岳行ノート

修験業山〜栗の木岳 1094m・1066m
三重県津市

2013年5月13日(月)


稜線の南斜面にヤマツツジの群生


 修験業山は、津市美杉村の奥深い地にあり山岳信仰の山。登山口は、5世紀初に創建されたと伝わる川上山若宮八幡宮です。

 山名どおり、山域は中世、修験道の霊場でした。また山頂の北西側は、江戸時代の藩有林から継がれた三重大学演習林です。

 修験道の険しいルートが、稜線にある高宮まで続きます。シャクナゲが多く、花の時期に野良人さんとお仲間を誘って登ることにしました。


 伊勢自動車道の久居ICで下り、津市美杉村川上へ走ります。県道695号線を南下して若宮八幡神社へ。

 教科書は、中日新聞社刊「東海・北陸の200秀山/下」です。
<駐車場>
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大きい地図



若宮駐車場

みそぎ滝

栗の木分岐

修験業山

栗の木岳

若宮駐車場

 ※赤線はGPS軌跡
 
●は主な分岐点

■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前6時10分発  晴れ/17℃
駐車地:午前8時45分着  晴れ/20℃
往:2時間30分(修験業山まで、小休止含)
復:2時間55分(ランチタイム除)
◆所要時間:5時間25分


 若宮八幡神社の大駐車場に置車。仰げば高宮(ふたコブの右)1061mが望めます。先の鳥居へ向かいます。
(9:00)


 社務所に着けば、左側の石柱に「高宮修験業山登山口」と彫字。登山前に寄り道、橋を渡り‥

 石段を登って社に詣でました。並んだ灯篭の横を降り、木橋渡ると‥

 みそぎ滝に突き当りました。社務所まで戻ります。(9:15)

 左岸を歩き、木橋で右岸へ移ります。堰堤を超えると「この先通行不能 左の細道を利用下さい 社務所」

 黄色の注意書に従い迂回路を行きます。下に崩壊地や魚止滝を見て登山道へ戻り、丸太橋で左岸へ。
高巻く道となり、10数分歩くと谷へ降ります。沢の流れは少なく、簡単に右岸へ渡渉。
谷中の岩道↓に変わり、堰堤を右から回り込みます。
(10:00)

ポイントにテープがあり、迷うことはありません。
修験業谷に別れ、左斜面の植林をジグザグと急登します。
 20分登ると痩せた小尾根に出ました。ここから標高差250mの業を体験です。尾根は右へ曲折。

 補助ロープの喘登を過ぎシャクナゲが道に現れました。←ツボミで花はありません。

 初夏のような暑さに汗を噴出させ、稜線の分岐にたどり着きました。ブナの大樹が迎えてくれます。

 右折が、高宮経由の修験業山への道です。
(11:05)


日当たりのよい場所にコバイケイソウが群生し緑を敷き詰めています。
 その間にニリンソウの葉とそっくりなヤマトリカブトが混じる。
初春ならカタクリも見られるそうです。


 分岐から10分で高宮1061mピーク。北に遠望が利きます。大洞山985m、尼ヶ岳958mが確認できました。
(11:15) 


 辿る稜線は素晴しい自然林でブナリョウブツツジナラ等。紅葉期は、きっとパラダイスでしょう。

 三等三角点山頂到着。眺望は利きません。ここでランチ。分岐まで戻り、痩せ尾根のこぶを3つ越すと‥
(11:30)〜(12:20)


 山頂手前にシャクナゲトンネル。「花のトンネルを潜ろう」という誘い文句でしたが、シャクナゲはゼロ。

 『お〜い、あったあった』栗の木岳山頂1066mにしおれたシャクナゲの花。けなげな一塊です。

 こちらは修験業山より28m低く、石標は三角点ではありません。
(13:20)

 下山し始めると『咲いてる、咲いてる』。余るほどではないけどシャクナゲは尾根の宝石です。殆どピンク色ですが、右下は白色です。

 早すぎたのか、遅すぎたのか? シャクナゲ山行なのに花が無いぞと非難の声が上がるところでした。痩せ尾根を急降すると‥

 突端に出て東の展望が、180度広がります。右下は、松阪市の飯高町集落。
左に堂々の局ヶ岳(ツボネガタケ)1029m。今年3月に登り、黄金色のヒメシャラに出合いました。
(13:30)

 展望を楽しんだら、再び急降の登山道に飛び込みます。

 険しいルートが、途切れる若宮峠の小広場。左折して‥ (13:50)

