岳行ノート
千種街道雨乞岳編/滋賀県東近江市  標高1238m

<前編>

2006.514(日)江南5時分35発 
        曇り時々晴れ 14℃ 
登り:計5時間05分(小休止含)
降り:計4時間35分(小休止含)

 「千種街道」‥その山路を辿った旅。今も余韻の舟は、心の川面で揺れています。先週は、滋賀県甲津畑から始まる街道を「杉峠」まで歩きました。今回は、街道名の由来である三重県菰野町千種に立ち寄り、朝明から「千種街道」で「杉峠」を目指します。そして「雨乞岳」に登り、同じ道を戻る計画です。

 今回もピストンなので2度街道を味わえます。しかし先回に増してのロングコース。何度もある渡渉が気がかりですが、この前の自信をリュックに入れ挑戦します。お日柄は友引です。

 教科書は、中日新聞社 西内正弘著「鈴鹿の山ハイキング」です。


遥かに延びる山路を辿る

(右上U字状の稜線が「根の平峠」、その向こう側の麓、朝明駐車場から来てそこに戻ります。)

駐車場周辺図     朝明P→根の平峠→杉峠→雨乞岳→杉峠→根の平峠→P


※色線は実測ではありません。
■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」

 




若葉曇りの中を走り、菰野町の千種区民センター前に着きました。  周辺図
 
この常夜灯は、「千種街道」と巡見街道が交わる千草の集落にあります。
 明治25年に千種村誕生を祝い建立され、高さ6.7mと立派なものです。
地元産の花崗岩が使われています。


 電柱の左から朝明に向かいました。狭い道の両脇には、古い家並みが軒を連ねています。
 朝明駐車場を出発する瞬間、黒い乗用車が隣に滑り込んできました。いつもの人が降りて来て環境整備協力金を請求され支払います。

 よりによって一番客です。少し薄いブルーの気持ちで出発。
(7:30)
 雨が続いたので「根の平峠」に向かう林道入口は、水量も勢いもあります。少し上流の転石を渡りました。
 途中、堰堤前後の渡渉地点も水量たっぷり。足元を濡らすのがイヤで渡り場所探しに時間がかかります。この先の愛知川の渡渉が心配です。
 渡渉が苦手なひよこさんペースのため、予定より20分オーバーで「根の平峠」に到着です。

 休憩の終わる頃、団体が上がってこられました。
(8:25)
 滋賀県側に降りていくと溝道は、ちょっとした川状態でなかなかペースが上がりません。(溝道を避けたショートカット道有り)

 分岐を左折してコクイ谷に向かいます。
(9:10)
 大杉もびっちり濡れています。

雰囲気が良くなってきました。まだ曇っているので新緑の輝きは、見えません。
後ろから声が聞こえるのであの団体も同じコースのようです。
 上水晶谷の渡渉地点です。水流が強くひよこさんは『こわこわ』念仏が止まりません。
(9:30)

 気分良く歩いていくと写真右端の分岐標に出会います。右は違うので直進します。川が見えると道がありません。

 「Mr.ガーミン」と相談していると上から『お〜い』の声。団体の方が、呼んでくれました。斜面を10mほど登り、登山道に復帰します。

 分岐標を左にテープ方向の緩斜面を登るのが正解でした。
 コクイ谷出合です。石積みの上を流れが覆っています。あつた勤労者山岳会20名の渡り方を見て、ひよこさんは作戦を考えます。
(10:25)
 結論は、素足です。

 私はここでスパッツを着け、ジャブジャブっと渡りました。
 またまた愛知川本流の御池谷を渡ります。往きの主な渡渉は、これが最後です。帰りに同じ箇所を渡り返さなければいけません。
(10:25)

出発してから3時間過ぎました。イワカガミに慰められても、あと2時間は歩かなければ‥。
 しばらく登りが続き、愛知川沿いを西に進みます。
 狭い山腹道でひよこさんが『イル!』と叫ぶ。ヒルです。近寄ると吸血スタンスをとっていますが、動きは鈍い。湿気は充分でも気温が20℃になっていません。



 山岳会の方々は、佐目峠から流れてきた沢の左岸を「イブネ」に向かわれました。笹の調査をされるそうです。

 右岸側にはこの標識があり、[↑佐目峠(難路)]となっています。
 やがてかって栄えた鉱山の飯場跡を通り抜けました。この上は広場で敷石が点在しています。
 




 この跡地は長く続き、欠けた茶碗を見て探索したくなります。が、時間がありません。そしてここを抜けると峠へ上がります。
 普通の登りでも苦しい。やっとV字空間が見え、「杉峠」が近づいたことを知ります。

つりたがる太もも筋に『ファイト四発、両足二人分!』
10日前に佇んだ奥深杉峠です。4時間かかりました。
これで甲津畑から菰野町までの「千種街道」を一気通貫。
(11:45)

即リーチの「雨乞岳」はクリックしてください。
<後編>に続く