岳行ノート

蓼科山 2531m/長野県立科町

2009年7月26日(日)


将軍平の蓼科山荘

(左方向が私たちの七合目登山口方面、上方向はあるお方の登山口である大河原峠方面)


 一昨年、女神湖に宿泊し車山高原を満喫。今年は蓼科高原を楽しもうと同じホテルに予約を入れます。私の宿泊ギフトチケットは、休日前と8月は利用不可。

 旅行日が日月なら高速1000円は往きに利用できます。梅雨が終わる7月末を予約しました。ところが今年の梅雨は長っ尻でしぶとい。宿泊日変更は不可。

 仕方がない。お天気の期待ができないまま走りました。目指す蓼科山(タテシナヤマ)は、諏訪富士とも呼ばれ美しい円錐形の山容を誇っています。


 ところが、標高が2,531mもあり酸素濃度に過敏な私は大丈夫でしょうか? 教科書は、しなのき書房刊「信州日帰りで行く山歩き 北信・東信」です。

駐車地周辺図
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七合目登山口前P

馬返し

ざんげ坂

蓼科山荘(将軍平)

山頂ヒュッテ

△蓼科山

天狗ノ露地

七合目登山口前P

 ※赤線はGPS軌跡


■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」



江南:午前5時50分発  27℃
   曇りときには雲が飛ぶ、のち雨
往路:2時間20分 (小休止含)
復路:2時間30分

 諏訪ICを下り152号線で白樺湖へ向かいました。更に国際スキー場からは、無料になった旧蓼科スカイラインを上がります。

 途中の夢の平展望所では、ヤナギランが咲いていました。女神湖には、数匹のアヒルボートが遊んでいる。

 御泉水(ゴセンスイ)自然園を通り過ぎると七合目登山口です。観光バスを含め20台以上駐車しているのに驚きました。

 届けを提出したら鳥居から入山します。期待のできない曇り空なのにみんな大丈夫?
(9:40)

 出発時27℃、標高1900mのここは21℃。『いつ雨を降らそうか』と天が言っているよう。でも登山者は途切れません。

 緩やかな小石の道が10分で斜度を上げジグザグ道に変わります。シラビソコメツガの男性的な原生林が出現。

 小広場で学習院女子高生60名の隊列。観光バスの乗客だ。横を歩くと張りのある声で『コンニチハ』攻撃を受けます。
(10:15)

 60対1では、かないません。休憩しましょう。道は広いのですが、石ころがいつか岩に膨張している。

彼女たちは3泊4日の旅だと言っていました。その休憩中に私たちは先発します。
途中『天狗の露地』の道標があり、見回しても分かりません。下山時に露地を探しましょう。
そして丸太敷きの『ざんげ坂』と呼ばれる眺望の利かない急登をしばらくがんばる。
(10:45)

 我慢すると前が明るくなり将軍平です。蓼科山荘が登山者を歓待しています。周囲はガスって山頂が望めません。

 高校生たちに追いつかれましたが、彼女らは、ここでトイレ(¥200)休憩するでしょう。『行こう、行こう』
(11:05)

すぐに足場を探す岩ゴロ道になります。
溶岩が堆積したもので、おびただしいことこの上ありません。
これが山頂まで続くわけです。日差しがなく気温も低めなので耐えられます。

 下界は雲に隠れ、高度感がなく恐怖感は湧きません。岩にはペンキで矢印が描かれ、下の黄文字に励まされます。





(時間は正確でした)


 蓼科山頂ヒュッテから頂上まであと一息。有料トイレ(¥200)です。幸い空気の薄さを感じません。
(11:50)

 あともう少し。ドーム状の山頂台地には、累々と岩塊が転がり特異な風景が広がります。 

 突然、雲が走り青空から日が射す。八ケ岳、南アルプスは残念賞。この劇的変化は嬉しい。

下写真の小高い箇所に三角点と標柱2,530mがあります。登山者の写り込みが激しく諦めました。
直径100mの山頂部は、この蓼科神社辺りでわずかに窪み、それが噴火口の名残りです。
風が強く風除けの岩影を見つけランチにします。
(12:00)〜(12:45)

                この蓼科山は、ご存知百名山です。
皇太子殿下も高校一年生の34年前の夏
大河原峠
から登られ御泉水自然園に下山されました。

やや!山頂から張りのある歓声が聞こえます。
殿下の後輩たちが記念写真を順番に撮っている。

 方位盤まで行くと西方の白樺湖車山が目の前のはず‥時々のチャンスで撮影しますが、基本は下のように曇天。

 そろそろ下山しましょう。

 山頂ヒュッテから降り始めると『はれほれひれ』‥青空の領域が広がり出しました。これから山頂の人はいいなあ。

 お陰で大河原峠への稜線にシラビソの縞枯れ現象が見えました。私はお初です。


 天気予報は、午後は曇りで夜から雨でした。いい方に外れました。ハクサンシャクナゲも久々の陽光でしょう。

 往きは雲海が足下を隠し高度感が味わえなかったけど、こりゃあ充分高い。
右の山中には、向かう蓼科山荘が標高で150mほど下です。


 ひよこさんに『小さい歩幅で、小さい高さを探して降りる』と念を押します。‥ん?こりゃあ聞き分けがありません。

 蓼科山荘に着き、ひと息入れているとにわかに曇ってきました。小さな雨粒まで‥カッパを出しいつでも着られる状態にします。
(13:45)

