岳行ノート

美濃・大洞山 1035m/岐阜県郡上市

2009年11月8日(日)


浮き集う とりどりの色 秋惜しむ
(南尾根にて)



 大洞山(オオボラヤマ)は、7年前に購入した風媒社刊「こんなに楽しい岐阜の山旅100コース」でピストンコースを知りました。当時「大月の森キャンプ場」は開設されていません。

 その後キャンプ場ができ登山道が整備されたのか、たびたびHPで紹介されます。私は山名から受けるイメージやキャンパーの山と勝手に思い登頂意欲がわきませんでした。

 最近、遠出が続いたので近場へ行こうと思い未踏リストを見てこの山に眼が止まったのです。紅葉も見ごたえのある山なので時期的にいいかもしれません。



 教科書は、中日新聞社刊「東海・北陸の200秀山(上)」です。

駐車場周辺図
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駐車地P

林道終点(南)

尾根取付

916mピーク

965mピーク

岩頭大木

大洞山

谷出合

林道終点(北)

園内路分岐

駐車地P


 ※赤線はGPS軌跡

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


江南:午前6時35分発  12℃
    曇り後、晴れ 名残惜しい紅葉
往路:2時間55分(以下、小休止含む)
復路:1時間20分
◆所要時間:4時間15分

 郡上八幡インターから256号線の九十九折りを上り街を離れます。
標高400mから市街地を振返ると、冷気湖に沈んでいるようです。『朝霧は晴れ』
 さらに和良町の鹿倉川を北上し「大月の森キャンプ場」を目指します。





 場内施設の施錠されたトイレに肩を落としました。園内路分岐は左へ車を走り、こもれびの小径入口前に駐車します。
((8:50)

 2時間で到着したのでいつもよりアプローチは楽でした。




 気温は8℃風なしですが、曇りなのが残念です。5分も歩けば林道終点となり、殆ど流れのない沢に入ります。
(8:55)





 ゴロ岩の沢で足場を探して進みました。雲間から時々陽光が差し、険しい岩壁が一瞬華やかに秋色です。 

沢は20分ほどで二股に分かれました。
左を選択して行くと先で沢幅が細くなっています。
このケルンを目印に沢から離れました。
(9:30)





 その道が急登。久しぶりの崖道でひよこさんはガチガチです。落ち葉で隠れた不安色の丸太階段を慎重に登ると‥




 細い枝尾根に出て『ほっ』やがて樹間から965mピークと山頂が見え、ベンチのある916mピークに着きます。
(10:10)



 15分の休みを取り出発。低いクマザサを分けた道が右カーブし、鞍部に来ると東斜面は紅葉の別世界です。(TOP写真)

 雲が解け青空が広がってきました。南尾根を登る途中‥
稜線に沿った小広場の展望地。西から南に開けています。
その山腹には色を競う木々が、ただ事ではない美しさ。

眼を回すと郡上八幡市街、南西近くに山頂アンテナがある稚児山818m。
その向こうの高賀山1224mは、とても薄いシルエットです。






  起伏の多い尾根道に気力を沸かせるプレート。「大洞山もう少し」15分歩くと「ホントにもう少し」『ん〜基準が分からん』

 感覚は個人差があります。山頂までは、まだ30分はあるでしょう。
(11:10)




 ガイドブックにも書かれた「大岩に根を張る大木」を通り過ぎれば、本当に本当にもう少しです。
(11:30)


 そして大洞山1035mに到着しました。手前に一等三角点、埋標は115年前です。ここは長細い広場になっています。

  私たちは、東の眺望を独占して一等幸福点でプレミアム・ランチです。
(11:45)〜(12:45)



 中央右奥に薄っすらと御岳山3067m‥アレレ、雪が消えています。今冬は暖冬かな?

 中央奥は御前山1646m、写真左奥は梁谷山1214m、その手前で植林が目立つピークが東洞山1052mです。

食後、細長い山頂を西端まで100mほど散歩しました。
展望はありませんが、午後から日差しが出てきたので紅葉のプロムナードです。



 今日は日曜日ですが、誰とも出会いません。こんなインディアン・サマーは、心のボタンが緩みます。

 1000mの静かな秋に別れ、北に降るみちから下山しましょう。





 10分ほどで北尾根を右折しますが道なりです。斜面舞台の紅葉と笹のリズミカルな演出に嬉しくなります。



 20分で華やかなステージは終わりました。道は尾根を外れ谷へ斜行します。

 枯沢に降りると私たちはゴロ岩をリズミカルに避けなければいけません。
(13:15)




 帰路の道は速い。下山開始45分で林道終点です。でも駐車地迄30分は歩かなければいけません。
(13:30)

 想像よりも自然が豊かでルートも迷うこともありませんでした。登らず嫌いを反省します。いい思い出ができました。

 20分で荒れた地道が舗装道に変わり、園内路分岐を右折します。

 気温はいい感じの19℃。駐車地ではエクストレイルが気持ち良さそうに居眠りしています。
(14:05)

