なわがいけ なんと |
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縄ヶ池 800m/富山県南砺市 |
2017年5月14日(日) 純白のミズバショウに赤いショウジョウバカマが何か囁いています |
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先回の岳行ノート「高落場山」(タカオチバヤマ)1122m登山は、縄ヶ池のミズバショウ見学とセットでした。 池は高清水山(タカショウズヤマ)1145mの1km東に位置します。大昔、山崩れで山腹の川が堰き止められ縄ヶ池が出来ました。 池周辺に原生林が生い茂り、竜が住む伝説と相まって神秘的な雰囲気です。池南に湿原が広がり、5月はミズバショウに埋め尽くされます。 今年も水がぬるむGWの5/3、池への林道が除雪され開通しました。するとミズバショウ目当てに大勢の行楽客や登山者が訪れます。 「南砺市HP>お知らせ」で林道・開花・クマ情報を確認しました。 |
<駐車場> ドラッグスクロールで移動 大きい地図 |
国道304号線から林道高清水線に入り、8kmを15分走ると縄ヶ池大駐車場です。 |
D木道合流点→E川沿い遊歩道→F広場(簡易WC)→G高落場山への林道→▲高落場山へ |
江 南:午前07時45分 曇り/11℃ 駐車地:午前09時45分 曇り/12℃ |
湿原周回時間:25分 | ||||||||||||||||||
駐車場奥に縄ヶ池へのアプローチがあります。高落場山の登山前に湿原を散策。左は御製碑(ギョセイヒ)です。 御製:天皇の作る詩や和歌のこと。昭和44年5月26日天皇・皇后両陛下が、池を視察。見頃は終わっていました。 (9:40) |
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裏方が、視察日に合わせドライアイスで冷やしたという逸話があります。50m歩くと「熊出没」の注意看板。@ クマスズを付けたストックを握り、トラバースの道に入りました。 |
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樹間から池南の湖畔が望めます。左端に見える深緑が縄ヶ池です。 |
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トラバースの道は、池を周回します。途中で進入止ロープが張られ、周回は諦めました。手前を右折して降りると‥ |
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早速湿原A、出迎えたのは、ミズバショウの花後の大きな葉。『終わったの?』 葉は、1日10cmも伸びます。 バショウの葉↓に似て名がミズバショウ。北方系で標高1000m以下で咲くのは珍しい。 |
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湿原は木道が設置され、木道好きな私は、嬉しくなります。湿原中心部の合流点Dに大群生があり、安心して鑑賞。 しかし、同じ湿原内で花の咲く時期が違うことがあるのですね。残雪の融け方が影響するのでしょうか。 |
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群生下には、縄ヶ池に向かい豊富な清流が流れています。花の周りにある細い枝のようなものは葦(アシ)です。 ミズバショウにとっては大切なもの。カラフルではありませんが、白と緑の組合わせはとても清楚です。 |
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しかし、これだけ湿原を独占していると圧倒的です。まず池に行こうと木道合流点を左折。 ミズバショウは2万株、いや5万株という説もあります。向こうに女子二人の立つ所が‥ |
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湖畔の広地でここにも御製碑。左のガイドさんにお話を伺いました。『5/4と昨日、ここに熊が出た』 昨日、10mの至近距離で遭遇。周囲にあるクマのかじった痕を教えてもらいました。ガイドさんの左後ろ‥ |
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切り口が瑞々しく、まだかじったばかり。隣の同じ茎もかじられていました。ミズバショウ? なら食べ放題。いずれにしろ好物のようです。 |
御製碑の下には、仏炎包をかじられた座禅草。旨い箇所だけ食ったのかな? 切り口が古いので5/4のクマだそうです。 |
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さて池の最深部は10m、周囲2kmなので歩けば30分くらいで廻れそうです。 予定では周回して東の高清水山へ登るつもりでした。クマ情報を聞き高落場山ピストンに変更。 登山口に進入止ロープ。『大丈夫!』と10人の団体さんは、高清水山へ向かったそうです。 |
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クマ・リスクを避け駐車場へ。湖畔から池に流れ込む川を遡ります。すると遊歩道脇に春の花が咲き競っていました。 |
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(左)サンカヨウ (中)アズマイチゲ (右)ニリンソウ |
