岳行ノート

愛岐トンネル群/愛知県春日井市

2010年4月29日(木)



昭和41年の眠りから目覚めた3号玉野第三トンネル


<2014年第14回の特別公開>11月22日(土)〜11月30日(日)9日間      入場者数:
<2014年第13回の特別公開>4月25日(金)〜4月29日(火)5日間      入場者数:5,718名

<2013年第12回の特別公開>11月22日(金)〜27日(水)6日間      入場者数:13,223名
<2013年第11回
の特別公開>4月26日(金)〜5月1日(水)6日間      入場者数:7,703名
<2012年第10回の特別公開>11月22日(木)〜27日(火)6日間
     入場者数:19,483名
<2012年第9回の特別公開>4月26日(木)〜30日(月・休)5日間     入場者数:
11,559名
<2011年第8回の特別公開> 11月23日(水・祝)〜11月27日(日)5日間 入場者数:15,591名
 ※入場者数が少ないのは平日、24日(木)・25日(金)の約2,000名、最終日は最多の4,719名
 ※北海道・関西各地、韓国・カナダからツアー客が訪れた。

<2011年第7回
の特別公開>
4月26日(火)〜5月1日(日)6日間    入場者数: 6,683名
<2010年第6回の特別公開>11月23日(火)〜11月28日(日)6日間 入場者数:12,873名
<2010年第5回の特別公開>7日間 入場者数:  5,059名
<2009年第3回の特別公開>5日間 入場者数:約3,000名
<2008年第1回の特別公開>1日間 入場者数:   280名



 国鉄中央本線の名古屋〜多治見間が開通したのは1900年(明治33)です。66年後、複線電化に伴い同区間の単線軌道は1966年(昭和41)廃線になりました。

 21世紀、永い眠りからトンネルと軌道を蘇らそうと、保存再生委員会がたちあがります。皆さんの2年がかりのボランティア活動で片道1.7kmの散策道が整備されました。

 目覚めた愛岐トンネル群は一般公開され「市民見学会」を2008〜9年の春秋に4回実施。2011年秋は3日間で何と約15,000名もの見学者が訪れたのです。


 このことは新聞で見ました。今年は開通110周年ということで4/26〜5/2(10h〜15h)7日間の一般公開。これは行かねばとひよこさんと出かけました。


 教科書は、「愛岐トンネル群保存再生委員会」のホームページです。参考書は当日頂いた「今、蘇る“愛岐トンネル群”」の小冊子にお世話になりました。 
<駐車地>
[-]広域図、[+]詳細図、ドラッグスクロールで移動


駐車場

入場階段

3〜6号トンネル

玉野古道跡

河川敷

帰り道

駐車地

滝カフェ


 ※赤線はGPS軌跡
※黄線はトンネル

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」



江  南:午前11時00分発  19℃
駐車地:午後12時20分着 晴れ
往:1時間05分(以下、小休止含)
復:1時間30分 
◆所要時間:2時間35分



 定光寺公園駐車場に停める予定が、手前の駐車地が開いていました。お洒落なカフェがあるので帰りにお茶しましょう。
(12:25)

※カフェの注意書きがあると思いますので駐車は定光寺公園駐車場がお勧めです。

車道を下り、庄内川にかかる城嶺橋(シロガネバシ)を渡ります。
向こう岸、上の段が中央本線の定光寺駅。電車で来れば受付まで3分。
下の段を右に行けば、愛岐トンネル群ウォークの入場口です。

 定光寺駅は無人駅ですが、今日は多くの駅員さんが乗客の応対をしています。ホームを見上げるとでっかいハチの巣‥今は空家のようです。

 受付で氏名を書き・見学料百円を払います。奥にある新設の階段で急斜面を上がると‥
(12:40)


 最初の3号玉野第三トンネル76mに出合います。総レンガ造りで美しいアーチに力強さを感じました。

 往復3.5km、約2時間のトンネル・ウォーキングスタートです。
(12:45)

※1号2号は城嶺橋下流にありJRが工事用道路として使用されています。
 整備作業は、ボランティアの方々が持参の道具で進められました。その中に園芸業の方がみえ、はかどったようです。

 整備時、竹林ではジャングルのように枯竹が密生していました。何とトンネル内にも樹木が生えていたそうです。(下写真)




 上写真の竹橋から小さな滝が見えます。お手製の可愛い水車がほほえましい。そばでご家族がシートを広げラ、ンチ中です。

 この上、竹林の中にあずま屋があります。



 視界が広がると青と緑の渓流に気分が良くなります。昔の人も車窓からこの光景を見て、きっと感嘆したでしょう。

 軌道跡に途切れない粘板岩のバラスト(砕石)。大股歩きだと足首をひねります。山歩きと同様に小さく歩けば大丈夫。

 急峻な崖を支えるような4号玉野第四トンネル75m。トンネルは堅牢で崩落箇所は殆どありません。
(12:55)