 帰りに和良町の戸隠神社に寄りました。これが天然記念物「重ね岩」です。上岩は片手で動かすことができます。

 でもそれは禁止事項。また念興寺には「鬼の首」が安置され、土日だけその頭蓋骨を拝観できます。

 パンフでは16時迄ですが、15時10分に着くと15時で終了していました。『アレレ、うらめしや〜』使い方が違うか‥


東海岳行

    “ガイドブック”

 私はマニュアル人間なので何かに凝るとガイドブックを揃えまくります。例えば麻雀が好きな頃、20冊近く取り揃えました。当たり外れがありますが、10冊に1冊くらいは素晴らしい本に出会います。『確率、低い!』その中で最高だと思ったある本は、麻雀を越え人生をも教えられました。



 麻雀は、4人で基本8回ゲームをして競います。知らない方はドンジャラを想像してください。1人がゲームで上がる確率は、8回÷4人=2回です。すると残り6回は、他の3人が上がることになります。当時私は毎回上がる気持ちでゲームしていたのです。いいことを自分が独り占めできることはありません。

 その本は、上がる時はどんな時で人が上がる時はどう対処するかを述べていました。人生も同じでイケイケばかりでなく、引かなければいけない時もあります。『目からウロコ!』 出版社では発刊前、アルバイトに麻雀を1000回させてデータを取ったのです。その結果からある法則を導きました。

 最初の配牌で4シャンテン(4枚の有効牌でテンパイ)以上なら上がリに向かい、5シャンテン以下なら殆ど上がれないとの結論でした。またすご技、配牌で何シャンテンか即座に分かる方法も明記していたのです。私はこれらの法則・方法は誰にも教えませんでした。お陰で勝率は7割を降りません。



 さて麻雀は20年以上していませんが、山を始めたとき最初のガイドブックは「岐阜の山歩きベスト55コース」 この本の特徴は、文章の表現力が面白かったのですが、何より読者がステップアップできるように山を並べたことです。

 半日コースのスーパー低山(金崋山など)で入門し、一日コースの中級編(養老山など)を経て本格登山(恵那山など)に進むという構成。入門者の私にはラッキーな出会いでした。いきなり養老山では山はきついと思ったでしょう。

 この10月下旬、中日新聞に新しいガイドブックの案内が出ていました。上下巻2冊で本屋に行くと山の本には珍しく各々10冊以上積んであります。1冊1800円なので内容確認のため、長時間立ち読みして購入しました。



 「東海・北陸の200秀山」のタイトル。地味な表紙で上下巻並べても違いが殆どありません。因みに下のように並べると鈴鹿山脈が浮き出ます。山の選定コンセプトは、日帰りメインで高速道路からのアクセスがよく登山道が整備され展望が良いことです。

 表紙裏に全体地図があり、山名にページが添えられているのは親切。目次が上下巻とも併記されているのがユニークですが、目次だけを見ているとこの本は『上下どっちだったっけ?』と迷わされます。執筆者は山岳会の方たち82名。

 初めての執筆者もいて内容に「レベルやバラツキがあることは否めない」とはじめてのページに書かれてますが、逆にそれが魅力でもあります。紹介された山は上巻97座(36座)、下巻107座(65座)で合計204座(101座)。(  )内は、その中で私が登った山です。



 豊橋市の神石山325mから御嶽山3067mと初級から本格派まで並んでいます。分類方法はエリア別になっていて東美濃とか伊勢中部とのくくりです。

 ガイドブックの写真は重要、一枚で『この山に登りたい!』と思わせる力を持ちます。しかし掲載写真は、センスのばらつきがありました。

 なるほどと感心したり、何でこれと突っ込めば楽しめます。最近には珍しく写真の粒子が荒く、ちょっと不自然な色調です。コストの関係かもしれません。
 


 さすがに最新刊なので鈴鹿の集中豪雨被害による通行制限も記載がありました。嬉しかったのは先週登った猪臥山周回コース、今回の美濃・大洞山周回コースが載っていたことです。そして私の持つガイドブックには掲載がなく、事前準備に時間をかけて登った山上岳周回コースがあったのには小躍りしました。

 これで山上岳周回がメジャーになるでしょう。また気になる山は伊那谷の小川路峠、文章も素敵で歴史の香りが切なく綴られています。信州高原のからたきの峰も同様に初見です。そして読んで一番行きたくなったのは、北アルプスの天狗岩1964mです。

 執筆者が最後に「珠玉の山はそっとしておきたい気もするし、紹介するにあたって複雑な心境」と述べているからです。私も猪臥山源流の森では同じ気持ちになったから良く分かります。さあこれでトイレに携えていく本には、しばらく困りません。204座−101座=103座は優先して読みましょう。


 好き勝手なことを述べ筆者のみなさんごめんなさい。

2009.11.10/00:10