を過ぎると右の斜面を道が登っています。これをしばらくジグザグすると‥ |
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鉄塔L162に着くと大展望が待っています。左が日本コバ、遠く台地の稜線が御池岳。 写真一番右端の小さな鉄塔が、帰路に最初に出合うR166と思われます。 ぐるっと周ってその稜線を降るわけで、山旅はまだ始まったばかりだ。 (10:30) |
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途中、沢山の松に切れ目が入れられています。松食虫にやられたのか枯れ木です。朽ちて倒れさせるための傷でしょうか? |
746mピークが入道ケ原への分岐です。展望はすぐれないとガイドブックにあり、そちらへは行きません。 (10:40) |
次の鉄塔L161、R162も好展望です。南を向くと奥のピークが綿向山。その稜線の右端が竜王山。 さらに右方向には、甲賀市が広がっています。鉄塔に着くたび休憩をしているので、これはいけません。 (10:45) 鉄塔R162から降ると、ピークを避けての山腹道となります。 |
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再び尾根道に戻り、いい雰囲気の二次林の平坦な道です。やがて尾根は左カーブ。テープが結構付いているので心強い。 方向転換が何か所もあり、注意して落ち葉に隠れた道を探します。急登箇所は、右寄りに踏み跡がありました。 |
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その急斜面からは近江平野、甲賀市方面の展望を見て喘登で息を整えます。 |
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森は紅葉末期で落葉が増えれば、こんどこそ最後の急登と願う。 尾根に石灰岩が増えれば頂上近しのサインと願う。 |
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緩く左カーブを登ると痩せ尾根です。イワカガミの葉が登山道に溢れる。この長い花道は、春には秘密の花園になりそうです。 |
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いい汗をかいて小広い山頂に到着しました。携帯にアンテナが1本立ち『登頂!』とひよこさんにメールを飛ばします。 (12:10)〜(12:45) 手作り山名板は、隠ー(カクレグラ)と地元の呼び名です。水谷さんには悪いけど、この方が時の重みを感じます。 展望がないと思っていましたが、南東に雨乞岳。 |
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さて、帰る時がきました。ガイドブックで絶賛していた山頂下「雰囲気の良い二次林」を進みます。 落ち葉の海で波打ち際を歩く。カサコソ波音を立てれば、一人旅の寂しさが波に流れる。 |
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すぐ展望ピークで東端に行けば、上写真右にイブネ、左に銚子ケ口と懐かしい。 ここで大発見。写真センターの丸い峰、その左鞍部(大峠)を拡大すると‥ ←左写真の右下、緑の中に水色の池‥水舟の池です。二年前11月に訪れました。 (12:55) |
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次のピーク北峰では問題なく左折します。そしてトップ地図の注意点です。ここで道が左右に分かれているように見えます。 落ち着いて見渡すと、3本杭から左方向に赤と白のテープ。ここもノープラモデル、問題なし。 (13:15) |
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周りが杉林に変わり、先に水呑ケ岳が待ち構える。ガイドブックは山腹右の巻き道で歩いています。それらしい踏み跡を辿ると‥ はっきり道がわからない。山を避けるためイバラに刺され、とんだ大汗をかきました。素直に山頂を登降すれば良かった。 (13:45) |
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尾根道に戻り10分ほどでテープ松。テープが異様に太い。しかし真直ぐに踏み跡があり降ると再びイバラに刺されまくり。 (14:10) おかしいと思い、もう一度松まで戻ります。良く見ると左方向の木に古いテープがありました。10分のロスです。 太いテープの意味がわかりました。気力を立て直し、左折して杉林を降ります。 |
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5分で共同アンテナの横を通り、鉄塔表示板を確認し降りれば鉄塔R166です。ダム湖を見てひと安心。写真右下の足元からさらに降れば‥ (14:35) |
鉄塔L166、もう下山したような気持ちになりました。左の細い尾根状の道を進み、鉄塔の足元から杉林に入ります。鉄塔表示板の行先は「道路」です。 (14:50) |
植林地を優しい角度のジグザグ降りれば、突然のワンダーランド。岩で歩きにくいV字谷を通り過ぎると‥ |
平凡な下山口です。この奥に不思議であの素敵な世界があることは想像できません。 (15:25) |
そこを左折して車道を歩くと駐車地は、目と鼻の距離です。(15:30) 歩き終わってガイドブックが、この尾根道を往路に選んだ理由が分かりました。そのルートを帰路して降ると私のように枝尾根に降るミスをしやすい。往路にすれば上へ上へと登ればいいわけです。また帰路、樋の谷のルートを歩いても厳しい道はなく、鉄塔表示板がしっかり道案内してくれます。(教訓:山の先人に従え) |
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東海岳行 |
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“出張帰り” | |
その日は、久しぶりの大阪出張です。仕事が終わり、弟に電話して一緒に夕食をすることになりました。新大阪駅の近くで待ち合わせ『何食べたい?』と聞くので『お!おごってくれるの?』『いいよ、兄ちゃん』『じゃあ、食べたことがないもの‥冬にぴったり、大阪名物フグ鍋にしよう』 弟はこの地で自営業をしていて、しがないサラリーマンの私より稼ぎが良く、遠慮なくたかることにしました。おいしい料理を食べ、ビールも飲みいい気持ちになった私。話し込んで結局、最終の新幹線で帰ることになったのです。弟と別れ、電車に乗り込みます。車内は空き空きで、どっかり座席を独占して座ります。 走りりだすとぽかぽか暖かい車内、心地よさにたちどころ酔いが回り眠気が襲ってきました。明日は朝一で重要な打ち合わせがあるので乗り過ごしたら東京、眠ったら最後それはできません。恐ろしいほどの睡魔と闘い、頭を振ったり目を大きく見開いたり必死でこらえます。やがて京都で電車は停車しました。 前から両手にお土産袋を提げた年配の男性が歩いてきて、私の斜め後ろの席に座りました。その人が荷物を片付かせ落ち着いたころ、思い切って声をかけたのです。 『失礼ですが、どちらまで乗られます?』 『名古屋です』 『私も名古屋です。ひとつお願いがあるのですが‥降りられる時、もし私が眠っていたら起こしていただけないでしょうか』 『ああ、いいですよ。ごゆっくりお休みください』 『すみませんね、ありがとうございます』いい人だ。 ほっと安心して気が軽くなりました。するとあれほどまとわりついた眠気が、不思議に消えたのです。結局、1時間の乗車中、一度も眠ることなく名古屋駅到着のアナウンスを聞くことができました。私は、体勢を整え鞄を持って立ち上がり、後ろの年配の方にお礼を言おうと振り返る‥ あらら、何ということでしょう!彼は窓際にもたれ爆睡してます。このままほっておけば東京へ護送される。車掌さんに起こされてきっと目を白黒させるに違いない。武士の情け、私は近寄り『名古屋に着きましたよ』と彼の肩を揺すってやる。『あ???‥あ〜』ぼやけ顔で私を見る。 はっとその意味が呑み込め、慌てて降りる準備をしだす。『拙者が起こさなかったら、東京まで乗り過ごしていたのはお主じゃ!』と心の中で突っ込む。しかし私も眠っていたら二人とも東京泊りだ。それを考えるとゾッとする。やれやれと私は通路を歩きドアへ向かいました。 |