 出口付近にクラック(割れ目)があります。線路が広がったため蒸気機関車が脱線し、側壁にもたれて出来た傷跡です。

4号トンネルを抜けると明治の広場。そこの三四五(ミヨイ)の大モミジは、幹回り2.1m、樹高18m。
愛知県下1です。100年前の工事の時、切り倒された切り株から3本が芽生え育ったと思われます。
44年前の運用停止後、軌道跡には多くの樹が自生しました。調査では111種621本がたくましく育成してます。

1900年にこの中央西線が開通しました。それ以降、桧などの木材や陶磁器が
多治見駅から名古屋、また全国各地へどんどん運ばれたでしょう。
陶磁器は海外にも輸出されました。鉄道は日本の発展に大いに寄与したと想像できます。





 珍しい花が咲いていました。初めて見たアケビです。道のうっそうとした笹が刈られたのでこれから野花も増えるでしょう。



 5号隠山第一トンネル99m。明治時代、4年をかけた難工事で20余名もの殉職者を出しました。

 トンネル内にはビッチリバラストが残り、足元も暗く懐中電灯は必携です。実は私達は忘れたので恐る恐る歩きました。
(13:10) 

 昭和36年の5号トンネル、春日井市側です。18歳の私は複線になって間もない中央線に独りでディーゼル汽車に乗り、青春の旅立ちをしました。

 現在の青春が、ミニコンサートをしています。私がギターを持ったのは、その18歳の春。眼の前の彼らは、まだ場馴れしていないよう‥時間は沢山あるよ!



 6号隠山第二トンネルは最長333m。左のアール状の樋は、当時の職人の心意気が感じられる造形です。

 ここも難工事で一番頑丈に造られました。天井はレンガがびっしりですが、しずくを受けます。暗闇を抜け‥
(13:20)



 愛知・岐阜(多治見市)県境に架かる赤の諏訪大橋と廃線の橋脚が見えれば終点です。橋が無く向こう岸に渡れません。

 この先、軌道跡は県立多治見病院手前まで、7つのトンネルを潜り6.3km続きます。更なるルートの延伸を期待しましょう。
(13:30)



 6号トンネルを抜け、ミニ・コンサートの広場に戻りました。トンネル横から明治28年に開通した玉野古道跡を辿ります。

 ところが翌年中央線の工事が始まり、この新道は寸断され1年あまりのはかない道です。
(13:45)



 いきなり「山おやじ」こと幹回り6m、樹高27.5mの大エノキ出現。樹齢推定200年、本州では珍しい板根です。

 更に川沿いを上流へ歩きます。アップ・ダウンは少ないので楽です。

 古道の入口に「健脚の方のみ」と表示されていましたが、10分足らずで県境近くの河川敷に到着します。
流れは早いけど広い場所で、のんびり感タップリ。庄内川は、上流の岐阜では土岐川と名が変わります。
源は恵那市の夕立山です。では、戻りましょう。
(13:55)



 この廃線跡地は、矢作建設工業の所有です。募金で土地を確保し、その後ステップを踏んで常時開放の予定とのこと。

 明治の広場で絶えない清水がお茶を冷やしています。1本百円。水車達人がいるのでしょうか、大小何機も廻っていました。



 混雑を避けるため3号トンネルの手前から帰り専用道に下ります。下流の水力発電所へ導水する玉野用水沿いの道です。


 やがて入場口の受付へ戻ります。次回の公開は、紅葉が美しい11月下旬の連休予定と伺いました。
(14:45)

庄内川の城嶺橋から駐車場へ戻る道は急坂で喘ぎます。
駐車地の下にある「滝カフェ・きらら」でお茶しましょう。
マイナスイオンを浴びれば、ウォーキングで疲れた脚が癒されます。

コーヒーにフルーツとミニケーキが付いて500円とお得。
向こう岸に東海自然歩道で定光寺公園へ歩く人が見えます。
手を振る人がいれば、手を振りましょう。 (15:00)

すべらないウォーキング
お立ち寄りください。

小牧アルプス/愛知県:小牧市にアルプス?七山のスーパー低山に尾張一の大展望地

春日山原始林/奈良県:あこがれの世界遺産を春日山などのスポットをもれなく周回

青木ヶ原樹海/山梨県:神秘の原生林の散策路を歩き、風穴や富士の大展望を巡る

野麦峠/岐阜県:映画や小説で有名、歴史の流れを花咲く峠道で辿る

伊勢山上/三重県:アスレチックスのように行者道を次々クリア 

春日井三山/春日井市:御存じ!大人気の里山を周回 


■2010年5月9日(日)monさんより書き込みをいただきました
勝川:愛知県春日井市

 トンネルの掘り起こしは、実は勝川が発端なんです。再開発事業で旧勝川駅のホームを取り壊すときに明治33年のイギリス積みのレンガを残したいというある歴史遺産好きの方の熱い思いが発端なんですよ。当時商店街に在籍していたMさんがJR側にレンガの保存を願い出たところ、トンネル群の存在を教えられました。