緩やかな山腹道で高度を下げます。10分降るとテープは、私たちを右カーブさせました。
小さな尾根に乗ると若宮駐車場標識があり、左の谷へ誘導されます。


 V字谷を降ると次第にガレて歩きにくい。流れが現れ、いくつも沢が合流。渡渉は、靴底が濡れる程度です。


 倒木で渡渉できない個所は、迂回路が確保されています。こちらも新緑を充分味わうことができました。
(15:00)


 大詰めは手入れされた植林下の歩行。堰堤を越えて渡渉するとひょっこり若宮駐車場に飛び出ました。
(15:15)


※右より博士、野良人さん、画伯、私。花が少なくて済みません。往きに私が命の水を1本落としてしまい野良人さんより命を分けていただき大感謝です。


東海岳行
   “祝・富士山世界文化遺産へ2” 

 先回の大道草53“祝・富士山世界文化遺産へ”で文化遺産に登録予定の構成資産を10ケ所巡りました。その夜は奥河口湖畔の宿に一泊。翌朝、晴れ14℃の快適な天候で富士スバルラインへ向かいます。富士吉田IC北から道路に入り、通行料:普通車2000円、富士山五合目まで25kmを35分。

 アカマツ、ツガ、シラビソなどの森林帯(下左)を1034mから2304mまで1270m標高差を車で登ります。五合目終点大沢駐車場には、オシャレな欧州風施設(下右)。駐車場は500台収容で、夏は早くから満車になるそうです。気温を見ると出発時の14℃から下がり7℃、標高差を体感できます。


 小御岳神社(コミタケ)にお参りして交通安全のお札を購入。ここから1.5km東の吉田口登山道へ行くことができますが、下左写真のように雪道(中央下)で入れません。7月までは通行止でしょう。車で来た道を2q戻るとスバルラインを挟んで山側に御庭(オニワ)、麓側に奥庭(オクニワ)があります。

 奥庭へ寄りました。標高2200mで遊歩道(下右)があり周遊できます。溶岩や枯れ木、風雪に耐えた樹齢100年以上のカラマツ、コメツガ、シラビソ等が、矮小化して自然の庭園をつくっています。以前、テレビ番組でここの素晴しい紅葉期を見たので来てみました。御庭は次回に歩きましょう。


 下って富士山スバルライン料金所を出るとすぐ胎内洞窟入口の交差点があり、左折して西進します。ほんの200mで右に河口湖フィールドセンター。ここに構成資産のひとつ船津胎内樹型があるのですが、今回初めて知り『胎内、なんだろ?』 利用料金200円を払うとパンフがもらえました。

 胎内神社の奥(下左)が入口。大昔、富士山の溶岩が流れ森の巨木を取り込みました。胎内樹型は、樹木が焼失した跡の洞穴です。富士講の信者が17世紀に発見。奥に神様を祀り、江戸時代から富士登山前に「胎内巡り」をして身を清めました。周辺には100か所以上の樹型群があるそうです。

   

 船津胎内樹型は、数本の大木が複雑に交差して総延長68m、はってゆく個所もあります。側壁がろっ骨状(上右)で映画エイリアンを思わせる。「母の胎内」だけでなく「父の胎内」もあり、出口は『あ、ここに出るのか』と思うようなところです。洞窟の周囲には火山弾の跡もあります。

 最後の訪問地は、富士山西北の裾野にある富士本栖湖リゾートです。本栖湖手前から国道が渋滞。のろのろ進んでメッチャ広い駐車場に着き500円払います。未舗装なので歩く人や車ので土ほこりが舞う。入場料は500円、会場マップを手に林を歩くと突然、眼にピンク色が飛び込んできます。

   

 富士芝桜まつり、80万株の花が広大な敷地に咲き誇り。色のコントラストが美しい。花の中を歩いていると楽しくなります。3.8mの高さがある見晴展望台は、係員が5分ごとにお客を入れ替え、15分は待たないといけません。あきらめて山梨名物ほうとうを食べることにしました。

 撮影スポット(右上)は大変な人でアジアからのお客さんも一生懸命撮りあっています。私もカシャ(下)。このアングルは、新聞のツアー広告で見たような気がします。一泊二日ツアーは、好天気に恵まれ何よりでした。世界文化遺産登録候補の25か所の構成資産は、9か所残っています。

 いつか全部回りたいのですが、山頂だけは私には遥かに遠い‥富士山への興味は尽きません。

13.05.20(月)00:00