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遊歩道を南下すると「縄ヶ池ミズバショウ群生地」の標柱Cに出合います。ここは湿原/広場Fの分岐点です。 |
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花畑があり、お気に入りの座禅草が咲いていたのでシャッターを押しました。 ミズバショウと並んだ座禅草が面白かったのですが、奥にあり上手く撮れません。 この花がいいかと撮影しましたが‥掲載して気付きました。隣にクマのかじった茎! |
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ミズバショウの白い花は仏炎包(ブツエンホウ)と呼ばれ、葉が変化したモノ。座禅草は茶色の仏炎包。親戚です。 中の棍棒に淡黄色の沢山あるつぶつぶが花の集団。どうやって解明したのか? 学者はすごい。 |
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標柱から歩いていない木道を辿り、合流点Dへ行きます。これで木道の全ルート制覇。大したことではありません。 |
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「縄ヶ池ミズバショウ群生地」の標柱Cに戻り、遊歩道Eを歩きます。入場ゲートから少し上がると‥ |
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林道終点の広場。ここもガイドさんが、『この先(南:写真奥)、クマがいるので入山しないで』 見学者や登山者の安全に対応されています。ここから未舗装の林道を北へ300mほど行けば‥ |
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駐車場です。左端の林道から高落場山登山を済ませ、3時間半後、駐車場に帰りました。 (10:05) リュックを車に置くと縄ヶ池に再度、行きたくなり、一回りして駐車場へ戻り、写真を撮っていると‥ |
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東海岳行 |
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“熊出没注意” | |||||||||||||||||||
縄ヶ池の湿原方向から渾身のホイッスル音。何度も何度も強烈に吹き続けています。『クマが出たな』 池からダッシュして来た若者が駐車場を横切りました。それが上コマの写真です。右に停めた車から望遠レンズを付けた50cm級の一眼レフカメラを取り、池に戻って走り去りました。 彼が着ていたTシャツに「熊出没注意」のプリント。もう少し私が遅かったら‥ヤバイ。国道304号線から縄ヶ池駐車場まで林道高清水線を8km走ります。冬期通行止なのでクマのテリトリーには人は来ません。ミズバショウの時期には林道が開通。 開花と開通をマスコミが告知すると大勢の見物客や登山者が縄ヶ池周辺に立ち入ります。私もその一人。クマはビックリでしょうね。『昨日まで静かだったに、なんや!』 美味しい春の野草が食い放題だったのにままなりません。食い時を逃すまいと人がいようがいまいが、クマは縄ヶ池湖畔や湿原に降りてきます。そして人間と遭遇。クマ出没は頻繁にあり、縄ヶ池はサファリパークかと思うほど。山行後、ネットで出没状況を調べてみました。
ネットで見ただけでこれだけあります。実際は毎日出没したと想像しました。湖畔や湿原をうろつくので池周辺にクマ家族の住処があります。ガイドさんの話では、メスはオスより凶暴だそうです。当然クマも人間を認識していたと思われますが、19日間被害が無かったのは奇跡です。 クマは比較的おとなしい性格で、人間慣れしてきたのでしょうか。しかし毎日緊張の中、ガイドさん達の頑張りに頭が下がります。すると南砺市から22日(月)発表がありました。 「この周辺では先月末からクマの出没が相次ぎ、クマが周辺の山に居座っているとみられ、縄ヶ池のミズバショウの見頃も終わったことなどから当面の間、縄ヶ池へ向かう林道を進入禁止とします」 対象は、林道高清水線の一部と林道縄ヶ池1号線の全線あわせておよそ1.1キロの区間です。
話しは戻りますが、望遠カメラを手にした若者が池に走った後、私は車で帰り支度。すると1台の車が横に着き、3人の家族が下りました。おばあさんが、『ここ、何かあるの?』 何も知らずに来たのも変ですが、『ミズバショウの群生地があります。ただ今クマが出たようです』と応えます。 お母さんと幼稚園児の男の子も隣で聞いていました。『クマなんかいいわ。いこいこ』 おばあさんは、さっさと縄ヶ池入口へ歩いて行きました。娘さんは困った顔で子供と手をつなぎ渋々付いていきます。その二人が私の娘と孫だったら‥きっとリスクは避けるでしょうね。 湖畔の広場でガイドさんの話しを思い出しました。注意を受けても登っていった団体さん。おっかなびっくりコースを変更した私。対応は自己責任です。その後、ニュースはないので団体さんも家族連れも大丈夫だったようです。もし何かあったら私はきっと後悔するでしょう。 2回目の散策は、空身で後ろポケットにGPSナビを押し込んでいきました。帰宅して荷物を整理しているとGPSナビが見当たりません。しゃがんで花を撮影したので落としたのでしょう。翌朝、南砺市に連絡したのですが、届け出はないとのこと。2年半しか使っていない、ショック! 落失は自己責任です。旧型を捨てなくて良かった。もう一度使えるようパソコンのやりくりで苦労しています。スマホにYAMAPアプリも取り込みました。次の山行きで両方を試してみます。 |