 こっそりと単独でやぶを漕いで見に行ったところ、「これはすごい!」とビックリ。ホームのレンガどころではなくなっちゃいました。現保存再生委員会事務局長さんです。でも勝川駅ホームのレンガもちゃんと駅前公園のベンチなどに使われたりしてます。しっかり銘板も付いていますよ。


2011年11月24日(木)に秋のトンネルウォークに行きました。岳行ノート「野登山〜仙ヶ岳」の下段「道草」で紹介してます。

2012年3月31日(土)春日井市ホテルプラザ勝川で午後1時半〜5時「全国トンネル廃線活用サミット」が開かれ参加しました。その様子は、「道草:トンネル廃線活用サミット」をご覧下さい。

■2006年まだトンネル群が、整備される前に探索した「驚異の訪問記」がありました。

          


東海岳行
   “人見知り  

 整体ってユニークな考え方です。体が歪んでいれば痛みが出る。その歪を直せば痛みは取れる。歪の具体例は、猫背、足の長さ・手の長さの違い、肩の高さの違いなど鏡分で確認できます。右の筋肉が縮み左が伸びていれば右肩下がりの姿勢になります。さて私も腰に弱点があるので色々な整体院に通いました。

 腰痛や肩こり、膝痛‥それらを直す整体は、大きく分けると2種類あるようです。一つは骨を整える方法。私も背骨を真直ぐにしてもらい立つことが楽になり腰痛が消えました。ところが筋肉は長年の間に歪を形状記憶して元に戻ってしまいます。そのため、何回も骨を正しい形に戻す必要があります。『ゴキッボキッ』

 もう一つは、逆に縮んだ筋肉を緩めて骨を正しい形に戻すというものです。考え方と方法が異なりますが、目的は同じで歪んだ姿勢を直して治療します。無痛整体と呼ぶ場合が多いようです。私は両方とも体験しましたが、最近は後者の方を利用しています。



 ある日、その整体院に行くと先着の若い主婦が治療中でした。そこは一部屋を治療室に続きの部屋を待合室にしています。部屋は両方とも和室で間に仕切りや戸はありません。待合室にはテーブルがあり、向こう側に1歳半くらいの男の子が座っていて私が入室するとチラッ見しました。人見知りの時期です。

 おムツ・パンツを履いているよう。ママが施術をされている間、持ってきた5冊の絵本で遊んでいます。本を右に重ねて置き、次は左へ移して重ね、それの繰り返しです。時々本を開けて見ますが、また閉じて片付けゴッコを続けていました。

 私のことは一瞥もせず、ママに時々視線を送り確かめています。『退屈しているな』私は人見知りに挑戦してみることにしました。テーブルに置かれたビーズの小犬を手に取ります。それを『トコトコ』と言いながら歩かせたり、少し高い所に上らせ『ト〜ン』と落としたりしました。



 男の子は 無表情でジーッとその動き見ます。しかし再び絵本の片付けに戻りました。私はテーブルに置かれた雑誌を右から左へ彼と同じように片付けます。『よいしょ、よいしょ』今度は彼が絵本を開けて見るので私も雑誌を開けました。

 食べ物のページがあったので男の子に見せながら『パン、ご飯‥』と指さしてやります。すると彼は膝立ちでテーブルまで寄ってきました。私は開けたページを男の子に向けリンゴの絵を指さします。『これ、何?』『あか!』『お、すごいすごい』ページをめくり傘を指さすと『あお!』『合ってる、合ってる』

 次のページに男の人の絵を差して『パパは?』『かいちゃ!』『そう‥会社に行ったのだ』次に子犬の置物を手渡してやりました。すると私のまねをして高い所から落とします。私が『痛い痛いよ〜』と言って犬の頭をなでてやると男の子もぎこちない手つきで「よしよし」したのです。



 その時、治療が終わったママが来ました。『さあ、帰りましょ』ママは我が子が何をしていたか知りません。彼の絵本をバッグに入れ手をつなぎ、ふすまを開け出ていきます。私は『バイバイ』と小さく手を振ってやりました。男の子は歩きながらチラッと振り向く。先生が呼んでいます。さあ、私の番だ。

2010.05.02(日)20:50