 10分ほど降ると雨が来てカッパの上だけ羽織りました。




 往きに見た「天狗の露地」の道標で西方20m先に行くと岩石広場がありました。白樺湖・美ヶ原方面が見える‥はず。
(14:20)

 さらに10分くらい降り、小広場でとうとう本降りになりました。カッパズボンも履きます。今頂上にいたら大変だ。
(14:40)

 駐車地に着くころには小降りになりました。ビチョビチョの服を着替え、さっぱりしてホテルへ走ります。
(15:15)

 旧蓼科スカイラインから女神湖を見ると今は誰もアヒル・ボートに乗っていません。さて今夜はビールを飲むぞ。

 ひよこさんが『この山は上天気ならもう一度来てもいい。私がそう思うのはめったにないこと』上から目線も珍しい。
 翌日は朝から雨。そこで農業実践大学校の直売所に行きました。有名らしく全国ナンバーが停車しています。
 朝採れの野菜や卵などいいお土産ができました。

 実際、トウモロコシを塩茹でたしら粒がプリプリ。新鮮っていいな


東海岳行

    “次は何する?”

 私のともだち(道草:09.02.21)が、私の家に遊びに来た。車好きなのでまず最近どんな車を買ったのか聞くことにしている。トミカのうんちくをひとしきり伺う。そうこうするうち『2階へ行こうか』と仰るので一緒に階段を上がる。空き部屋の和室に入ると押入れを指差し『入りたい』とのたまう。

 収納された布団があるのでその上へ押し上げてやる。私にも来いと言うので上がった。直ぐふすまを閉めてと指示が出て中は暗くなる。私が『ここは海賊の秘密基地だ』と思いつきを言うと彼はのってきた。『じゃあ、探検に行こう』と新たな指示が出る。

 一旦、基地から出て隣の物置部屋に向かう。そこを一巡した後、次女の部屋を覗きたいという。無人の部屋のドアを少し開けてやる。『ラーメンだ!』とわけのわからないことを叫ぶ。中を覗くとカップヌードルが床に転がっていた。もう一度和室に戻り、私が『海賊は舟に乗り、海へ出るんだ』といい座イス舟に彼を座らせる。



 そしてしっかり座イスを両手で捕むように言う。『大波が来たぞ』と叫び前後に振る。『横波だ!危ない』と左右に揺らす。キャアキャアと大騒ぎになる。そのうち『進んで!』と恐れていた厳しい注文。座イスを押したり引っ張ったりして部屋を周回する。きつい航海が続き私は汗まみれになった。30分はもう過ぎただろう。

 『1階で冷たいお茶を飲もう』と誘うとしぶしぶ階段を付いてくる。ともだちを連れて来た長女が『何して遊んでたの?』と汗だくでお茶を飲む息子に聞く。彼は私の顔を見ながら『ママには言わない。秘密だよね』と生意気な返事。

 私に小さな声で『次は何する?』『よし、船長の車を作ろう!』とささやき声で返すと丸い目が輝く。隣の部屋に食卓の椅子を二脚運び並べた。お風呂マットなどで屋根やドアを作る。彼をイスに座らせハンドル代わりにプラスティックの輪を持たせた。



 最初は喜んでいたが動かない車はすぐ飽きる。『次は何する?』『海賊の宝物さがしをしよう。宝はこれだ!』と居間でマウスパッドを見せる。じゃんけんして私が負けたので彼を隣のダイニングに行かせ後ろを向かせる。絨毯の下に入れ見つけやすいように半分覗いた状態で宝を隠す。

 『もういいかい?』『もういいよ』居間に入って来て、すぐ見つけ『あった!』と笑顔。『すぐ見つけるなあ』ヨイショする。今度は彼が隠す番だ。『もういいかい?』『もういいよ』どうやらダイニングに隠したようだ。

 なかなか見つからないので娘の目を見ると食器棚を示してくれた。引き出しを次々開ければ容赦ない丸隠し。『ここはわからなかった。よし次は難しいぞ』今度は彼の目線より上のカーテンの止め紐に挟む。『もういいかい?』『もういいよ』子供は目線より下は近いけど上は遠いようだ。



 なかなか見つけられないのでヒントを出してやる。『お、近づきました。危ない、すぐそこだ』それでも分からない。『大ヒントです。もう少し上を見て探して下さい』『あった!』発見して大喜びのジャンプ。

 攻守が変わり彼はまたどこかの引き出しの奥深くに隠す。この遊びは気に入ったようで30分近く続いた。そして私はちょっと疲れたので『休憩してお菓子食べようか?』と誘う。けど『まだいい』と聞く耳を持たない。

 そして恐ろしい呪文が耳に届く。『次は何する?』私は『ひえ〜』とずっこける。ともだちは、寝ころがった私の上にドカンと思いっきりのしかかってきた。『むぎゅっ』と大げさに悲鳴をあげてうある。ケラケラ笑う4歳は、疲れ知らずだ。



2009.7.28/22:00