28  “ペイリン女史モデルで”

 底冷えする寒さが続いています。今週は岳行ノートはお休みです。久しぶりに大道草を作りましたのでよろしかったらご覧ください。



昨年の9月ごろ、米大統領選で共和党の副大統領候補に指名されたアラスカ州知事サラ・ペイリン女史が、連日ニュースで登場していました。四角い縁なしのメガネが知的でオシャレ。米ファッション誌ヴォーグの表紙も飾ったメガネ美人は、ミス・アラスカで2位になったこともあり5児の母とは信じられません。

 その愛用のメガネが、日本製ということで注目を浴びました。デザイナーは著名な川崎和男氏、製造販売は福井県の増永眼鏡です。いわゆる「ふちなしメガネ」ですが、写真のようにネジを一切使わずにレンズと鼻あてパッドを固定しているのが特徴で軽い掛け心地から人気があります。

 ペイリン女史が使用しているタイプはフレームのみで33,600円。日本ではそれほど高価な製品ではありませんが、米国では高級品として販売されています。選挙は終わりましたが、あのフレームは今も人気があり注文が多く品薄状態が続いているようです。

 

深山さんは、私のHPを見られ時々感想メールもいただきます。まだ40歳前の彼は近視ですが、最近0.1あった視力が0.06まで落ち、メガネを新調しようと思いました。

 彼の同級生で親の眼鏡店を継ぐため2年前会社を辞めて眼鏡学校で勉強中の友人に相談します。深山さんは、その頃話題になっていたペイリン女史と同モデルのフレーム頼んだそうです。

 ところが人気沸騰、注文殺到で中々入荷しません。昨年12月にやっとキャンセル落ちで1本手に入りました。当然レンズも視力に合わせて新しいものを注文します。ただ深山さんは、このHPで大道草“1%の確率”との道草“眼鏡屋さんの達人”を読んでいました。

 そこで友人に注文をつけます。『レンズの外側で矯正するのではなく、内側のカーブで矯正するレンズで作って欲しい』『え?そんな専門的なこと良く知っているな?そのタイプは半年前、N社で発売されたばかりだ』さらにもう一つ注文を付け加えます。

 『レンズのセンターとボクの眼の中心をぴったり合わせて欲しい』『えっえ〜!レンズのセンター位置に十文字マークを書き、眼と合わせることを言ってるの?どうしてそんなこと知ってるの?』と聞かれたので深山さんは、私が道草で紹介した「眼鏡屋さんの達人」を話しました。

 すると修行中の新人眼鏡屋さんはとても驚き『今、学校で学んでいるけどレンズと眼のセンター合わせは、ここ1,2年それをしなければならないと教本に載ったばかりだ。その達人は以前からそれをやっていたということはすごい人だ』



1週間後、レンズの加工ができたので深山さんはその眼鏡屋に行きました。すると新人さんがメガネを顔にフィットさせる前に再び注文を出したのです。

 『メガネの顔にかかる重さを鼻あてパッドと両耳に当たるつるの部分で均等に三等分して欲しい』『ん〜む、それも例の達人の技だろ、やってみよう』それから友人は、真剣に取り組みました。何度も何度も手直しをしてジャストフィットに30分かかったそうです。達人は5分もかかりません。

 深山さんはそのメガネを数日間掛け、同級生に感想を言いました。『今までメガネは値段だけで買っていた。いつも掛けていて具合が悪く、掛けていること自体が嫌で嫌でしょうがなく外してばかりいた。だけどこのメガネは違う。メガネを掛けている方がずーっと楽、肩こりもしないし、こんなこと始めてだ』



あの眼鏡屋さんの達人も言っていました。『メガネ作りのノウハウは、お客さんに教えてもらったのですよ』謙虚な気持ちが吸収力を高め、その技術が向上できたのでしょう。

 今回、新人の眼鏡屋さんも厳しいお客さんに出合い、きっと成長されたと思います。

2009.1.12(月)19:00